医学研究:ヒト膵α・γ細胞の可塑性の1型糖尿病治療法としての可能性 | Just One of Those Things

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2019年度の10号目のネイチャーのハイライトより。

 

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医学研究:ヒト膵α・γ細胞の可塑性の1型糖尿病治療法としての可能性
Nature 567, 7746
2019年3月7日

膵島を構成する細胞には、インスリンを分泌するβ細胞、グルカゴンを分泌するα細胞、ソマトスタチンを分泌するδ細胞など複数のタイプのものが存在し、これらの細胞が連携して働くことで正常な血糖値が維持されている。1型糖尿病(T1D)では、インスリンを産生するβ細胞が選択的に破壊されている。そのため、T1D患者のインスリン産生を回復させる方法を確立しようと、数々の研究が進められている。今回P Herreraたちは、非糖尿病または糖尿病のドナーから死後に提供されたヒト膵島より単離したα細胞とγ細胞を用い、これらの細胞をグルコースに応答してインスリンを産生・分泌するように再プログラム化する方法を開発した。この再プログラム化は、β細胞の発生・成熟・機能の重要な調節因子である2つの転写因子PDX1およびMAFAを強制発現させることで達成された。再プログラム化されたヒトα細胞はα細胞の特性のほとんどを維持していたが、糖尿病マウスへの移植後少なくとも6か月にわたってインスリンを産生し続け、糖尿病を回復させた。

Article p.43
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本論文においては、日本語版本誌では、「医学研究:グルコース感受性インスリン分泌ヒトα細胞によるマウスでの糖尿病の軽減」と題されています。
 
フルテキストを直訳しますと・・・
 
グルコース感知インスリン分泌ヒトα細胞によるマウスの糖尿病緩和
 
となり、Abstractを直訳しますと・・・
 
最終的に分化した細胞がストレスを受けると異なる細胞型に変換される細胞識別スイッチは、動物での広範な再生戦略を表しますが、哺乳類ではほとんど文書化されていません。マウスでは、いくつかのグルカゴン産生膵臓α細胞およびソマトスタチン産生δ細胞は、インスリン分泌β細胞の除去後にインスリン発現細胞になり、糖尿病の回復を促進します。特に糖尿病状態において、ヒトの膵島もこの可塑性を示すかどうかは不明のままです。ここでは、死亡した非糖尿病または糖尿病のヒトドナーから得られた膵島非β細胞、すなわちα細胞および膵臓ポリペプチド(PPY)産生γ細胞は、転写因子PDX1によって系統追跡および再プログラムできることを示しますグルコースに反応してインスリンを産生および分泌するMAFA。糖尿病マウスに移植すると、変換されたヒトα細胞は糖尿病を逆転させ、6ヶ月後でもインスリンを産生し続けます。特に、インスリン産生α細胞は、トランスクリプトームおよびプロテオミクスの詳細な特性からわかるように、α細胞マーカーの発現を維持しています。これらの観察は、糖尿病および他の変性疾患の治療としてのin situ細胞可塑性の機械的理解のための概念的証拠および分子フレームワークを提供します。
 
となります。
 
フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。
 
Full Text:Article p.43
 
Data availabilityによりますと・・・
 
この研究の結果を裏付けるRNA-seqデータは、NCBIのGene Expression Omnibus(GEO)にアクセッションコードGSE117454(バルクRNA-seq)およびGSE123844(scRNA-seq)で登録されています。質量分析プロテオミクスデータは、データセット識別子PXD011933のPRIDEパートナーリポジトリを介してProteomeXchangeコンソーシアムに登録されています。
 
 
究極に溜まりに溜まったネイチャー。次回は、「量子物理学:量子スクランブリング」を取り上げます。
 
 
※巡回等ブログ活動が大変遅れております。申し訳ございません。
 
 
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