前回に引き続き、39号目のネイチャーのハイライトより。
生物工学： 検出可能なオフターゲット変異を生じないCRISPR編集
Nature 561, 7723
2018年9月20日
治療応用に向けたゲノム編集手法の研究が行われているが、その安全性や有効性については、ヒト疾患へのトランスレーションが可能になる前に徹底的に評価する必要がある。重要な懸念の1つは、意図しない遺伝的修飾を導入してしまうオフターゲット編集が起こる可能性だ。K Joungたちは今回、オフターゲット編集事象をin vivoで追跡するための系として、「in vivoオフターゲット検証（VIVO）」法を開発した。特異的なガイドRNAと無差別のガイドRNAを比較することで、VIVOがマウス肝臓でオフターゲット編集を検出できることが示され、治療目的で使用するためには、CRISPR–Cas編集の構成要素を注意深く設計する重要性が浮き彫りになった。
Letter p.416
■ゲノム編集の現状について -内閣府（PDF)
■遺伝子編集技術「CRISPR-Cas9」でアルゴリズムの予測外の領域での変化発生の可能性が指摘される
■オフターゲット効果が最小のCas9酵素 | Nature ダイジェスト
■CRISPR-Casがin vivoで誘導するオフターゲット編集を高感度で同定可能とする手法VIVOを開発
（※この論文のことです。）
■1．ターゲティングゲノム編集（PDF)
■in vitroとin vivo｜研究用語辞典｜研究.net
本論文においては、日本語版の本誌では「生物工学：ゲノム規模で検出可能なオフターゲット変異がないin vivo CRISPR編集」で取り上げられています。
見出しを直訳しますと・・・
全生物における遺伝子編集ヌクレアーゼの標的外効果を定義するために開発された戦略を検証し、活用して、CRISPR-Cas9ヌクレアーゼが検出可能な標的外突然変異を誘発することなくin vivoで効果的に使用できることを示します。
となります。
フルテキストを直訳しますと・・・
検出可能なゲノムワイドなオフターゲット変異のないin vivo CRISPR編集
となり、Abstractを直訳しますと・・・
CRISPR-Casゲノム編集ヌクレアーゼは、ヒトの治療用途を開発するための実質的な見込みを持っています[1、2、3、4、5、6]。しかし、望ましくないオフターゲット変異を同定することは、臨床翻訳にとって重要です[7]。インビボでオフターゲットを確実に同定することができる十分に検証された方法は今日まで記載されていない、それはこれらの突然変異が起こるかどうかそしてどれほど頻繁に起こるかが現在不明であることを意味する。ここでは、「インビボオフターゲットの検証」（VIVO）について説明します。これは、インビボでのCRISPR-Casヌクレアーゼのゲノムワイドなオフターゲット効果を確実に識別することができる非常に敏感な戦略です。 CRISPR-Casヌクレアーゼがin vivoでマウスの肝臓に実質的なオフターゲット変異を誘導することができることを証明するためにVIVOとガイドRNAを無差別に設計しています。さらに重要なことに、我々はまた、適切に設計されたガイドRNAが検出可能なオフターゲット突然変異なしにマウス肝臓における効率的なin vivo編集を指示できることを示すためにVIVOを使用する。 VIVOは、生物全体における遺伝子編集ヌクレアーゼのオフターゲット効果を定義および定量化するための一般的な戦略を提供し、それによってインビボ遺伝子編集を使用する治療戦略の開発を促進するための青写真を提供する。
となります。
フルテキストは下記です。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。
Full Text：Letter p.416
In vivo CRISPR editing with no detectable genome-wide off-target mutations
以上で2018年の39号目のネイチャーのハイライトは終わりです。
次回は、40号目のネイチャーのカバーストーリーより。「Cover Story： 青色変光星のアウトバースト：3Dシミュレーションによって明らかになった青色の大質量星が変動する原因」を取り上げます。
