「え段+て」の解釈 | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

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 質問の内容。

==============引用開始

「ほとんど眠れてない」

「限界に近づけていった」

「怒れて泣ける」

例文の「眠れ」「近づけ」「怒れ」は
“可能動詞+て”の形ですか?
それとも、
“四段活用動詞已然形+て”の形ですか?

ときどき「え段+て」の形が ・・・ができている の意味か ・・・ている の意味か、上の例文のようによくわかりません。

たとえ例文の「限界に近づけていった」は、
「限界に近づくことができていった」の意味か
「限界に近づいていった」の意味かよくわかりません。

これをはっきり区別できる方法があるなら教えてください。私は外国人なので上の質問に何か勘違いしている内容があるかもしれません。そのときは間違えた内容を訂正・指摘してください。

==============引用終了


No.3ベストアンサー

  • 回答者:1311tobi 回答日時:2014/01/14 22:07

 たびたびどうも。

 基本的にNo.1のかたのコメントでよいと思います。リンク先の「国文法初歩」も役に立つと思います。ちょっと疑問があるので補足します。

「眠る」「近づく」「怒る」は五段活用動詞です。


  原形(終止形) 「れる」がついた形  可能動詞

  眠る      →眠られる      →眠れる    

  近づく     →近づかれる     →近づける

  怒る      →怒られる      →怒れる

※「いかる」だと少し不自然なので「おこる」で考えます。

※日本語学習者の場合は「原形(終止形)」ではなく、「る形」もしくは辞書形と言ってるかもしれません。


 可能動詞の「近づける」はあまり使われないと思います。でも、「猛獣に近づける」なら可能動詞でしょう。

 可能動詞の「怒れる」もあまり使われないと思います。でも、「子供をちゃんと怒れるようになったら、教師として一人前」くらいですか。この場合、「しかれる」のほうが適切でしょう。


 さて例題の「限界に近づけていった」の場合は可能動詞ではありません。「近づける」という普通の動詞で、可能の意味はありません。これを可能動詞にすると「近づけられる」になります(「近づけれる」だと「ラ抜き言葉」です)。

 したがって、例文の「限界に近づけていった」は、

「限界に近づくことができていった」ではありません

「限界に近づいていった」でもありません。

「限界に近づける」を「~ていった」の形にしたものです。意味としては「少しずつ限界に近づけた」くらいですか。


■Web辞書『大辞泉』から

http://kotobank.jp/word/%E8%BF%91%E4%BB%98%E3%81 …

================引用開始

ちか‐づ・ける 【近付ける】


[動カ下一][文]ちかづ・く[カ下二]

1 近くへ寄せる。「船を岸壁に―・ける」「顔を―・けてのぞきこむ」

2 人を近寄らせる。また、人と人とを親しくさせる。「危険な人物を―・けない」「パーティーで二人を―・ける」

3 めざすものに近い状態にする。「目標額に―・ける」

================引用終了


 ほかの2つはまぎらしくないと思いますが普通の動詞の「近づける」と、「近づく」の可能動詞の「近づける」は確かにまぎらわしいですね。

「限界まで近づけた」だけだと判断できません。

「~することができる」に言いかえられるなら可能動詞という判定法ではダメでしょうか。


「猛獣に限界まで近づけた」(=近づくことができた)は可能動詞です。

「家具を限界まで壁際に近づけた」(≠近づくことができた)は普通の動詞です。 


 同様の例で有名なのは「抜ける」でしょうか。

「大きな大根が抜けた」(=抜くことができた)は可能動詞です。

「髪が抜けた」(≠抜くことができた)は普通の動詞です。

「組織から抜けた」(≠抜くことができた)は普通の動詞です。


「抜く」と「抜かす」の関係あたちも少し関係あるかもしれません。

【「抜く」「抜かれる」vs.「抜かす」「抜かされる」】(当方の個人ブログです)

http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1032. …



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