一歳半になる孫の動画が送られてきた。

一人遊びをしながら「ミャオミャオミャオミャオ!」と叫んでいる。

セミの鳴き声を真似ていると、親の注釈がついていた。

 

 セミの鳴き声など、私の耳にはもはや「ジーッジーッ!」とか

「ミーンミンミンミンミン!」としか聞こえない。

 

 そう言えば、息子が幼い頃、道を走る救急車を指さして、

「イーポーイーポー!」と言っていた。

救急車の鳴らすサイレンが息子の耳にはそう聞こえたのだろう。
 

 犬は「ワンワン」鶏は「コケコッコー」といった具合に

耳に入って来る情報を、大人の脳は「常識」という先入観で

書き換えてしまうのだろう。

 

 と言うことは、孫の真似るセミの鳴き声が、

実は大人のそれより正確に再現しているのかも知れない。

 

 湖畔に打ち寄せる波や、川のせせらぎ、木立を吹き抜ける風、

雨だれ、虫の羽音、純真な彼の頭の中でそれらはどう響いているのだろう?

 

孫に聞いてみたい!

最近耳が遠いと家人から指摘される事が多くなった爺さんは、

ふと、そう思った。