黎の軌跡 | くさもんのブログ

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日々のことを徒然なるままに。

空き時間を見つけて少しずつ進めていた「軌跡シリーズ」の最新作「黎の軌跡」(くろのきせき)を、ようやくクリアした。


 

今回も満足のいく面白さだった。
「軌跡シリーズ」は、正統作品(?)だけでも実に11作目になるが、世界観や登場人物の魅力は相変わらずで、特に主人公「ヴァン」は歴代主人公の中でも一番好きかもしれない。
準主人公「アーロン」とのやや汚い言葉遣いでの掛け合いなんて最高だ。

 

最大の売りであるストーリーも、「ワンパターン」とか「ご都合主義」とか今まで以上に叩かれるんだろうなぁ・・・と思いつつも楽しめてしまった。
楽しめたのは、揶揄される以上に面白かったのと、自分が細部を気にしなくなったことの両方があると思うが、後者については自分の加齢・心境の変化・日頃の疲れ等が原因なのかと、終始ぼんやり考えながら遊んでいた。

残念だったのが戦闘システム。
ブーストゲーシなんて要らん!あと、敵味方の行動順番が非常にわかりづらい。他にも細部を挙げればきりがない。
あとは、ザイファ(普通のゲームで言うところの呪文や魔法)のシステムも、従来作品の「オーブメント」と比べてかなり仕組みが変わっており分かりづらかった。

戦闘システムとザイファのシステムは、はっきり言って11作品のなかでも最悪だったと思う。
ただ、言い換えると「ドラクエ」に代表されるRPG(ロールプレイングゲーム)のなかでも極めて重要な要素のこれら二つが残念だったのに、クリアしてここまで満足できているのはほかの要素がそれだけ魅力的だったわけで、それはそれですごいなと思う
(自分が半ば信者化しているのかもしれないが・・・・・・)。



今回遊んで感じたことは大きく分けて二つ。


ひとつは、上でも触れているように、自分の受け止め方の変化。
1作目を遊んだ当時は二十代だった自分も四捨五入すれば五十路ですよ、そりゃあいろいろ変わりますわな。


もうひとつが、シリーズ長期化に伴う課題。
これをさらに二つに分けると「システム」と「記憶支援」の二つがあると思う。

「システム」は、先ほども触れた戦闘システムとかの話。
作る側(日本ファルコム)は「新作を作る以上は何とか新しいシステムを導入して、プレイヤー側に新鮮さと進化を味わってほしい」と考えているのかもしれないが、「変化」ではあっても「進化」とは限らない。戦闘システムなどは、上述の通り個人的には最悪だと思うので、残念ながら退化ということになる。
作る側には、この変化・進化という考えから脱してほしい。例えばドラクエを見てみると、正統なナンバリング作品は現時点では軌跡シリーズと同じく11作品が出ているが、基本的な戦闘システムは2作目以降は全くと言っていいほど変わっていない。
それでいいのだと思う。


「記憶支援」は、ゲーム内の「おぼえること」があまりに増えすぎたことのへの、今後の対応。
軌跡シリーズは、すべての作品(「那由多の軌跡」は例外)が「ゼムリア大陸」という共通の世界を舞台にしており、それぞれの作品で登場人物・ストーリー・舞台が徹底的に作り込まれており、かつ、密接に絡み合っている。
それこそが軌跡シリーズの一番の魅力なのだけれど、言い換えると、登場人物・地名・組織名などのゲーム内単語がすさまじい数になってくる。

たとえば、wikipediaの「軌跡シリーズの登場人物」を見ると、そこで紹介されている登場人物だけでも、単純に数えると現時点ですでに約400人!しかもそれぞれが、ゲーム内ではファーストネームで呼ばれたり苗字で呼ばれたり二つ名で呼ばれたり役職名で呼ばれたり・・・。
こんな狂ったシリーズ作品、他にないぞ・・・。

もちろん、全部を覚える必要なんてないし、現に作る側も
「今作から舞台が新しくなるので(ゼムリア大陸の中の「カルバード共和国」)、今までの軌跡シリーズを知らない人でも大丈夫!」
とアピールしていた。
それは確かにその通りだったのだが、一方で、既存10作品とも密接に絡んでいる以上、今までの登場人物・地名・組織名・ストーリーなどを覚えていたほうがより楽しめるのも事実。
加えて、舞台が新しくなるということは、言い換えれば新規の登場人物・地名・組織名も多いということだ。
正直、四捨五入すると五十路のおじさんには覚えるのがきつかった。

なので、これらの膨大な数の単語を「如何にしてプレイヤー側にすんなり覚えさせるか・思い出させるか」ということを、今後は考えていってほしい。
現在でも会話の途中で一枚絵を入れたりなど工夫は講じられ始めているが、「ジョジョの奇妙な冒険」みたいに、吹き出しの中に顔イラストを出すのも有効ではと思う。


軌跡シリーズは来年傘寿になる実母も遊んでいるので、「記憶支援」についてはどうかより良い工夫を考えていってほしい。




最後に、今作はクリアするまでに約100時間かかった
(セリフの読み上げをスキップさせればもう少し短縮できたとは思うが、それだと興ざめなので)。

敢えてお金の話をすると、今作はダウンロード版だと税込8250円。
ゲーム機本体購入とかの初期費用を除けば、いい歳した大人が一時間あたりわずか82.5円で計100時間も至福のひとときを過ごせたことになる。

スマホなどで遊べるいわゆる「ソシャゲ」がダメとは言わないが(自分もやって無くはないし)、そうした終わりのないゲームに何万、何十万円も課金するユーザーとそれを相手に荒稼ぎするメーカーがいる一方、本作のような昔ながらの良質なパッケージ作品を作り続けてくれるメーカーがいることに、本当に感謝しかない。


軌跡シリーズは、17年経った今作でようやく後半戦に突入。
シリーズ全体の完結はまだ当分先と思うが、どうかその時まで、パッケージ作品の制作・販売ができるゲーム業界であることを願わずにいられない。