こんばんは。都議の栗下です。

 



今日は、鳥取県における青少年条例改正について取り上げたいと思います。

なぜ鳥取県でのいち条例改正が注目されているのか?

「鳥取県が定めた有害図書指定・玩具を、鳥取県内の青少年に対して、インターネット販売した事業者に対して罰則を課す。」という内容が問題視されています。



■他県から見た条例の問題点

まずは条例改正の概要についてご覧ください。


 


問題になっているのは②。

有害図書(鳥取県が18才未満に見せるべきでは無いとして指定した書籍)を販売した業者には罰則が課されていたのですが、これをインターネットを通じて販売した事業者にも拡大するという内容です。


例えば、Amazonで有害図書を鳥取県民に対して販売すると罰則が課される可能性があるということです。
Amazonのような大規模事業者だけではありません。あまねく販売事業者がどうやって鳥取県民の購入を区別するというのでしょうか
香川県におけるゲーム規制条例では、通信事業者に対して香川県民に規定の時間以上のゲームをさせないことを責務として課していて今もなお批判の的になっています。


■きっかけはボーガン規制・・・

この問題、背景には今年6月に起きた兵庫県宝塚市で起きたボーガンによる殺傷事件が条例改正のきっかけになっています。
この点については私自身も過去のツイッターでも触れてきましたのでそちらが分かりやすいかと思います。

 

 

 

 

■鳥取県議会での議論を通じてわかったこと

 

この条例改正案は現在開会中の鳥取県議会で審議されています。

 

現在のところ、主には9月14日の委員会質疑・9月29日の一般質問で自民党の議員がこの問題について触れました。

 

他地域への影響がある上述した問題点(有害図書・有害玩具を県外の事業者が鳥取県の青少年に販売した際罰則が課されている)についての質問と答弁を抜粋します。

 

 

<9月14日 川部県議による委員会質疑より>

 

川部県議

 

 

 

子育て王国課長

 

 

 

 

「よっぽどのことがない限りは〜捜査に行くとはないのかな、ただ規定上は摘発可能な状態にしておくということ」との答弁。

事態によっては摘発する可能性を示唆しています。

 

 

<9月29日同じく川部県議による一般質問より>

 

川部県議

 

 

 

 

県知事

 

 

 

 

 

 

知事の答弁を要約しますと、

 

条例改正するまでもなく、これまでの有害図書・玩具の販売については県外の事業者が鳥取県の青少年に販売したケースもその対象であった。しかし、このことについて事業者に広く知れ渡っているわけでは無いからこの度の条例改正で明文化する。そしてこの後は業界団体などを通じて県外の事業者にも周知徹底を行うことが青少年への悪影響を未然に防ぐことに繋がっていく。

 

ということだと思います。

 

しかし、以下の2点について大いに疑問があります。

 

鳥取県は果たして県が指定した有害図書をあまねく事業者に対して周知することが本当にできるのか?

 

全国の販売事業者およびシステムにかかる負担を具体的に検討したのか?

 

特に今回の条例改正は「インターネットを通じた販売について」と強調されて書かれています。ネット商流は書店販売のそれとは複雑さのケタが違うので、これはどう考えても無理でしょう。

 

また、2つの質疑を通じて

罰則をつけることによって検挙することが目的ではない、ということを言っていますが、だとすれば県外事業者の販売については努力義務に収めることが妥当でしょう。

県外の数限りない事業者に対してフェアに罰則を運用することなどどう考えても不可能なのですから。

 

これらの点から、多くの方々が怪訝に思っている問題については、全く払拭されていないことが明らかになったというのが現時点での感想です。

 

正直にいうと、鳥取県に全国からの批判を覚悟で罰則を適用する意思もないと思いますし、「すごく危険」とは捉えていません。

しかし、上に挙げた通り、罰則をつけるからには実効性とフェアネスは担保されなくてはならないのであり、それを怠ったまま罰則の範疇とする雑な条例改正と言わざるを得ません。

 

議会の構成を見た限り、このままの流れで改正されてしまうような気がしますが、こう言ったおかしな事が起こった時にはそれを全国にそれを知らしめていくという事がすなわち表現の自由を守っていくことに繋がるのではと思います。

 

10月8日が県議会の閉会日です。最後まで注目したいと思います。