「枕草子」といえば、平安時代の才女として知られる清少納言の
随筆だ。
当時、かな文字が誕生し、女性も筆をとりやすくなったという歴
史的背景もあったが、清少納言について言えば、漢文の素養もも
ち、宮中に仕えた女性で、さながら、平安時代のキャリア女性と
いったところだ。
清少納言といえば、有名な歌人の娘として生まれている。幼い
ころから和歌や漢学を学び、高い教養を身につけていた。一条
天皇の中宮の定子につかえ、「清少納言」という名をいただくこ
とになる。
定子は関白・藤原道隆の娘で眉目秀麗。教養や芸術的才能を
兼ね備え、清少納言とは大いに波長があったようだ。
ある日、定子に「外の雪はどう?」と問われ、黙って、御簾を
巻き上げて雪景色を見せる清少納言。
じつはここにも清少納言の才女ぶりがいかんなく発揮されてい
る。それというのも、唐の詩人・白楽天の「白氏文集」の中の
詩に「遺愛寺の鐘は枕をそばだてて聴き、香炉峰の雪は簾をかか
げて見る」というものがあり、彼女はこの詩を自分の行動で示し、
漢詩の素養のあるところを誇示してみせたものだ。
才能にあふれ、ちょっと勝気で高慢な面もあった清少納言は、
晩年は尼僧となり、まるで廃屋のような家に一人で住んでいたと
伝えられている。