前回に引き続き、36号目のネイチャーのハイライトより。
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天文学: 120億年前の星形成
Nature 560, 7720
2018年8月30日
天文学: 120億年前の星形成
Nature 560, 7720
2018年8月30日
サブミリメートル波長で明るい銀河は、銀河系の約1000倍の速さで星を形成している。形成された新たな星は、一般的にその銀河の内側数キロパーセクの範囲に集中する。しかし、こうした銀河のコアにおけるこの急速な星形成の観測は、高い角分解能が必要なため難しい。但木謙一(国立天文台)たちは今回、赤方偏移4.3にあるサブミリメートル波で明るい銀河を、550パーセクの線分解能で観測した。そして、分子ガスが重力的に不安定で、星形成によって消費され続けており、その速度では約1億年でガスが枯渇するだろうと結論している。
Letter p.613
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■星形成過程の解明 - 公益社団法人 日本天文学会(PDF)
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天文学:120億年前のスターバースト銀河の重力的に不安定なガス円盤
Nature 560, 7720 | Published: 2018年8月30日 |
天文学:120億年前のスターバースト銀河の重力的に不安定なガス円盤
Nature 560, 7720 | Published: 2018年8月30日 |
サブミリメートルの波長で明るい初期宇宙の銀河(サブミリ波銀河)は、銀河系の約1000倍の速さで星を形成している。新しい星の大部分は銀河中心部の数キロパーセク内で形成され、その領域の大きさは、宇宙の星形成史のピークで見られる静穏な大質量銀河や、現在の巨大楕円銀河のコアと同程度である。これらのコンパクトなスターバーストのコアを適切な空間的スケールで探査するには極めて高い角分解能を必要とすることから、コア内部における物理的および運動学的な特性はほとんど分かっていない。本論文では、宇宙が20億歳未満であった時代に相当する赤方偏移z = 4.3において、レンズ効果を受けていないサブミリ波銀河内にあるガスと塵を550パーセクの線分解能で観測した結果について報告する。我々は、塵で著しく隠されたコア内部の分子ガスの空間的および運動学的な構造を解像し、そのガス円盤が塊状であり、回転によって支えられている(つまり、その回転速度が速度分散よりも大きい)ことを明らかにした。単位面積当たりの分子ガスの質量の解析結果は、スターバーストを起こしている円盤が重力的に不安定であることを示唆しており、これはガスの自己重力が円盤の差動回転や星の輻射によるフィードバックに起因する内部圧力よりも大きいことを意味する。この円盤の重力不安定の結果として、分子ガスは星形成によって1億年程度で消費される可能があり、この時間スケールは衝突合体しているスターバースト銀河においてガスが枯渇する時間に相当する。
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とんでもなく、溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、核物理学より、 中性子過剰核の内部、を取り上げます。ぼちぼちペースを上げたいですね。
※とんでもなく、寝落ちましたので、先ほど起きました。今からわまります。申し訳ございません。