神経科学: セロトニンの放出はマウスの社会性を高める | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

前回に引き続き、36号目のネイチャーのハイライトより。
 

----------------------------------------------------------
神経科学: セロトニンの放出はマウスの社会性を高める
Nature 560, 7720
2018年8月30日    

社会性の基盤を成す神経機構についてはよく分かっておらず、自閉症スペクトラム障害などの疾患での社会性欠如に対する治療法の合理的開発を制限している。R Malenkaたちは今回、マウスにおいて、側坐核(NAc)での背側縫線核(DR)ニューロンからのセロトニン(5-HT)放出の双方向の調整により、社会性がロバストかつ双方向に変化することを示している。彼らはまた、自閉症スペクトラム障害のありふれた遺伝的要因の1つと相同な変異を持つマウスでは、5-HTニューロン特異的な変化が引き起こされて、社会的行動の欠如が誘導されることを見いだした。こうした社会性の欠如は、DR 5-HTニューロンの光遺伝学的活性化によって救済できることから、社会的行動におけるNAc内での5-HT作用のロバストな役割の1つが示された。
 
Article p.589
----------------------------------------------------------
 
 

自閉症スペクトラム障害とは? | 全国地域生活支援機構

自閉症スペクトラム障害の症状と接し方で注意すべきこと

大人のASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)

 

側坐核 - Wikipedia

縫線核 - 脳科学辞典

セロトニン神経系 - 脳科学辞典

ロバストとは - コトバンク

 

----------------------------------------------------------
神経科学:側坐核内での5-HTの放出は自閉症マウスモデルでの社会性欠如を救済する
Nature 560, 7720 |  Published: 2018年8月30日 |

向社会的相互作用の機能不全は、自閉症スペクトラム障害の中核となる症状の1つである。しかし、社会性の根底にある神経機構についてはほとんど分かっておらず、社会性欠如に対する治療法の合理的開発を制限している。今回我々はマウスにおいて、側坐核での背側縫線核ニューロンからのセロトニン(5-HT)放出を双方向に調整すると、社会性が双方向に変化することを示す。自閉症スペクトラム障害のありふれた遺伝的要因の1つである染色体16p11.2上のコピー数多型を持つマウスモデルでは、5-HTニューロンから相同領域を遺伝的に除去すると、社会的行動の欠如と、背側縫線核5-HTニューロン活性の低下が誘導された。これらの社会性欠如は、背側縫線核5-HTニューロンの光遺伝学的活性化により救済することができ、この効果は側坐核での5-HT1b受容体の活性化を必要とし、この活性化により模倣される。これらの結果は、側坐核内での5-HT作用が社会的行動において予想外の役割を持つことを明らかにし、この機構の標的化が治療に役立つ可能性を示唆している。
----------------------------------------------------------
 
これは、ひょっとしたら、将来的には治すことができるものなのかもしれません。朗報ですね。
 
昨日最新号が出ましたので、いよいよ溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、構造生物学より、 転写複合体の停止状態と活性化状態の構造、を取り上げます。
 

 

ペタしてね