かつては、日曜の夜に放映している「ポツンと一軒家」の大ファンだった。

 

番組は「衛星写真で見つけたポツンと一軒家らしきところを、

番組のディレクターが現地の人達に道を尋ねながら探し当て、

ポツンと一軒家の住人に生活振りを紹介して貰う。」というものだ。

 

大自然の中で、人間関係の煩わしさから解放され野菜や果樹を育てながら

気儘に日々を過ごす人達の姿を、私はいつも憧れの思いで見ていた。

所ジョージや林先生の掛け合いも面白い。

 

放送時間が来るまでに総ての用事を済ませて、

缶チューハイを脇に置いて、テレビの前に陣取るのが日課だった。

 

田舎の村のイラスト(過疎)

 

トコロが、去年の秋、憑きものが落ちた様に見なくなった。

 

予兆はあった。

まず、現地に取材に行くディレクターの

「良いんですか?」という言葉が鼻につくようになった。

 

番組を見た人なら分かると思うが、

住居の内部や住人のプライバシーが赤裸々に明かされるほど、

番組としては盛り上がる。

地元の名産を使った郷土料理をディレクターに振る舞う絵が撮れれば尚更良い。

 

しかし、その家の間取りや、家宝、場合によっては離婚歴までを

全国に晒してしまって良いのだろうか?

犯罪やトラブルを誘発しないだろうか?

めったに人の訪れない所にいきなりカメラを構えた人が現れ、

「それに応えなければ!」という無言の圧力を住人に押しつけてはいないか?

 

それに、途中で道を訪ねられた人が

軽トラで先導して道案内をするのも「お約束」になってきた。

その場面になると、必ずスタジオから「田舎の人は親切で良い人ですね!」

というコメントが流れる。

 

カメラの向こうに居る「我々熱心な視聴者」がディレクターをして、

ポツンと一軒家の住人に「プライバシーを開示せよ!」という圧力を掛け、

「田舎の人は純朴」というステレオタイプを演じることを

求めているのではなかろうか?

それに気付いてしまったら、もう見るのがシンドイ!
思いを同じくする人は多いのではないだろうか?