素粒子物理学: 進歩する反物質研究 | Just One of Those Things

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前回に引き続き、38号目のネイチャーのハイライトより。

 

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素粒子物理学: 進歩する反物質研究
Nature 561, 7722
2018年9月13日    

反物質を操作し特性評価する能力は、電荷–パリティ対称性や電荷–パリティ–時間対称性などの基本的な対称性の検証に極めて重要である。現在、反原子を生成し貯蔵する方法を改善する取り組みには、重要な技術的進歩が同時に必要であり、その1つの例が反物質を冷却する技術の開発である。今回、CERNのALPHAコラボレーションが、水素の反物質である反水素のライマンα 1S–2P遷移の観測を報告している。磁気的に捕捉した反水素の1S–2P遷移を励起するには、121.6 nmの狭線幅のナノ秒パルス光を放出する固体系レーザー源の設計が必要だった。新たに取り組んだライマンα遷移は、反水素を2.4 mKのドップラー限界まで冷却するのに利用できる可能性がある。従って、今回の研究は、反物質のレーザー冷却に向けた重要な技術的前進であるとともに、反物質分光法の、軌道角運動量を持つ量子状態への拡張を示している。

Letter p.211
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「対称性の破れ」と「反物質の世界」(PDF)

 

んー。参考文献を取り上げるのが非常に難しいです。すべて上げてしまえば、情報が散漫してしまうという・・・(苦笑)。

 

なので、最小限に・・・。

 

ライマン系列 - Wikipedia

水素スペクトル系列 - Wikipedia

 

ここまで!・・・(苦笑)。

 

本論文は、日本語版の本誌で、「素粒子物理学:反水素における1S–2Pライマンα遷移の観測」で取り上げられており、直訳しても同じです。

 

以下直訳です。

 

反物質である水素の反水素原子における1S – 2Pライマンα遷移の観測が報告されています。
 

Abstractにおいては、

 

1906年に、Theodore Lymanは、原子状水素スペクトルの極端紫外線領域で、彼の同名の一連の遷移を発見しました1,2。水素スペクトルのパターンは、我々が現在知っている量子力学の新しい理論を確立するのに役立ち、原子スケールで世界を支配しています。それ以来、Lyman-α線(波長121.6 nmでの1S-2P遷移)に関する研究は、宇宙で最も基本的な原子遷移の1つとして、物理学や天文学において重要な役割を果たしてきました。例えば、この遷移は銀河系間の媒体を研究し、異なる赤方偏移での吸収線のいわゆる「ライマンαフォレスト」3を介して宇宙論的モデルをテストすることによって長い間使われてきました。ここでは、反水素原子である水素の反物質原子におけるLyman-α遷移の観測について報告する。狭線幅のナノ秒パルスレーザー光を用いて、1S – 2P遷移を磁気的に閉じ込められた反水素中で励起した。 1.033テスラの磁場での遷移周波数は、2,466,051.7±0.12ギガヘルツ(1σの不確定性)であると決定され、5×10 -8の精度での水素の予測と一致する。反水素の性質をそのよく研究されている物質等価物の性質と比較することで、物質と反物質との間の基本対称性の正確なテストが可能になります。反水素で最近観測された基底状態の超微細4,5および1S-2S遷移6,7と並んで、ライマン-α遷移は反水素8,9のレーザー冷却を可能にし、精密分光法および重力のための反原子の低温で稠密なサンプルを提供する測定値10。この基本的な遷移の観察に加えて、この研究は反水素のレーザー冷却に向けた決定的な技術的ステップと、軌道角運動量を持つ量子状態への反物質分光法の拡張の両方を表しています。
 

本論文のフルテキストは下記にて。今回はMainが読めます。

 

Full Text:Letter p.211

Observation of the 1S–2P Lyman-α transition in antihydrogen

 

 

究極に溜まりに溜まったネイチャー。次回は、「物性物理学: スピンの長距離輸送にスピンホール効果が役立つ 」を取り上げます。言わずと知れた、量子コンピューターにつながる論文です。

 

 

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