免疫学:ノンコーディングRNAの翻訳が免疫応答に重要な役割を果たす | Just One of Those Things

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前回に引き続き、2018年度の52号目のネイチャーのハイライトより。

 

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免疫学:ノンコーディングRNAの翻訳が免疫応答に重要な役割を果たす
Nature 564, 7736
2018年12月20日

R Flavellたちは今回、細菌感染や炎症性疾患の状況で、リボソームを濃縮し、これまではノンコーディングと見なされていたRNAに非カノニカルなオープンリーディングフレーム(ORF)を見いだしている。彼らは、マウスのマクロファージにおいて、ATGから始まらないがタンパク質を作り出すことのできる短い新規ORFを多数特定した。このようなORFの1つは、腸粘膜感染に対する宿主免疫に不可欠であることが示された。著者たちは、今後行われるヒトタンパク質をコードするゲノムの検証で、ヒトの健康や疾患に大きく関与する可能性のある、潜在的な非カノニカルORFから作り出されるタンパク質産物の特定につながるかもしれないと予測している。

Article p.434
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Macrophage - Wikipedia(英文)

抗胸腺細胞グロブリン - Wikipedia(ATG)

 

カノニカル非カノニカルについては、情報通信技術で使われている言葉です。(参考1参考2

 

本論文においては、日本語版本誌では、「免疫学:非カノニカルなオープンリーディングフレームの翻訳が粘膜免疫を制御する」と題されています。

 

フルテキストを直訳しますと・・・

 

非標準のオープンリーディングフレームの翻訳は粘膜免疫を制御します
 

となり、Abstractを直訳しますと・・・

 

哺乳類のタンパク質をコードするゲノムの注釈は不完全です。オープンリーディングフレーム(ORF)の任意のサイズ制限と、翻訳の唯一のイニシエーターとしてのメチオニンコドンの絶対要件により、非標準的なタンパク質コーディングの可能性を持つ潜在的に重要な転写産物の同定が制約されています[1,2]。ここでは、細菌感染に応答するマクロファージで公平なトランスクリプトームアプローチを使用して、リボソームが以前は「非タンパク質コーディング」と注釈されていた多数のRNAに関連付けられることを示します。このような非正規ORFが機能性タンパク質をエンコードできるという考えは議論の余地がありますが[3,4]、安定した空間的に異なるタンパク質を生成できる短いATGで開始されたORFの範囲を特定します。特に、長い非コーディングRNA Aw112010内の「隠された」新しいORFの翻訳は、細菌感染と大腸炎の両方における粘膜免疫のオーケストレーションに不可欠であることを示しています。この作業により、タンパク質をコードするゲノムの解釈が拡張され、非標準ORFから生成されたタンパク質性産物が生体内の免疫応答に不可欠であることを示します。したがって、非標準ORF含有遺伝子の非コーディングRNAとしての誤記により、免疫および疾患におけるこれまでに発見されていない多数のタンパク質コーディング遺伝子の重要な役割が曖昧になる可能性があることを提案します。
 

となります。

 

フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。

 

Full Text:Article p.434

The translation of non-canonical open reading frames controls mucosal immunity

 

Data availabilityによりますと・・・

 

この研究の結果を裏付けるRNA-seq、RiboTag RNA-seq、およびリボソームプロファイリングデータは、GSE120762のアクセッションコードとともにGene Expression Omnibus(GEO)リポジトリに登録されています。すべてのlncRNA RNA-seq、RiboTagSeq、リボソームプロファイリングシーケンスおよび分析は、補足表1にも記載されています。
 

 

究極に溜まりに溜まったネイチャー。次回は、「生物工学:改変された直交性「ステープル型」リボソームが示す新たな機能性」を取り上げます。
 

 

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