薩摩の「酒すし」の研修に行きました! | 鹿児島ますや~黒豚無添加のソーセージ・ハム・ウィンナー・ベーコン・餃子・etc...~

 鹿児島には古くから受け継がれてきた「酒ずし」があります。

どんなものかと言うと「肥後の赤酒・薩摩の地酒」蟹江松雄監著によると、

 鹿児島の郷土料理の中で一番豪華なものは酒ずしである。この酒ずしが何時の頃から作られるようになったかは全く分からないが、300~400年の歴史があるといわれる。

 天保14年発刊の『三国名勝図鑑』の中にも鹿児島郡の物産として鮓が上げられており、藩政時代から薩摩の酒ずしが全国に知られていた事が分かる。一般的に鹿児島の郷土料理は保存食に基本を置いた、素朴、地味なものであるが、これに対して酒ずしは、華やかで、豪華で気品さえ感じられる。

 仕込まれる材料も新鮮そのもので、したごしらえもことのほか入念である。そして一夜熟成させたすしの味わいは複雑で、その内容を一言で表現するとなれば春爛漫だといえる。

 酒ずしが他のすしと大きく異なっているのは、他のすしには、酢を使用するのに対し、酢の代わりに地酒を使用することである。しかも、旬の物である筍、ふき、山椒にえび、いか、鯛等の言わば贅沢品を使う事から、限られた階層の食べ物として受け継がれてきたもので、一般的な食べ物ではなかったといえる。酒ずしの造り方は『かごしま郷土料理全集』『かごしまの味』『かごしま文化百選』等の記載や島津家伝承のもの等、少しずつ違っているが、それぞれの旧家に受け継がれて独特の酒ずしになったものであろう。例えば、島津家の酒ずしでは具は大体16種類使ったと書かれているし、桜の花の塩漬けを戻して三杯酢に漬け、すしに入れている。すし自体が甘いので、甘酸っぱいものが入るとアクセントが出来ておいしいとされている。一般にはこの桜の花漬けは用いられない。又何時の頃からか武家家風は見た目を質素に、商家は華やかに作ったといわれる。

 

 今般、食文化研究家であり、フードジャーナリストの向笠千恵子先生を迎えて、鹿児島県の谷山にある東酒造で福元万喜子社長による「酒ずし」の勉強会に参加させて頂きました。

 朝、東酒造の工場に到着し、調理室の横にある休憩室に行くと既に仕込まれた酒ずしがテーブルの上に重しを乗せて有りました。

 これは、今日のお昼に試食する為に福元社長が朝早く仕込んで作って下さった物です。仕込んで、最低6時間は寝かせるのですが、ポイントは重しを乗せての押し加減だそうです。

 

 調理場では既に今日の参加者の元乙女の方々がワイワイ楽しそうに仕込みをされておりました。

ここで、ちょっと宣伝ですが、福元社長に依頼されて、魚の処理に「ヨネマスメソッド」を使わせてもらいました。どう言う事かと言いますと、昔はふんだんに獲れていた魚ですが、最近は獲れない日も多いので、事前に『キビナゴ、鯛、イカ、タカエビ』をミネラル冷凍しといて、それを解凍して仕込みに使いました。参加者の皆様から早速「これは、何処で買えるのですか?」と質問が飛びました。

 作り方は、黒酒と塩を混ぜ、合わせ調味料を創ります。それを、冷ましたご飯に混ぜます。それから、桶にお米を1/4平に敷き、上に1段目の山の幸(干し大根・椎茸・筍・つわ)を並べます。2段目に練物(薩摩揚・紅蒲鉾、薄焼き卵)を乗せます。3段目に海の幸を乗せ、最後には彩の良い具(薄焼き卵、鯛、イカ、エビ、筍の穂先、木の芽)を前面に乗せる。

 向笠千恵子先生が造った酒ずしが、これです。                                          

そして、今朝早くに、福元社長が作って下さった酒ずしが、これです。何とも美味しそうですね!実際に美味しいのですが、随分手間が掛り、時間が掛って、本当に贅沢な郷土料理です!

 

  朝早くから仕込んで、最低6時間以上重しを乗せてやっと食べれます。しかし、翌日食べるお味は格別らしいですよ!

 それでは、今回は、薩摩の郷土料理の自慢話にておしまいにします。また、ブログ更新しますね!