生物物理学:移動方向を逆転させて、動き方を解明 | Just One of Those Things

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前回に引き続き、2019年度の8号目のネイチャーのハイライトより。

 

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生物物理学:移動方向を逆転させて、動き方を解明
Nature 566, 7744
2019年2月21日

キネシンやダイニンなどのモータータンパク質は、細胞骨格フィラメントの上を走ってさまざまな積み荷を細胞内の至る所に運ぶ「機関車」である。モータータンパク質は一方向にだけ移動するが、極性を持つこのようなフィラメント上での移動の方向はモーターの種類によって異なっている。今回A Yildizたちは、モータータンパク質研究分野で長く待たれていた目標をついに達成した。つまり、微小管上を野生型のダイニンとは逆の方向に移動するダイニンを作製したのである。そのデータから、移動の方向性を支配するのは、ストーク(柄)の長さと、モーターに対するストークの角度であることが分かった。

Letter p.407
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Dynein - Wikipedia(英文)
 
本論文においては、日本語版本誌では、「生物物理学:ダイニンの方向性はストークの角度と長さによって制御される」と題されています。
 
フルテキストを直訳しますと・・・
 
ダイニンの方向性は、茎の角度と長さによって制御されます
 
となり、Abstractを直訳しますと・・・
 
細胞骨格モーターが繊維状のトラックに沿って一方向に移動する能力は、貨物輸送、運動性、細胞分裂における役割の中心です。キネシンとミオシンのモーターファミリーには[1,2]、モーターファミリーの残りの部分に対して微小管またはアクチンフィラメントの反対側に移動するサブクラスがありますが、これまで研究されてきたダイニンモーターはすべて、微小管[3]です。低温電子顕微鏡と分子動力学シミュレーションに導かれ、微小管のプラス端に向けられたSaccharomyces cerevisiaeダイニンを操作することにより、ダイニンの方向性を支えるメカニズムを理解しようとしました。ここでは、単一分子アッセイを使用して、モーターを微小管に接続するコイルドコイルステムの伸長または短縮が、微小管周囲のダイニンのらせん方向性を制御することを示します。茎の長さと角度を変えることで、微小管のプラス端に向かって運動性を逆転させることに成功しました。これらの修飾は、モーターの微小管からの非対称の非結合を逆転させるのではなく、ダイニンリンカーが微小管に対して揺れる方向を変えることによって作用します。ダイニンの茎の長さと角度は種間で完全に保存されているため、我々の発見は、すべてのダイニンが微小管のマイナス端に向かって移動する理由を説明しています。
 
となります。
 
フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。
 
Full Text:Letter p.407
 
Data availabilityによりますと・・・
 
生成された酵母株と、この研究の結果を裏付けるデータは、リクエストに応じて対応する著者から入手できます。
 
 
2019年度の8号目のネイチャーのハイライトはこれですべて取り上げられました。次回から9号目に入ります。
 
究極に溜まりに溜まったネイチャー。次回は2019年度のネイチャー9号目のカバーストーリーより、「Cover Story:色の生成:液滴から虹色の構造色を作る新たな方法」を取り上げます。
 
※巡回等ブログ活動が大変に遅れており、申し訳ございません。
 
 
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