ミネラルの話 その6 | 鹿児島ますや~黒豚無添加のソーセージ・ハム・ウィンナー・ベーコン・餃子・etc...~

ミネラルの話 その5を書いてから少し時間が経ってしまいました。

今回はその6として、微量ミネラル9種類の主な働きについて簡単に述べて行こうと思います。

9種類とは、鉄Fe,亜鉛Zn、銅Cu,マンガンMn,ヨウ素I,セレンSe,モリブテンMo,クロムCr,コバルトCoです。

鉄:体内にある鉄の量は体重の約0.005%と言われており、成人で約2g〜4gです。

存在場所は、約70%は赤血球の中にあるヘモグロビンにある。

残りは、筋肉や肝臓、骨髄

鉄の最も重要な役割:酸素を全身に運ぶこと。すなわち、鉄が不足するとヘモグロビンが減少し貧血になる。

・体内の酸化還元反応の促進

・活性酸素の除去→カタラーゼやスーパーオキシドジスムターゼと言った鉄を含む酵素は、活性酸素を分解する

・免疫機能の維持→鉄が欠乏すると白血球の一種である好中球の殺菌能力が低下する

・ATP(アデノシン三リン酸)の生成→チトクロームなどの鉄を含む酵素は、ミトコンドリア内で電子伝達系と呼ばれる酸化還元反応をすることでATPを生成する

鉄が不足した時の症状

・貧血、倦怠感、めまい、運動能力の低下

・消化管の異常(下痢など)

・舌や口内の炎症(舌のびらん、口内炎など)

・皮膚や爪の異常(皮膚疾患、爪の変形など)

・免疫力の低下(病気に罹りやすくなる)

・鉄を多く含む食品は、動物のレバー、魚だと鮎の丸ごと、アサリ、青のりやひじき

 

亜鉛(Zn):体重60kgの成人で約2g存在。亜鉛と銅の合金はシンチュウ

存在場所は約60%は筋肉、約25%は骨

残りは血液中、肝臓、前立腺など全身の組織、細胞内にあり、殆どはタンパク質と結合

亜鉛の役割:酵素の構成成分

・身体や脳の正常な発育の維持

→タンパク質、DNA、RNAの合成

→細胞分裂の促進

→骨の成長を助ける

→傷や組織の修復

→味覚の維持

→視覚の維持

・免疫機能の維持

・血糖値の調節(インスリンの合成と貯蔵)

・性機能の維持(性ホルモンや精子の生成)

・活性酸素の除去

特に亜鉛はセックスミネラルとも呼ばれ、性機能の維持する働きをしている。

また、味覚とも深い関係にあり、亜鉛が不足すると、味覚障害になりやすい。但し、味覚障害になる要因には薬や病気がありますが、約30%は亜鉛不足と言われている

亜鉛を多く含む食品は肉類と特に牡蠣には多く含まれている

亜鉛が不足した時の症状

・発育不全、疲れやすい、食欲不振

・学習障害、神経障害(うつなど)

・免疫力の低下(風邪などに罹りやすくなる)

・傷が治りにくくなる

・味覚障害

・性機能の低下(精子の減少、勃起不全、月経異常など)

・視覚障害(暗闇での視力低下、色盲など)

・皮膚障害や爪の異常、脱毛

・貧血(スポーツ貧血など)

 

銅(Cu):成人の体内に約80mg〜100mg含まれている

体内では、骨格、次いで筋肉、肝臓、脳、血液、皮膚、腎臓の順。濃度的には肝臓、腎臓で高い

ほとんどは、タンパク質と結合

因みに、タコやイカ、エビなどの血液は青色をしているが、これは酸素を運搬するヘモグロビンの代わりにヘモシアニンという銅とタンパク質を持っているからです。

銅の役割

・酵素として体内の酸化還元反応に関係

・鉄の吸収、運搬、代謝に関係

・ヘモグロビンの生成に関係(不足すると貧血になる)

・骨や皮膚などの結合組織の生成と維持(コラーゲンの形成)

・エネルギーの合成

・活性酸素の除去

・免疫機能の維持(白血球などの生成)

・糖やコレステロールの代謝機能

・血液凝固の促進

・神経伝達物質の生成

・生殖機能の維持(不足すると不妊症になる)

銅が不足した時の症状

・髪の毛や皮膚の色が薄くなる

・貧血

・骨への異常(骨粗相症)

・成長障害、食欲不振

・胎児の脳への障害、神経障害(うつ)

・免疫機能の低下

・不妊症

・心臓の異常(不整脈、心筋梗塞など)

・メンケス病

→先天的な遺伝病。消化管から銅を運搬するタンパク質がないため、銅不足になる。頭髪が脱色し、縮毛のほか、銅不足による症状が現れる。

銅を含む食品

→銅は肝臓に貯蔵されるため、動物のレバーに豊富。

また、タコ、イカなどの軟体動物やカニ、エビなどの甲殻類にはヘモシアニンがあるので、銅摂取には非常に良い。

 

Mn(マンガン):マンガンは成人の体内に約12mg〜20mg含まれる金属のミネラル

→体内の存在場所は全身の各組織に一様に分布しているが、特に細胞内でエネルギー(ATP)を生産しているミトコンドリア内に多く含まれる。

組織的には骨、肝臓、腎臓、膵臓、網膜、毛髪、皮膚色素沈着部など体内の色素部に多い

→マンガンの役割

・酵素の構成成分となり酵素の活性化を助ける補因子として働き(ピルビン酸カルボキシラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ等)

・タンパク質、脂質、糖質の代謝を促進する酵素の活性化

・骨や関節を丈夫にする酵素の活性化

・性ホルモンの合成に関与、正常な生殖機能の維持

・内耳の発育形成

・活性酸素の除去

・中枢神経の正常化

・血糖値を下げる

→マンガンが不足した時の症状

人の場合、どの様な症状が現れるのか、まだ明確には分かっていない

推測される症状

・骨の発育不全

・性機能の低下(不妊症、精子欠乏症)

・中枢神経障害

・糖尿病になりやすくなる

・皮膚疾患

→摂りすぎによる影響

マンガン鉱山労働者などマンガンの粉塵などを吸入する機会の多い人の間で起きやすい

・食欲不振、脱力感、不眠、頭痛など

・マンガンによる肺炎(マンガン肺炎)

・甲状腺肥大

・パーキンソン病に似た精神障害(筋肉の硬直、震え、動きが鈍くなるなどの症状)

→マンガンを含む食品

特に藻類に豊富で、干しひじき、焼き海苔、青のりに多い

 

ヨウ素(I):ヨウ素は甲状腺ホルモンの主成分で人体に約15mg〜20mg含まれている

ヨードとも呼ばれており非金属である。液体で赤褐色、気体で紫色をしている。

ヨウ素とデンプンが反応して青紫になるヨウ素デンプン反応は小学校で習う。

ヨードチンキの成分として消毒液としても知られている。

→体内の存在場所

・甲状腺に体内にあるヨウ素の70%〜80%が存在

→ヨウ素の役割

・甲状腺ホルモンの主成分

チロキシン(サイロキシン)

トリヨードチロニン(トリヨードサイロニン)

→甲状腺ホルモンの役割

・糖質や脂質、タンパク質の代車を促進

・エネルギー代謝に関係

・成長促進

→ヨウ素が不足した時の症状

甲状腺ホルモンの生成が出来なくなる

甲状腺刺激ホルモンの分泌が増加

甲状腺が肥大化する(甲状腺腫)

甲状腺機能障害

・成長障害

・精神発達の遅れ

・体力低下、肥満、脱毛、肌荒れ

・クレチン病

*母親がヨウ素欠乏になった結果、生まれた子供も欠乏症になる。発育不全や精神障害を発生

→ヨウ素の取り過ぎによる影響

・甲状腺が肥大化する(甲状腺腫)

・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

*甲状腺ホルモンの過剰分泌などに起こる。眼球の突出、手指の震え、動悸、発汗、精神不安定

*キャベツやサツマイモ、ダイスなどには、ヨウ素の蓄積を阻害するゴイトロゲンという成分が含まれている

→ヨウ素を含む食品

藻類や魚介類に多く、昆布、ワカメ、アマ海苔に多い

 

Se(セレン):セレンは老化防止のミネラルと言われ、ギリシャ語の月を意味する半金属のミネラル。

→体内にあるセレンの量

・体重70kgの人で約12mg含まれている

→体内の存在場所

・前進の各組織に広く分布している

・組織的には肝臓、胃、下垂体などに多い

→セレンの役割

・抗酸化作用

活性酸素や過酸化脂質を分解する

・ガンの抑制効果

・免疫力の維持

・老化防止

・心筋梗塞、動脈硬化、リウマチ、白内障などの予防

・健康な精子の生成

・重金属類の毒性を軽減

*体内にある活性酸素は、細胞膜などの脂質を酸化させ、有害な過酸化脂質に変化させます。こうした過酸化物は、体内の他の細胞や組織に損傷を与え、ガン化や老化を促進します。こうした、過酸化物による体内の悪影響を酸化ストレスと言います。

→セレンの抗酸化作用

・セレンはグルタチオンペルオキシダーゼの構成成分

*グルタチオンペルオキシダーゼは、活性酸素や過酸化脂質を分解するグルタチオンの反応を助け、促進する働きがある

グルタチオンプルオキシダーゼ+グルタチオン

活性酸素や過酸化脂質の分解

酸化ストレスを弱める

ガンの抑制、老化防止、免疫力の維持

→セレンが不足した時の症状

・克山(ケシャン病)

慢性の心筋障害

・カンシーベック病

背が伸びなくなったり、骨が曲がったりする

・酸化ストレスが増大

・ガンになりやすい

・免疫力の低下(細菌やウィルスに感染しやすくなる)

・男性不妊症(精子の生成や活動に異常が起こる)

・肝臓障害、心臓障害、筋肉などの痛み)

・白内障に罹りやすくなる

→セレンの取り過ぎによる影響

・脱毛、爪の変形

・疲労感

・嘔吐、腹痛、下痢

・抹消神経障害

・慢性皮膚炎

→セレンを含む食品

セレンは、土壌で生産される植物性食品にはあまり含まれていない。

豊富な食品は、魚介類、肉類、藻類です。

 

Mo(モリブテン):モリブテンはギリシャ語で鉛を意味する金属のミネラルです。

人体には約5mg含まれている

→体内の存在場所

・摂取した3分の1は肝臓に蓄積

・3分の1は腎臓など他の臓器に蓄積

・残りの3分の1はすぐに排出される

→モリブテンの役割

・体内の老廃物を作り有害物を分解する酵素の構成成分

キサンチンオキシダーゼ

*尿の成分である尿酸を作る酵素

アルデヒドオキシダーゼ

*人体に有害なアルデヒドを分解する酵素

亜流酸オキシダーゼ

*有害な亜硫酸イオンを毒性の低い硫酸イオンにする酵素

・鉄の利用を高めるなど造血作用にも関係

・植物では空気中の窒素を肥料となるアンモニアにする酵素(ニトロゲナーゼ)の構成成分 

→モリブテンは不足したり摂りすぎることは殆どない

→モリブテンを含む食品は、穀類、豆類に多く含まれている。他には、うどん、蕎麦にも含まれている。

 

Cu(クロム):クロムはギリシャ語で色を意味する言葉です。他の金属と混ぜて合金にしたり、メッキとして広く使用されている。腐食性に優れているので、台所用品など様々な用途に利用されているステンレスは、クロムと鉄やニッケルの合金である。電熱線として使用されているニクロム線はクロムとニッケルの合金。

体内にあるクロムの量は、約2mg含まれている。但し、食生活や環境などの地域差が大きい。

→体内の存在場所

・肝臓、腎臓、膵臓、血液中など各組織

・細部内では核内に多く存在

→クロムの役割

・糖代謝(インシュリンの働きを高め血糖値を下げる)

・脂質代謝(中性脂肪を減少させる)

・コレステロール代謝(善玉コレステロールを増加させ、悪玉コレステロールを減少させる)

・結合組織代謝(コラーゲン形成など)

・たんぱく質代謝

→クロムが不足する原因と症状

不足する原因

・極端にクロム含有が少ない食品ばかり摂っている

・未熟児

・妊娠、出産時

・糖分の摂りすぎ、糖尿病患者

症状

・糖尿病

・高血圧、動脈硬化、心臓病

・高脂血症、角膜疾患、末梢神経障害

→クロムの摂り過ぎの原因と症状

3価クロム

サプリメントなどの過剰摂取など

・嘔吐、腹痛、下痢、肝障害、造血障害、中枢神経障害

6価クロム

工場などでの暴露など

・皮膚炎、鼻粘膜の腫れや充血

・気管支炎、喘息

・肺ガン

→クロムを含む食品

クロムは、豆類、種実類、藻類、魚介類、肉類などに多く含まれ、野菜類にはあまり含まれていない。

最も豊富なのは藻類です。

 

Co(コバルト):古くからガラスや陶器類を青く彩色するのに用いられてきた金属。

体内には、約2mg含まれている。

→コバルトの役割

・ビタミンB 12の構成成分

ビタミンB12としての役割

・赤血球の核酸の生成

・中枢神経や末梢神経の働きを維持

→コバルト(ビタミンB12)が不足した時の症状

・悪性貧血(頭痛、めまい、吐き気、動悸、息切れなど)

・食欲不振

・集中力の低下

→コバルトを多く含む食品

・魚介類(秋刀魚、マグロ、牡蠣、アサリ、海苔等)

・肉類(牛のレバー、豚のロース、レバー等)

*極端な菜食主義の人は、ビタミンB12が不足する可能性が大なので、注意が必要である。