39号目のネイチャーのハイライトより。
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がん: 脳を標的とするT細胞
Nature 561, 7723
2018年9月20日
がん: 脳を標的とするT細胞
Nature 561, 7723
2018年9月20日
治療用T細胞の脳へのホーミング効率は、脳腫瘍の免疫療法の成功を阻む障壁の1つである。今回、脳腫瘍が免疫細胞の内皮細胞への接着経路を調節して免疫回避を促進する仕組みが明らかにされ、T細胞の脳への遊走を改善するホーミング系が設計された。T細胞リガンドを改変して、移動における下流の段階と接着を最適化することにより、脳腫瘍での治療用T細胞のホーミングと抗腫瘍活性を改良できる可能性が示された。
Article p.331
News & Views p.319
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■T cell - Wikipedia(英文)
この論文はネイチャーのニュースにも取り上げられました。
日本語版の本誌では「がん:脳腫瘍に狙いを定めるT細胞」と題され、見出しにおいては「免疫療法はT細胞を活性化して腫瘍を破壊するが、この方法は脳腫瘍の一部には有効でない。今回、血液脳関門を通るT細胞の移動を向上させる戦略によって、この限界を克服できる可能性が示された。」と示されています。
フルテキストを直訳しますと・・・
脳腫瘍に集中するように設計されたT細胞
となり、見出しを直訳しますと・・・
免疫療法はT細胞を活性化して腫瘍を破壊するが、そのアプローチは一部の脳腫瘍では失敗している。血液脳関門を通過するT細胞の移動を改善するための戦略はこの制限を克服することができます。
となります。
フルテキストは下記です。
Full Text:News & Views p.319
本論文においては、日本語版の本誌では「がん:治療用T細胞を脳腫瘍へ向かわせるホーミング系」と題されて取り上げられています。
見出しを直訳しますと・・・
血液脳関門を介した接着と移動を最適化するように設計されたリガンドを持つ治療用T細胞は、脳腫瘍を標的にすることができます。
フルテキストを直訳しますと・・・
ホーミングシステムは治療用T細胞を脳腫瘍に標的化する
となり、Abstractを直訳しますと・・・
脳腫瘍に対するT細胞免疫療法を成功させるには、T細胞が腫瘍組織に接近できることが必要ですが、これを達成するのは困難でした。ここでは、内皮細胞が炎症促進性細胞の血管外遊出を誘導するためにICAM1およびVCAM1を上方制御する多発性硬化症などの炎症性脳疾患とは対照的に、癌内皮細胞は免疫認識を回避するためにこれらの分子を下方制御する。これとは対照的に、癌内皮細胞は活性化白血球細胞接着分子(ALCAM)をアップレギュレートし、それによってALCAM制限ホーミングシステム(HS)を創製することによってこの免疫回避メカニズムを克服することができた。 T細胞のALCAMへの初期固定を誘発し、T細胞を癌内皮上の低レベルICAM1に感作することによって条件付きで接着の二次波を仲介する様式で、ALCAMの天然リガンドCD6を再設計した。血流からT細胞を捕獲するのに必要な力。細胞傷害性HS T細胞は、静脈内注射後に脳腫瘍に強く浸潤し、そして強力な抗腫瘍活性を示した。それ故、我々は、T細胞の脳腫瘍への送達を標的とする分子を開発した。
フルテキストは下記になります。詳細が必要な方はご購入をお願いいたします。
Full Text:Article p.331
究極に溜まりに溜まったネイチャー。次回は、「構造生物学: チャネルロドプシンにおける光駆動型の陰イオン透過」を取り上げます。