「~でも」(~で)「~さえ」の細かい違い goo | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

 フリーランスの編集者兼ライターです。
 主として日本語関係のことを書いています。

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【32】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985421928&owner_id=5019671

mixi日記2023年08月20日から

 テーマサイトは下記。
【「~でも」(~で)「~さえ」の細かい違い】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/13563746.html
===========引用開始
質問者:CHPNG質問日時:2023/08/16 09:58回答数:0件
基本的な使い方はわかりますが、置き換えできるケースとそうでないケースがいまいちです。

A:弟はアメリカに10年も住んでいるのに、日常会話さえ話せない。←10年もいるからできて当然のはずが…話せないの?みたいな。
 弟はアメリカに10年も住んでいるのに、日常会話でも話せない。←なんか変?

B:ジェシーはひらがなさえ書けない。←ひらがなが1番簡単な極端な物事
 ジェシーはひらがなでも書けない。←違和感あるからできない…?

C:緊張で、水さえ喉を通らない。←水が最低限の極端なこと
 緊張で、水でも喉を通らない。←いけますか?なんか変な気がしますが…

D:この国は、冬さえ暖かい。←使わないような気がしますが…
 この国は、冬でも暖かい。←冬も暖かいし、春~秋も当然暖かいので、OK

E:部屋が暗くて本さえ読めない。←いけると思う
  部屋が暗くて本でも読めない。←違和感ある…けど、なぜだろう?

調べていると、「~でも」は暗示もあるというんですが、暗示とはなんでしょうか?
「~さえ」も「~でも」も意味自体に大きな違いはない気もしますが、細かい違いが判る方、
教えていただけますか?涙
===========引用終了

 下記が関係するかも。
1575)【昔のことはみんな忘れてしまった。一番好きだった先生の名前(  )思い出せない さえ すら まで だって 】2016年01月20日
http://ameblo.jp/kuroracco/entry-12120076489.html

 トンデモ問題集の類いではなく、質問者が自力で見つけた疑問らしい。
「~でも」と「~さえ」を比べるのはちょっと違う気がする。
 一般的には、比べるなら「~さえ」と「~すら」だろう。いつもの類語辞書を見ると、「すら」は項目{すら/さえ}ないorz。
【でも/さえ/だって/など の解説 - 小学館 類語例解辞典】全文は末尾に。
https://dictionary.goo.ne.jp/thsrs/17173/meaning/m0u/

 ちょっと気になって手元の電子辞書をひく。同じ辞書が【ネタ元】 のはずなのに、こちらは冒頭に〈【関連語】すら〉とある。Web辞書のほうは冒頭の1行はないけど、後ろに〈でも/さえ/だって/など の関連語〉があって、記述はほぼ同じ。なんで? 
{すら/さえ}の違いなら比較的簡単。ほとんど同じように使えるが、「すら」のほうが古くさい。記者ハン(p113)には〈文語や古くさい言い回しは使わないとして〉、〈すら→さえ〉の書きかえを推奨している。当方から見ると堅苦しい表現が多い記者ハンで{すら/さえ}こうなのだから、「すら」は使わないほうが無難だろう。
 類語例解辞典の記述は下記。
===========引用開始
すら
極端な例を示す用法があるが、現在では書き言葉として用いられることが多い。「彼は自分の名前すら忘れてしまった」「財布には小銭すら残っていない」
===========引用終了
 この記述はヨシとして、記述全体はハズレ気味かな。違いがビミョーなせいかもしれない。

 質問者があげている例は、辞書の〈表例(1)はいずれも、ある極端な事柄を例に示し、それが成立するならば当たり前の事柄も当然成立することを言外に述べている〉だろう。もう少しわかりやすい表現はないもんか。これは肯定文の場合で、否定文だとちょっと事情がかわる(後述)。
「表例」というのは下記の〈 ①子供(に)…分かる問題〉のことなんだろう。
  ①子供(に){でも/さえ}分かる問題
 たしかに「でも」「さえ」のほか「だって」も入る。
 質問者の質問はこの用法に限っているようなんでほかの用法はパスしようか(「暗示」に関しては後述)。
 この用法の類語例解辞典の用例を見る。
1)先生{(で)も/(で)さえ/だって}解けない難問
2)水{(で)も/(で)さえ/だって}のどを通らない
3)ミミズ{(で)も/(で)さえ/だって}生きている
 この用法に限れば、どれも入れかえ可能だろう。
 ただ、(で)の有無によって少し不自然に感じる気がする。とくに「水(で)ものどを通らない」だとちょっと不自然では。

 次に質問者があげた用例。
A:弟はアメリカに10年も住んでいるのに、日常会話{さえ/も/でも?}話せない。
B:ジェシーはひらがな{さえ/も/でも?}書けない。
C:緊張で、水{さえ/も/でも?}喉を通らない。
D:この国は、冬{さえ/も/でも}暖かい。
E:部屋が暗くて本{さえ/も/でも?}読めない。
〈D:この国は、冬{さえ/も/でも}暖かい。〉だけ「でも」成り立つ。おそらくこれが肯定文で、類語例解辞典の例文3)と同様の作りになっているから。
 Dを除いて、〈ある極端な事柄を例に示し、それが成立するならば当たり前の事柄も当然成立することを言外に述べている〉わけではない。
 あえていうなら、〈ある当たり前の事柄を例に示し、そんなこともできないと述べている。言外に「できて当たり前」と述べている〉ぐらいだろうか。文の作りとしては否定文になる。同じようなことを言ってるんだけど。
 この場合は「さえ」のほうが自然で、「でも」にはしにくい。「も」ならOKだろう。

 あらためて例文を並べる。
1)先生{(で)も/(で)さえ/だって}解けない難問
2)水{(で△)も/(で)さえ/だって}のどを通らない
3)ミミズ{(で)も/(で)さえ/だって}生きている
A:弟はアメリカに10年も住んでいるのに、日常会話{さえ/も/でも?}話せない。
B:ジェシーはひらがな{さえ/も/でも?}書けない。
C:緊張で、水{さえ/も/でも?}喉を通らない。
D:この国は、冬{さえ/も/でも}暖かい。
E:部屋が暗くて本{さえ/も/でも?}読めない。
 肯定文〈3)D〉は{さえ/も/でも}が使える。
 否定文〈2)ABCE〉は{さえ/も}が使える。「でも」は使いにくい。

 こう並べると、1)が異質。否定文なのに「でも」でも異和感がない。
 たしかに「先生(に)も解けない難問 」のほうが自然な気がするけど、「先生でも解けない難問 」もさほどおかしくはないだろう。
 基本的には「子供でも解ける問題」「先生(に)も解けない問題」が自然だと思う。
 でも「子供(に)も解ける問題」「先生でも解けない問題」もアリだろう。
 理由は……わからんって。

 もうひとつイヤな例外が……。
E:部屋が暗くて本{さえ/でも?}読めない。
 これは原則(否定文は「でも」を使いにくい)どおり。下記だとどうだろう。
F:部屋が暗くて文字がこんなに大きな本{さえ/でも}読めない。 
 こちらは「でも」でもいいのかも。

 ちなみに、質問者が〈調べていると、「~でも」は暗示もあるというんですが、暗示とはなんでしょうか?〉は、辞書の説明でいいだろう(ちょっと疑問も感じるが)。

===========引用開始
さえ の類語・言い換え

解説
でも/さえ/だって/など の解説 - 小学館 類語例解辞典
でも/さえ/だって/など の共通する意味
極端な例、暗示的な例などを表わす。

でも/さえ/だって/など の使い方
でも
▽(1)先生でも解けない難問 ▽(2)公園にでも行こうか ▽(3)自転車でもパソコンでも好きな物を買ってあげよう ▽(4)話だけでも聞いてほしい ▽(5)この店には何でもある
さえ
▽(1)水さえのどを通らない ▽(2)寒いだけでなく雪さえ降ってきた ▽(3)寝てさえいれば風邪は治る
だって
▽(1)ミミズだって生きている ▽(2)マンションだって車だってみんな親に買ってもらったものだ
など
▽(1)この洋服などいかがですか ▽(2)太郎や花子などが同級生です ▽(3)お金など欲しくない
でも/さえ/だって/など の使い分け
1表例(1)はいずれも、ある極端な事柄を例に示し、それが成立するならば当たり前の事柄も当然成立することを言外に述べている。「子供に分かる問題」ならば、「大人に分かるのは当たり前だ」ということを言いたいわけである。
2「でも」には、例文(2)のように仮に一つの例を示す用法がある。多くの場合、勧誘や意志・希望の表現で用いられる。この用法は「さえ」や「だって」にはない。これに対し、例文(3)は代表的な例を仮にいくつか示す用法である。例文(2)とは違い、「だって」で言い換え可能である。ほかに、例文(4)のように「だけ」を強調して一つに限定する用法や、例文(5)のように「何」「どこ」「いつ」「だれ」などの不定代名詞について、そのすべての事柄について当てはまることを表わす用法もある。
3「さえ」の例文(2)は、程度の激しい事柄をさらに付け加える働きをしているが、現在ではこの用法は「まで」を用いることが多い。また、例文(3)のように「~さえ…ば」の形で、ある条件を満たせば結果としてある事柄が成立することを表わす用法もある。
4「だって」の例文(2)は、「でも」の例文(3)と同じく代表的なものをいくつか例に挙げる用法である。
5「など」は、口語では「なんか」や「なんぞ」の形をとることが多い。他の語と違って、極端な例を挙げる用法はない。例文(1)は、「でも」の例文(2)と同じように仮に一つの事柄を例示する用法である。例文(2)は、他の例の存在を暗示しながら、いくつか挙げた例をまとめる用法である。この用法のように複数の例を挙げる場合、「でも」や「だって」のように例ごとにつけて、「~でも…でも」「~だって…だって」のようにいうのではなく、最後の例にのみつけて、「~や…など」のようにいう。例文(3)は、その例を軽んじて扱う気持ちを表わす。
でも/さえ/だって/など の関連語
すら
極端な例を示す用法があるが、現在では書き言葉として用いられることが多い。「彼は自分の名前すら忘れてしまった」「財布には小銭すら残っていない」
でも/さえ/だって/など の類語対比表
    ①子供(に)…分かる問題 今から…間に合う 休む時間…ない お茶…飲みませんか
でも   ○            ○         -       ○
さえ   ○            -         ○       -
だって  ○            ○         ○       -
など   -            -         ○       ○ 
===========引用終了

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ブログランキングに参加しています。
下のアイコンを押してもらえると励みになります。たぶん。
とってもうれしいです。
※やはり「うれしいです」は美しくない。
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12282289501.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

語学(日本語) ブログランキングへ

#日本語 #敬語 #誤用 #慣用句 #言葉 #問題 #間違い #二重敬語

#日本語 #敬語 #誤用 #慣用句 #言葉 #問題 #間違い #二重敬語