いつからなのか、
通り雨の去った後が好きになっていた。
数日前の朝、
娘を病院に連れて行くことになった。
妻の電動自転車の後ろに乗せ、
1kmほど離れたこどもクリニックへ。
出発直前、雨がザーッと降りだして、
「うわー、雨の中自転車かぁ、、、」
と雨具の用意をしていると、
止んだ。
子ども時分からなのだが、
最近また晴れ男具合が増してきたように思う。
「よっしゃ!今のうちに行こっか!」
と気持ち晴れやかに病院へ向かう道中、
「ん!?!?」
なつかしい匂いがした。
付近を見渡すと、学校や集合住宅。
「ああ、、、」
気付いたのは、緑が多い場所だったこと。
「『草いきれ』かぁ、、」
花や木、芝生や雑草が、
水を浴びて間もなく太陽に照らされ、
もわっと独特の香りを放っている。
自転車を停めた。
「娘ちゃん!いい匂いするなぁ」
「えー?」
「お花や草が雨で濡れて、いい匂いしてるねん」
嗅いでみてはパッとしない顔をしている娘。
「ごめんごめん、まだ難しいかもね😊」
「むずかしい」
その何気ない一瞬が嬉しくて、
病院へ向かう道中は笑いが絶えなかった。
花や植物に別段詳しくはないけど、
金木犀やモミジなど、
季節の移りを教えてくれる植物が好き。
「エモさ」「情緒」てのは、
感受性に直結している気がしていて、
敏感でありたいと思う。
いつかTwitterで見た、
「プールの後の授業中、窓から入ってくる風が好きだった」的なツイートを見た時、
胸がキリリと苦しくなったのを覚えてる。
※探したら見つかった⇩便利な時代だねぇ
鯨庭さんの2016年のツイートより
https://t.co/Eyf0NjRfII https://t.co/VzpPTroKrm
— 鯨庭 (@KUJIRABA) 2020年2月20日
「プールの授業が終わったあとの国語の授業のときに開けてる窓から入ってくる風がいちばん好きな種類の風なんだけど、その風にはもう一生会えないのかとおもうとめちゃくちゃ悲しいな」
「みんなからほんのり塩素の匂いがして、何人かは疲れて爆睡していて、たまに風が窓際の何人かのノートをバラバラめくってきて、朗読の声がスッと響いていたあの時間は世界でいちばん穏やか場所だったとおもう」
数行であの頃に戻してくれる語りスキル、
"言葉"が凶器にもなる時代に、
まさかタイムマシンにしてくれるとは。
素晴らしいと思った。
"感受性"が
世界を変えることを信じて。