前回に引き続き、2019年度の16号目のネイチャーのハイライトより。
----------------------------------------------------------
神経科学：齧歯類における、ベクトルを基礎にしたナビゲーション符号化
Nature 568, 7752
2019年4月18日
齧歯類の海馬や嗅内皮質には、空間と動物自身の位置の符号化に関連した活動を行うさまざまなタイプのニューロンが存在している。しかし、それらの基本的性質は、環境の構造に関連付けられたもので、ナビゲーション環境の内部や周囲の物体に関連付けられたものではない。今回E Moserたちは、マウスの内側嗅内皮質に、ある固定目標物から特定の距離と方向にいるときに発火する、新たなタイプのニューロンを明らかにしている。著者たちは、これを「目標ベクトル細胞」と名付け、このタイプの細胞が多数見つかることから、ベクトル符号化が齧歯類の位置符号化の主たる形式だと示唆されると考えている。
LETTER p.400
----------------------------------------------------------
本論文においては、日本語版本誌では、「神経科学：内側嗅内皮質での目標ベクトル符号化」と題されています。
フルテキストを直訳しますと・・・
内側嗅内皮質におけるオブジェクトベクトルコーディング
となり、Abstractを直訳しますと・・・
海馬と内側嗅内皮質は、近位環境でのナビゲーション中に自己位置をマッピングする脳システムの一部です[1,2]。このシステムでは、神経発火と動物の位置または向きとの相関関係が非常に明白であるため、細胞タイプには、場所セル[3]、グリッドセル[4]、境界セル[5,6]、頭方向セル[7]などの簡単な説明的な名前が付けられています。識別された機能細胞タイプの数は着実に増加していますが、自然界の人口が豊富で幾何学的に不規則な環境とは異なる、空の囲いで採餌するげっ歯類からの記録へのほぼ独占的な依存によって洞察は制限されたままです。離散オブジェクトを含む環境では、動物はそれらのオブジェクトまでの距離と方向に関する情報を保存し、このベクトル情報を使用してナビゲーションをガイドすることが知られています[8,9,10]。理論的研究では、このようなベクトル操作は、離散オブジェクト[11,12]または境界[13,14]からの距離と方向を使用して動物の位置を決定するニューロンによってサポートされることが提案されていますが、ベクトルコーディングプロパティを持つ一部のセルは海馬[15]とサブイキュラム[16]に存在する場合があります。[17]-ベクトル演算が空間のより広い神経表現に実装されているかどうか、またどのように実装されているかはまだ決定されていません。ここでは、マウスが空間的に閉じ込められたオブジェクトから特定の距離と方向にあるときに、内側嗅内皮質ニューロンの大部分が特に発火することを示しています。これらの「オブジェクトベクトルセル」は、テストアリーナでの位置に関係なく、さまざまな個別のオブジェクトに等しく調整されます。また、点状のオブジェクトから拡張されたサーフェスまで、さまざまな寸法と形状に調整されます。私たちの調査結果は、内側嗅内皮質における位置コーディングの主要な形式としてのベクトルコーディングを示しています。
となります。
フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。
Full Text：LETTER p.400
Object-vector coding in the medial entorhinal cortex
Data availabilityによりますと・・・
この論文の調査結果を裏付けるデータセットは、対応する著者からの要求に応じて入手できます。
Code availabilityによりますと・・・
カスタムコードは、リクエストに応じて対応する作成者から入手できます。
究極に溜まりに溜まりまくっているネイチャー。次回は、「ウイルス学：HIV-1エンベロープタンパク質のコンホメーション状態」を取り上げます。
現在の事態が事態なので、ネイチャーの論文が停滞しております。時期を見まして取り上げる量を増やそうと思っています。
※体調を確保しながらなので、更新等が滞ることもあるかと思いますので、申し訳ないと思っております。主治医の指示に従っておりますので、ご安心くださいませ。まずは取り急ぎに取り上げます。
※政宗（いぬのきもち・ねこのきもちのデータベース）つついては、体調をみながら随時、最終更新日から取り上げています。癒し＆知識の増強にお役立てくださいませ。
※母がコロナウイルスワクチンの予約がなかなか取れない地域に住んでおりますので、私も予約手続きに参戦しており、昨日無事に予約が取れましたが、予約票の郵送後の書類等を失くしやすいなどの防止のための対策や、フォローなどの対策も必要なので、ブログ更新や巡回等が遅くなると思います。申し訳ございません。
≪natureの論文より≫
■コロナウイルス：SARS-CoV-2スパイク変異株はウイルス複製を増強する
■コロナウイルス：慢性COVID-19患者におけるSARS-CoV-2の進化
■コロナウイルス：バイオンテック社/ファイザー社製ワクチン候補BNT162b1とBNT162b2の前臨床開発
■コロナウイルス：南アフリカでのSARS-CoV-2変異株のゲノム疫学
■コロナウイルス：モデルナ社製とファイザー社製のSARS-CoV-2 mRNAワクチンによって誘導される抗体応答の解析
■コロナウイルス：SARS-CoV-2の現在拡散中で懸念されている変異株に対する中和活性
■コロナウイルス：BNT162b2ワクチンによって誘発されたSARS-CoV-2中和抗体に対するB.1.1.7変異株の感受性
■コロナウイルス：回復期血漿を用いたSARS-CoV-2変異株の交差中和
■コロナウイルス：SARS-CoV-2の新しい変異株に関連した死亡リスクの上昇