◆1 Q:一方的にマンション立ち退きを迫られたらどうする? | ぐーすけとりきのブログ

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 片岡一家がこのマンションに引っ越してきたのは、今から9年
前であった。


 ここは、28年前に建築された3階建ての賃貸マンションで、
建設材料を節約したためか、建物のあちらこちらで老朽化が進み
今では入居者は、片岡一家ともう人世帯あるだけであった。


 しかし、片岡家の大黒柱である尚志は、これからもずっとこの
マンションに居住したいと考えていた。


 なぜなら、勤務先も港区内にあり、同じ区内のこのマンション
から職場まで徒歩で15分しかかからないからだ。


 また、妻の麻美は、学生時代に学んだイタリア語を近所の主婦
相手に教えていて、生徒の人数もだんだんと増えていた。


 さらに、生活協同組合に加入していて、無農薬野菜の協同購入
などを組合の中心になって行ってもいる。


 さらに切実なのは、長女の寧々の病気のことである。寧々は
アレルギー体質で、喘息(ぜんそく)の発作をたびたび起こし、
近くの総合病院に入退院を繰り返していた。その病院は、この
マンションから車で5分ほどの場所にあり、夜中に寧々が喘息
の発作などを起こしてもすぐに連れていけたし、担当の女医は
大変親切で、病院嫌いの寧々もこの女医にだけはなついていた。


 このように片岡家にとって、このマンションに住み続けることは、
生活の基盤としてなによりも重要なことであり、自分たちのほう
からこのマンションをでることなどおよそ考えていなかった。


 したがって、このマンションの所有者から、マンションを取り
壊して高層の商業ビルを建てたいので、契約の切れる8ヶ月後に
は出て行ってくれないかと言われたときは、本当にショックであ
った。


 このマンションの現在の一ヶ月分の賃料は15万円で、一度も
その支払いを怠ったことはなかったし、マンションの所有者には、
お中元、お歳暮も送り、年賀状のやりとりもしていて円満な
関係を維持していた。

 
 尚志がマンションの所有者に電話をして、何とかこのまま、
住み続けられるよう頼んでみたが、すでに計画が進行していて
白紙に戻すことはできないという。


 さらに、建て替えられたビルの一室を居住用として貸してくれる
よう懇願したが、いずれも事務所として賃貸するつもりで、居住
用に貸すつもりはまったくないとの返事であった。


 片岡一家のほか唯一、このマンションに住んでいた一家は、
取り壊しの話が出る前から、一戸建ての購入が決まっていて
ここを出ていくことになっている。


 尚志は、どうしたらよいのだろうか?