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【獣医師解説】「認知症」を患う犬が増えている!? 症状と治療法とは?
2019年3月26日(火) 19:35配信 いぬのきもちWeb編集室

動物医療の進歩で犬も高齢化が進み、「認知症」を患う犬が増えて来ています。今回は、犬の認知症の原因や症状になりやすい犬、治療・予防方法について解説します。自宅でのケア方法や認知症に効くサプリメントについてもご紹介するので参考にしてくださいね!
 
■犬の認知症の症状・治療法とは?
 
認知症の原因・なりやすい犬とは?
 
犬も人と同じく認知症(認知機能障害)になることが分かっています。認知症とは、加齢やストレスなどが原因で脳の神経システムのバランスが崩れ、見当識障害などの症状が現れる病気です。
 
近年は犬も高齢化が進み、11才~15才頃(早いケースでは7才~8才)から認知症の症状が出やすくなると言われています。どの犬種でも発症リスクはありますが、特に柴犬などの日本犬に多いことがわかっています。
 
認知症の症状・特徴
 
犬が認知症になると、主に以下のような症状が現れます。
 
【認知症の特徴的な症状】
・夜中に突然吠える(夜鳴き)/徘徊する
・日中の睡眠時間が増え、昼夜逆転の生活になる
・普通に歩いている途中で何度も家具などにぶつかる
・同じところをグルグルと徘徊する
・排泄が上手くできなくなる(おもらし・そそうなど)
・物事に対する認識力が低下し、反応が悪くなる(名前を呼んでも無反応など)
 
7才以上の犬でこのような症状が出たら、まずは認知症を疑って早めに動物病院を受診してください。もし認知症でなくても、脳や神経の病気を患っている可能性があります。“単なる老化現象”と放置するのはやめましょう!
 
■認知症の治療法や効果的な薬はあるの?
 
犬の認知症の治療では、食事管理(食事療法)や薬物療法、生活習慣の改善などを行うのが一般的です。薬物治療については、初期段階であれば症状の改善が見られるケースもありますが、現時点では特効薬のようなものはないと言われています。
 
また、夜鳴きや深夜の徘徊の改善のために、鎮静剤や麻酔薬を使用することもあります。しかし、結果的に認知症を進行させる原因となる場合もあるので、獣医師とよく相談してから決断するようにしましょう。
 
■認知症の犬の家庭でのケア方法(対処法)
 
認知症の治療の一つ、生活習慣の改善には飼い主さんが積極的に取り組む必要があります。では、実際にどのようなことをすればいいのでしょうか?
 
散歩や日光浴をさせて昼夜逆転をリセット
 
犬が認知症によって昼夜逆転してしまった場合、日中に起こして散歩に行ったり、日光浴をさせたりして、体内時計をリセットさせてあげるのが大切です。
 
積極的に運動をさせて症状の進行を抑制!
 
散歩や室内でのボール遊びなどで筋肉を動かすなどで、寝たきりを防ぐことは認知症の進行抑制に効果的だと言われています。
 
また散歩に連れて行けば、外のニオイを嗅いだり土の上を歩いたり、ほかの犬と交流したりと犬の五感を刺激するため、認知症の症状抑制・改善の効果が期待できます。体力がなくて歩くことが難しい犬の場合は、抱っこやカートに入れて連れて行くのもおすすめですよ!
 
■部屋の環境を整えて犬の安全確保を!
 
床を滑りにくい素材にするなど、万が一転んでも怪我をしないような環境を整えてあげましょう。また、老犬になると体温調節が苦手になる犬が増えるので、エアコンでしっかりと空調管理するのも大切です。犬の様子を見ながら、室内の温度を18~24度(夏はエアコンで26度以下)、湿度は50~60%(夏は50%以下)にキープするように心がけましょう。
声かけやスキンシップを頻繁にするように心がける
 
愛犬とのスキンシップは、皮膚や手足に刺激を与え、脳の活性化に繋がると言われています。また、名前を呼んだり、話しかけてあげたりするだけでも、脳に良い刺激を与えることができるのだそう。
 
このように、些細なことでもいいので、頻繁にコミュニケーションをとるように意識するだけで犬に安心感や幸福感を与え、認知症で塞ぎがちな気持ちも明るくなると言います。スキンシップや声かけは、非常に重要な認知症のケア方法の一つと言っていいでしょう。
 
■認知症に効果的な食事管理やサプリメントとは?
 
このように、飼い主さんが接し方や住環境を犬が過ごしやすいように工夫してあげるだけでも、認知症の進行を遅らせて改善にもつながると言われています。つづいては、認知症治療の一環として行われる食事管理について解説していきます。
 
■認知症の食事管理とは?
 
犬が認知症になった場合、神経細胞に働きかける抗酸化作用のあるDHAやEPA、ビタミンEなどの栄養素が多く含まれた、高齢期用の「総合栄養食」のドッグフードに切り替える治療方法があります。
 
特にDHAやEPAは、細胞を活性化させる効果も期待できるので、犬用の煮干しなどをおやつに取り入れる飼い主さんもいるそうです。
 
■サプリメントを取り入れることも
 
ドッグフードはこれまでと同じものを与えながら、サプリメントを飲ませることもあります。この場合も、認知症の原因となる酸化ストレスの増加抑制効果などが期待できる、DHAやEPAが含まれた犬用サプリメントを与えるのが主流のようです。
 
■サプリメントやドッグフードの選び方
 
犬用サプリメントは、粒、粉末、ペースト、液体(オイル)など形状はさまざまで、数多くのメーカーから発売されています。はじめてサプリメントを取り入れるときは、まずかかりつけの獣医師に相談し、おすすめのサプリメントを紹介してもらうのがベターです。
 
気になるサプリメントやドッグフードがある場合も、購入前に獣医師に相談しましょう。体質や体調、薬を飲んでいる場合は飲み合わせに問題ないかなど、必ず確認してから与えるようにしてくださいね。
 
■認知症の予防は難しい!だからこそ早期発見が重要◎
 
認知症は、年齢を重ねることで、どんな犬にでも起こり得る病気のため、予防するのはなかなかなか難しいと言われています。ただし、「オスワリ」「マッテ」などの普段のしつけや、おもちゃやゲームで遊ぶ「脳トレーニング」などを日々行うだけでも、認知症の予防につながることも。積極的に取り入れたいものですね。
 
認知症は早期に発見して早い段階で治療に入れば、進行の抑制や改善効果が期待できる病気です。認知症のような症状が出たら、迷わず動物病院を受診するのが大切ですよ◎

出典元/『いぬのきもち』2016年2月号「愛犬の元気をサポート♪サプリメントQ&A」(監修:佐々木彩子先生)
    『いぬのきもち』2017年6月号別冊「すこやかなシニア犬になるための20のことば」(監修:佐々木彩子先生)
    『いぬのきもち』2017年5月号「愛犬の栄養学事典」
    『いぬのきもち』特別編集「犬との暮らし大事典」(監修:西川文二先生)
    『いいぬのきもち』WEB MAGAZINE「病気・症状データベース(認知障害)」
監修/いぬのきもち相談室獣医師
文/hasebe
 
いぬのきもちWeb編集室
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