多摩川の源流・笠取山に行って来ました
先日、奈良倉山・鶴寝山に行った時
『多摩川源流』という言葉にとっても心惹かれてしまいました。
私は多摩川の下流のほとりで育ち、最寄りの駅の名も「多摩川」(当時は多摩川園という遊園地があったので「多摩川園前」という名でした)。家から徒歩5分ほどのところにある「多摩川台公園」が、子供の頃の遊び場でした。
そんなわけで、多摩川は、私にとっての故郷の川であり、原風景の一部なのです。
当時の多摩川は決してきれいな川ではなく、私が住んでいた家の近くは、洗濯洗剤のために川がいつも泡立っていて、家までシャボン玉のような泡が風に乗って飛んできたりしました。
当時、私の小学校には「小遠足」というのがあって
1年生から6年生まで、一斉に、その多摩川の下流から歩いて川を遡っていくというイベントで
1年生は巨人軍グラウンドくらいまで、6年生となると二子玉川も越えて登戸の方まで行ったんじゃないかと思います。(記憶は定かではないのですが)
小遠足は、歩くのが嫌いな私にとって、運動会に次ぐ、1年で最も嫌なイベントの一つで
多摩川の川っぺりをダラダラ歩くのが嫌で、その日は憂鬱だったのを今も覚えています。
ということで(どういうことで?)小遠足の完結編を、
小学校卒業以来、半世紀ぶりにやろうかと(笑)
多摩川の最初の一滴が始まる山・笠取山に登ってみました。
ちなみに、ご一緒してくれた山友は小学校一年生の時の同級生。
同じ小遠足の体験を共有している「多摩川仲間」です。
笠取山について調べてみると、アプローチの遠い山奥にありながら、大変人気が高く
休日は、朝7時には25台置ける作場平駐車場がいっぱいになるとのこと。
臨時駐車場も設けられているそうですが、もしどこにも停められなかったら悲惨なので、
6時台には着きたい、ということで3時半に家を出ます。
勝沼ICで中央道を降りて、フルーツラインを北上、ヘアピンカーブだらけの国道411号線(大菩薩ライン)を奥多摩方面へ進み、途中、一之瀬方面に向かう細い林道へ。
そこから不安になるくらい細い峠道を延々と走り、目的地の作場平駐車場に着いたのは6時半。
なんとその時点で駐車場は満車。手前の第二駐車場になんとか車を置くことができました。
私たちが車を置いてからも続々と車が入ってきたけれど、置けなかった人はどうするんだろう?
多分、この山行の最難関は、駐車場に入れるかどうか、かと。
作場平駐車場。
登山口はすぐです。トイレもあり、よく整備されていて、かなり大きな駐車場ですが
そのキャパを遥かに超えた台数の車が、朝からここに集まってくるようです。
臨時駐車場は何ヶ所か設けられていますが、それでも朝7時前に来ないと無理かも…。
作場平口を出発
登山口近くに案内板があります
「水源地ふれあいのみち」
◆水干ゾーン(源流のみち)
多摩川の源流である「水干」を中心として、清流と森林を通じて川の誕生や森林の働きを知っていただくためのゾーンです。また笠取山(1,953M)方面への登山にも利用できます。
◆水源林のはなし
東京都の水道水源林は、多摩川の安定した水を確保するため、多摩川上流域の森林を1901年(明治34年)から100年以上にわたり管理してきています。範囲は、東京都と山梨県にまたがり東西31km南北20kmで面積は約21,600haにおよんでいます。「緑のダム」ともいわれる森林のもつ効用が十分に発揮できるように守り育てています。(説明板より)
▼今日の登山コースです
作場平口→一休坂分岐→ヤブ沢峠→笠取小屋→小さな分水嶺→笠取山→水干(みずひ)→小さな分水嶺→笠取小屋→一休坂→作場平口
6:48 作場平口を出発
原生林のような雰囲気のある森をさくさくと進んでいきます。
よくある、鬱蒼とした植林帯とは、ちょっと違う感じ。
苔が美しい…ちょっとユーシンの森を思い出しました
豊かな森を映す流れ…
美しい流れとともに、「緑色に輝く苔」が見えますか?この苔こそが、上流に広がる森林の豊かさの象徴なのです。もし上流の森林が荒れ、あちこちに山崩れがあったり洪水が発生し岸が削られたりすると
大雨ごとに大変多くの土砂が流れ出します。この土砂が育ち始めた苔を削り取り、渓流は荒れた状態になってしまいます。このように源流部の渓流は、その上流に広がる森林を映す鏡であり、森林を守り育てるということは、渓流を守り育てることなのです。(説明板より)
ところどころに、博物館みたいに東京都水道局の説明パネルがあります。
森と水…
足元から、森の優しさが伝わってくるでしょう。森の下に、フカフカと足に優しく感じる土があることが「森は緑のダム」といわれるもっとも大きな理由となっているのです。森に降った雨は、地表に茂る草や落ち葉などがクッションとなり優しく土の中にしみこみ、少しずつ下の方に移動し、「地下水」となります。地下水は、ゆっくりと土の中を移動し、やがて渓流に流れ出ます。地下水の流れを支えるものが、フカフカとした土と、それを育てる森なのです。(説明板より)
人工林の話…
少し空を仰いでみませんか。
まっすぐに伸び、天を突いて伸びているカラマツが目に入りましたか。高さは30メートル以上もあります。この辺りは以前荒地だったのでヒノキを植えましたが、冬の寒さのため多くが枯れてしまいました。そこで寒さを防ぐ目的で、寒さに強いカラマツを先に植え、育てたカラマツ林の中にヒノキを植えたところ、うまく根付くことができました。その後手入れをし、現在のような大きな林になりました。
このように人の手で植えられ、手入れをされている林を「人工林」と呼びます。
この辺りのカラマツは、1926(大正15)年に植えられたものです。(説明板より)
大きな木と深い苔、原生林のように見えますが、
これらは豊かな水を守るために、人の手によって作られた森だったんですね。
沢に沿って道は続いています
よく整備された道…とても歩きやすい
沢を渡って…
7:23 一休坂分岐
一休坂分岐〜ヤブ沢峠
一休坂分岐からは、急登の一休坂ではなく、ヤブ沢経由で行きます
沢が美しくて
写真ばかり撮っていてなかなか進めません
新緑も美しすぎる
7:46 ヤブ沢
「ヤブ沢」に着いた!と思ったら、目指しているのはこの先の「ヤブ沢峠」でした。
まだまだしばらく、気持ちのいい沢沿いの道を進みます。
沢沿いに咲いていた小さな花たち…
ミヤマハコベ・ワチガイソウ
サンリンソウ・クリンソウ
ようやく沢を離れると…
8:27 ヤブ沢峠に到着
ヤブ沢峠〜笠取小屋
ヤブ沢峠からは沢を離れて普通の登山道
木々の向こうに、大菩薩や
富士山が見えてきます
ようやくスミレやマムシグサが陽当たりのいい斜面に現れます
8:46 笠取小屋に着きました
ここでお手洗いを借りて行きます
笠取小屋〜小さな分水嶺
笠取小屋から先は、まるで公園のように広々として歩きやすい道
山の上がこんなに整備されているって驚きです!
そして草原…
その向こうに美しい山々…
なんともいえない楽園感に、思わず声が上がります
とっても爽やかな高原です
丘の上に、人々がいます
9:03 雁峠分岐
あの丘が「小さな分水嶺」でしょうか?
どうして「小さな」なのかな? 名前が可愛くて、行ってみたくなりますよね。
多摩川・富士川・荒川の三つの川の分水嶺なのだそうです
「小さな分水嶺」の標識… あとひと登り
9:10 小さな分水嶺にやって来ました
奥に見えるのが、笠取山の山頂です
長くなってしまったので続きます