私にとっての結婚は実家から逃げ出す手段だった
体もそんなに強くない、根性も気力も頭脳も何もない
持とうとすらしない、努力すれば持てることも知らない
そんなクズのような子供だった
人を好きになることもない
夢に夢見たことはあるけど、小説やマンガの延長
現実の異性を見て後ずさりするような子だった
就職はしたけどセクハラ、モラハラだらけの時代
女性をクリスマスケーキに例える時代
ノストラダムスの大予言を信じ、いつ死んでもよかった
私にとって両親、親族は粗暴で騒がしい人たちだった
彼らなりに愛情は注いでくれたのだろうが、私が感じることはなかった
飢えもしないし学校にも行かせてくれた、ただそれだけ
そんな中で夫は私の話を聞いてくれた唯一の人だった
聞こうとしてくれた人達はいたけど私が心を開くことはなかった
気にしすぎ、神経質、大げさ、恥ずかしい、子供の頃から親にそう言われていたせいか私は自分の気持ちを話すことが苦手だった
黙っていれば何となくすべてが過ぎ去るから
好きという気持ちはよくわからなかったけれど夫といるのは楽しかった
大事にされるのも執着されるのもいい気持ちだった