「本当に私を信用していないのね。
結局、私を冷めたご飯を温めるだけの安い機械だと思ってるんでしょう。」と電子レンジ は言った。
「そんなことないよ。君は冷めたご飯を温めるだけの安い機械なんかじゃなくて、もっと有能で、高価な機械だ。」と、僕は答えた。
「そうよ。私だって馬鹿の一つ覚えみたいに冷めたご飯ばかり温めてなんていられないわよ。私はパンだって焼けるし、ジャガイモにも火を通せる。時間だってかからないし、洗い物も減るじゃない。」
「うん。」
「それに野菜の栄養も逃がさないのよ。」
「まあね。」
「じゃあ、どうして私を使わないのよっ。」 ついに、電子レンジは声を荒げた。
キッチンは静まりかえり、冷蔵庫とシンクが気まずそうに顔を見合した。
平日の昼過ぎで天気もよく、僕らはみんな幸せだった。
いつものようにお昼の番組がテレビに流れ、時計の針がゆっくりと動いた。
物音さえない、静かな午後だった。
あたりは太陽の柔らかい匂いで満ちていた。
僕は、電磁波によって分子にエネルギーを与えられた食事がその代償として失うことになる何かのことを考えた。
そんなふうにして僕らは、この日の午後を過ごした。