オーディオ訪問記(Western Electric Audioさま)(後編) | くさもんのブログ

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間が空いてしまったが、Western Electric Audioさん(以下、Wさん)のお宅訪問の続き。

前編で書いたとおり、W邸はオーディオルームが2つ(A室、B室)あり、今回はB室の機材紹介から。


■B室



レコードプレーヤー:
THORENS TD124 

自分で撮った写真があまりにアレなので、同機をお使いのどこかのサイトから拝借・・・(汗)。


プリアンプ:
WesternElectric 129A


パワーアンプ:
WesternElectric 91B

 

スピーカー:


トゥイーター部
WesternElectric 596A


ホーン部
WesternElectric 555(ドライバー) ならびに
WesternElectric 15A(ホーン)



ウーファー部
WesternElectric TA4181A


※箱の詳細は不明。

当時の劇場では、このお化け級のホーンを何台も横に連結して鳴らしたらしい。
この穴の跡はその連結のためのもので、これがレプリカではない1930年ころの本物であることを証明している。


その他:
自作のタンガーバルブ電源。
青色に光る水銀灯がとてもきれい。




以上が機器紹介なのだけれど、絶妙のタイミングと言うか、つい先日、本家のブログには機器一覧が載せられたので、情報不足はそこで補ってね(汗)。


で、肝心の音の感想なのだけど。

単純な、帯域とかS/Nとかのスペック的なことで言えば現代のシステムのほうが良いのだろうが、音の迫力やエネルギー感は比べ物にならない!!
おそらく、これに異を唱える人はあまりいないだろう。

A室とB室の特色を述べるのであれば、A室は押し出やエネルギー感に溢れた音。
ジャズやロックが向いているのだろうか。
B室は、高域の延びや音の広がりに優れた音。オーケストラとかがより向いている。

簡単に書けばこんな感じで、それが素晴らしいのは間違いない
しかし、自分には未知すぎて、それ以上をどう表現してよいのやら・・・。


ただ、それ以上に考えたのが、なんでこの音を好きになったのだろう、いや、それだと語弊があるか(汗)。
「どうしてこの音の魅力に気づけたのだろう」ということだった。


音の好みはそれぞれとは言うけれど、一方で「刷り込み効果」的なものもあると思う。
Wさんが初めて耳にした音響装置は、それがテレビなのかご家族のステレオ装置なのかは存じないが、年代からするとWEよりもっと規模も音質も現代寄りのものだったはずだ。
普通に考えれば、その延長線上にある現代オーディオに行く着くのだろうが、普通では気づけないWEのより深い魅力に気づいてWE愛好家に転じた。
その気づく・気づかないの違いってなんだろうなと。

もちろん、場所的・金額的なハードルもある。
加えて、自分の場合、テレビゲームに使えるということが出発点であり大前提なので、残留ノイズの少なくないWEのシステムでゲームができるかと言うと、正直怪しい。
ただもしそれらが無かったとしても、いったい何人が導入を決断するレベルのより深い魅力に気づけるのだろうか、表面的な凄さは理解できたとしても・・・。

よくチュー太郎さんなどとは、「同じ音でも、人によって聴いている部分は様々だよねー」なんて話をするが、今回ほどそれを実感したことはなかった。
また、規模も音も違うが、数年前にまいぼう邸で聴かせていただいたイノウエのシステムも思い出していた。


音だけでなく、WEにまつわるお話も興味深いものばかりだった。

・WEなどというお化けシステムが作られたのは1930年当時のアメリカの国策によるものも大きく、いかに当時の技術やお金が注がれたかを熱く語ってくださったこと。

・最近は訳の分からないレベルのお金持ちが投機目的で強引に買い集めてしまうためにどんどん値上がり・品薄になってしまい、純粋に音を楽しむWEファンにとっては厳しいこと。

・ご自身がお持ちのWE機器を、ゆくゆくは何かしらの形(具体的内容は伏せるが)で後世に残したいこと。

などなど、最初から最後まで興味深いお話の連続だった。
中でも、最後の後世に残す云々のお話は、みゆきさんが10年前にオーディオベーシック誌で話したオーディオノリタケ収集にも通じるものがあり(今は自分が所有者だが後世に残さなくてはいけないもの。そういう意味では自分のものであり自分のものではない)、特に印象的だった。

そう考えてみると、WさんはWEの音質自体はもちろん、国策で扱われるに至った時代の流れに対する感謝、当時の技術者に対する敬意、文化財としての価値などなど・・・、WEを取り巻くすべてのものを本当に深く理解し、お好きなのだなと思う。理解と愛着に対する次元が違う。
なるほど、自分のような若造が予習もせずいきなりお邪魔しても、その魅力の深淵を垣間見る程度で終わったのもある意味納得だ(笑)。


今の自分が手軽にWEの音を聴けるとしたら、小田原邪宗門くらいか。
というか、入院していたご住職のお見舞いも兼ねて、実は先日すでに一度行った。



いつかまた、W邸にお邪魔できる機会があるかも知れない。
喫茶店なので音量は限られるが、その機会に備えて、今後はもっと足繁く、かつ耳を研ぎ澄ませてお邪魔しようかな!


Wさん、今回は貴重な音とお話をありがとうございました♪