オーディオ訪問記(サウンドクルーさま)(中編) | くさもんのブログ

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うわさのブログというものをちょっとさわってみました。

日々のことを徒然なるままに。

間が空いちまった。
サウンドクルー邸訪問記の続き。

1階のお部屋と3階のお部屋にオーディオがあるが、まずは3階から試聴。
これがすごかった・・・。


前編のうんちく日記で、
「スピーカーは右斜め前と左斜め前にあるが真ん中には無い。
それにもかかわらずヴォーカルは真ん中から聴こえてくるのはなぜか?」
という仕組みについて書いた。



また、真ん中から聴こえてくるヴォーカルも、聴き手である自分が真ん中から変な場所に移ってしまうと、途端に真ん中から聴こえなくなる仕組みについても書いた。
拙い文章ではあるが、大筋ではご理解いただけたと思う。




その大前提が、このお部屋だと通用しない。
例えば、自分がちょっと左側に動くと、ヴォーカルの定位が崩れてしまうことなく、きちんと真ん中から聴こえ続ける。
いや、左に動いた自分から見ると右斜め前から聴こえる、と書いた方が正確か。
ありえないだろ??

話が前後するけれど、機器構成とセッティングはこんな感じ
(写真は撮らなかったので、セッティングはポンチ絵でご勘弁)。

■SACDプレーヤー
ラックスマン D-08u

※SACDプレーヤーだが、後述のD/Aコンバーターに繋いでいるため、
通常CDのみ再生可能(SACDは再生不可)。



■D/Aコンバーター
T先生の特製自作DAC

■パッシブプリアンプ
フィデリックス TruPhase



■パワーアンプ
なし(後述のスピーカーが、①②両方ともアンプ内蔵のため)。

■スピーカー①
エアパルス A300 pro



■スピーカー②
ヤマハ MSP3A

※真ん中の薄型PCや鍵盤はもちろん含まれませんww





主な特徴としては、スピーカーを2ペア同時に鳴らしていること。
音を反射させるための鉄板スタンド(かつては1階にあった)が用いられていることや、大きいほうのスピーカー(エアパルス A300 pro)を「真ん中に座っていても外側の側面が楽に見えるほど超内向き」に置いてあるのも、特徴と言えば特徴か。

ただ、重要なのが電気的な加工は一切していないということ。
例えば、何かしらのエフェクターでエコーを掛けたりディレイを掛けたり、最近のAVアンプみたいに入力されたステレオ信号(2チャンネル信号)を5.1チャンネルに再構成したり・・・みたいなことは一切していない。
全てアコースティック的な工夫のみで、上述の「リスナーがどこに居てもヴォーカルは真ん中から聴こえる」を実現している。

「でも、多人数のオフ会のときはともかく、普段は一人で聴くので、自分一人が真ん中に座って真ん中からヴォーカルが聴こればそれでいいじゃん?」
なんて身も蓋もない考えもあると思う。
いえね奥様、こうしたセッティングの効果はなにもヴォーカルの位置だけではなくてよ。
面白かった例を4つほど挙げてみる。

■毎度おなじみ「フラメンコの響宴」
(以前も書いたけど、このアルバムは"饗宴"ではなく"響宴"となっている)



いつもの1曲目をかける。
フラメンコ部隊がステージに上がって足踏みをカタカタ鳴らして踊りまくるのだが、そのカタカタの1つ1つに前後位置が読み取れる。
少なくとも、脳内で安易にイメージできる。

普通は、ステージに登った高い位置から足踏みが聴こえるかという程度の判断基準だったが、ここではそんなのは最早当たり前すぎる話で、今書いたステップの前後位置や踊りながら鳴らす指パッチン(もしくはカスタネット)の質感などがポイント。
聞こえてくる高さも、高ければ高いほどいいわけでもないようで、YouTubeで見るとステージの高さは精々1メートルくらいの模様
(そうしないと床から飛び乗れないwww)。
ここでは、そうした「適度な高さ」も再現できていた。

■イーグルスのアルバム



はい、どこのオフ会でもかかるお約束中のお約束ですね(笑)。
ちなみに、この画像は実際に再生いただいたCDのとは違う。メンバーの顔が分かるものを適当に拾ってきた、ゴメン。

「ホテルカリフォルニア」のライブで、最後に観客からの拍手が沸き起こるが、この「位置」が気に入らなかったという。
拍手は、通常はリスナーを包み込むように起こる。これが気に入らないと。

というのも、演奏やヴォーカルはマイクの近くだから音も鮮明。
いっぽう拍手は、観客から起こるものだからマイクから離れており、そのぶん音もそれなりに曖昧。
曖昧な音が自分を包むように聴こえるのはおかしい、だから遠距離(=奥)から聴こえるようにした、と。

・・・言いたいことは分かるが、それを本当にやっちゃうんだもんなぁ。しかも、変な副作用なく・・・。

■サラ・ヴォーン



かけていただいたのは、1952年頃のモノラル録音。
どこかのライブハウスで録ったようで、司会の音声や観客の喧騒も入っている。

これが面白かった。
ヴォーカルは前に、演奏はしっかり後ろから聴こえる。
また、独特の音場感を出しており、耳をとがらせて聴くと確かにモノラルなのだが、ぼーっと聞いているとステレオと思ってしまいかねない。

いわば、疑似的なステレオなのだけど、以前に某ゲーム機で体験した「左右の位相を反転させる」なんていう胡散臭い手法とは全く別物。
あれは喩えではなく聴いていて本当に気持ち悪くなったが、これは本当に心地よい。

時折、モノラルソース専用にモノラルスピーカーを設置している方がいるが、一度そういった方々に聴いていただき、感想をお聞きしたい。

■The Drum Solo



サウンドクルーさんご自身が作られたCD。
SACD盤もあるが、ここで聴かせていただいたのはただのCDのほうね。

楽器の前後位置がかなり分かりやすく作られたCDだが、その前後位置の表現性がもう別次元!
ただそれはある程度想定済みだったのに対し、意表を突かれたのは1曲目の4:25くらいからのハイハットをバフバフ閉じる音。
本当に空気がバフバフ顔に吹きかかるかのようなリアルさが気持ち悪い・・・。

あと、バフバフ音は低音もすごい。周波数的にはかなり下のほうだと思うので分かりやすくドカドカ来る感じではないが、こんな超低音が入っていることを、自分の使っているスピーカよりずっと径の小さいウーファーでの再生で、初めて知らされた。


とまぁ、こんな感じ。
こう書いてみると、「どこに居てもヴォーカルが真ん中から聴こえる」というのは決してメインではなく、このセッティングの特徴の一部分を表現したに過ぎないことが分かる。
たまたまそれが、部屋を訪れたことのない人に一言で説明するのに適していただけだ。

そして、これらの特徴がなす総合的な音質は「聴き心地の良い音」。これに尽きる。

実を言うと、サウンドクルーさんから事前に詳細な(といっても、ご本人的には触り程度だろうが・・・)解説メールをいただいていた。
それを基にもう少し詳しい日記に書くこともできたかもしれないが、ここでこのセッティングに至るまでの道程や理屈を中途半端に書いても仕方がない。

ご本人の目下の悩みは「多くの人が実際に聴くまで信じてくれない」とのことなので(笑)、ここでは、こうした常軌を逸したセッティングも実在するということが少しでも伝えられば、それでいいと思っている。


あと一回だけ、簡単に1階のシステム紹介をしておしまい。