計算生化学:治療用タンパク質をde novoに設計する方法の改良 | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

前回に引き続き、2019年度の2号目のネイチャーのハイライトより。

 

----------------------------------------------------------
計算生化学:治療用タンパク質をde novoに設計する方法の改良
Nature 565, 7738
2019年1月10日

天然の免疫サイトカインであるインターロイキン-2(IL-2)は、がんの治療に非常に有望だが、熱安定性が低く、数種類の受容体との好ましくない交差反応性を持つなど、いくつか欠点があり、古典的な変異誘発法でこうした問題を解決するのは難しい。今回D Bakerたちは、計算論的手法を使って、IL-2とIL-15の模倣体neoleukin-2/15を設計した。この模倣体は、IL-2受容体のβγcヘテロ二量体との結合部位のみを保持しつつ、IL-2受容体、IL-15受容体のαサブユニットとの結合部位は持たず、しかもトポロジーやアミノ酸配列がIL-2やIL-15とは異なっている。黒色腫と大腸がんのマウスモデルにおいて、neoleukin-2/15はIL-2に比べて優れた治療効果、熱安定性の向上、毒性の低下を示し、免疫原性の兆候は見られなかった。このような安定的な模倣体をde novoに設計する戦略は、多くのサイトカインやシグナル伝達タンパク質にも簡単に応用できる。

News & Views p.165
Article p.186
----------------------------------------------------------
 

サイトカイン - Wikipedia

免疫細胞の活性化に必要なサイトカイン | 免疫のちから

インターロイキン-2 - Wikipedia

おまけ:インターロイキン-2(Interleukin-2:IL-2) | 研究検査

インターロイキン - Wikipedia

Interleukin 15 - Wikipedia(英文)

Neoleukin-2/15:安定・安全・強力なIL-2/IL-15模倣分子をデザイン

 

この論文はネイチャーのニュースにも取り上げられました。

 

日本語版本誌では、「計算生化学:選択したシグナルを伝えるデザイナータンパク質」と題され、見出しにおいては、「今回、計算戦略によって、天然のタンパク質の受容体との相互作用を模倣する、新設計のより安定なサイトカインタンパク質が得られ、デザイナーサイトカインを用いた治療法への道が開かれた。」と取り上げられています。

 

フルテキストを直訳しますと・・・

 

デザイナータンパク質は選択のシグナルを提供します
 

となり、見出しを直訳しますと・・・

 

計算戦略により、天然タンパク質の受容体との相互作用を模倣したサイトカインタンパク質の再設計されたより安定したバージョンが提供され、設計者のサイトカインベースの治療法への道が開かれました。

 

となります。

 

フルテキストは下記です。

 

Full Text:News & Views p.165

Designer protein delivers signal of choice

 

本論文においては、日本語版本誌では、「計算生化学:IL-2とIL-15の強力で選択的な模倣体をde novoに設計する」と題されています。

 

フルテキストを直訳しますと・・・

 

IL-2およびIL-15の強力かつ選択的な模倣物の新規設計

 

となり、Abstractを直訳しますと・・・

 

天然のサイトカインの結合部位を再現するが、それ以外の場合はトポロジーまたはアミノ酸配列とは無関係であるタンパク質を設計するためのde novo計算アプローチを説明します。この戦略を使用して、IL-2受容体βγcヘテロダイマー(IL-2Rβγc)に結合するが、IL-2Rα(CD25とも呼ばれる)の結合部位を持たない中枢免疫サイトカインインターロイキン-2(IL-2)の模倣体を設計します。 IL-15Rα(CD215としても知られています)。設計は超安定であり、ヒトおよびマウスのIL-2Rβγcを天然のサイトカインよりも高い親和性で結合し、IL-2RαおよびIL-15Rαとは無関係に下流の細胞シグナル伝達を誘発します。最適化されたデザインネオロイキン-2/15(Neo-2 / 15)の結晶構造は、単独でもIL-2Rβγcとの複合体でも、設計されたモデルと非常によく似ています。 Neo-2 / 15は、黒色腫および結腸癌のマウスモデルにおいてIL-2よりも優れた治療活性を持ち、毒性が低く、免疫原性が検出されません。超安定de novo模倣物を構築するための当社の戦略は、一般にシグナル伝達タンパク質に適用され、優れた治療候補の作成を可能にします。
 

となります。

 

フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。

 

Full Text:Article p.186

De novo design of potent and selective mimics of IL-2 and IL-15

 

Data availabilityによりますと・・・

 

Neo-2 / 15モノマーおよびマウスIL-2Rβγcとの3成分複合体の構造は、それぞれ受託番号6DG6および6DG5でProtein Data Bankに登録されています。回折画像は、SBGridデータバンクにそれぞれアクセッション番号587および588で登録されており、検証レポートは補足情報に含まれています。その他のデータと資料は、対応する著者からのリクエストに応じて入手できます。
 

 

究極に溜まりに溜まったネイチャー。次回は「恒星進化:白色矮星のコアの結晶化」を取り上げます。

 

※この記事は予約投稿となっております。

 

 

ペタしてね