こんばんは。都議の栗下です。
 
 
先日のブログで取り上げた鳥取県の青少年条例改正は、本日委員会で可決。その際、どの議員からも意見表明が行われなかったようですが、これはもう議会の自己否定に等しい行為です。
 
ボウガン規制にも注目が集まっていますので、今日はあまり知られていない、青少年条例における「有害玩具」(東京都では不健全玩具)についてご紹介したいと思います。
 
 
■有害玩具とは
 
有害玩具とは、18才未満の青少年が所持や使用にあたって危険があるとして、青少年への販売・青少年による所持を各都道府県の青少年条例によって禁止したものです。
 
例えば、今鳥取県で問題になっているボウガンやナイフ・エアガンなどの武器、県によっては大人のおもちゃなども有害玩具指定されています。
 
18才以上に向けたこれらの武器に対する規制については、銃刀法や軽犯罪法の範疇になります。
 
 
■各県の違い
 
有害指定されている玩具、罰則などは地域によって様々です。今回は非常に特徴的な東京都と大阪府の有害玩具について見て見たいと思います。
 
まず東京都ですが、他の都道府県に比べると玩具に対する指定は抑制的です。エアガンの一部とナイフ類について。
罰則については定められていません。
 
一方、大阪府での有害玩具は多岐に渡ります。また、以下のように定義される、大人のおもちゃも対象になっています。違反すると30万円以下の罰金が課されます。
 
 
 
これらの通り、同じ大都市圏でも規制の内容は大幅に異なります。
 
 
■銃刀法・軽犯罪法
 
さて、上でも触れましたがこれらの青少年条例はあくまで18才未満の青少年に対する販売や所持を規制するものです。
 
銃刀法(正式には銃砲刀剣類所持等取締法)での規制対象は
 
となっています。モノによって罰則は違いますが特に拳銃については弾丸と一緒に所持した場合、5年以上の懲役と3000万円以下の罰金併科と極めて重い罰則が課されています。刃物については、刃渡り6cm以上のものについては一部の例外を除き(はさみや果物ナイフなど)携帯することも禁止されており、30万円以下の罰金。
カッターナイフについては刃渡りが6cmを超えてしまうので、警察官がこれを発見してしまった際には、正当な理由があるかどうかを確認しなくてはいけないそうです。普段あまり意識しませんが注意が必要ですね。
 
さて、この銃刀法で取り締まれない武器に関しては軽犯罪法で取り締まっています。
 
 
例えば、ボウガン、弓矢、スタンガン、刃渡り6cm以下の刃物や特殊警棒等もこれに当たりますが、正当な理由なく携帯していると罪に問われることとなります。
 
少し話がソレてしまいましたが、これらの法規制で不十分なところを各都道府県県の青少年条例の中の有害玩具制度で上乗せして補っているという構造になっています。
 
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度々発信していますが、もし本当にボウガンによる事故を防ぎたいということであれば、兵庫県のように専用の条例を新たに制定して全年齢向けに届け出制度などを整備すべきです(本当は国で法整備をすべきですが動く様子が無い・・)。
 
冒頭でも取り上げた鳥取県では青少年条例改正で「対策しました!」というつもりかも知れませんが、成年が犯行に使うことは抑止できない上に、全然関係無い「有害図書」のネット販売規制までおまけでついてくるという不可解さです。
それら問題点について残したまま、各会派が意見表明もなしに成立に突き進んでいこうとしているのは非常に残念と言わざるを得ません。