古生物学: 真のカメ類はいつ出現したのか | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

前回に引き続き、35号目のネイチャーのハイライトより。
 

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古生物学: 真のカメ類はいつ出現したのか
Nature 560, 7719
2018年8月23日    

カメ類の起源と系統関係に関する疑問は、進化学における数ある疑問の中でも特に長く議論が続いているものの1つである。問題なのは、カメ類のボディープランが極めて派生的で、他の動物群に対応させて、どのような進化を遂げたのかを知ることが困難な点である。ところが近年、真に中間的な種が複数発見された。1つは中国で発見された三畳紀(2億2000万年前)のオドントケリス(Odontochelys)で、腹甲(甲の腹側を覆う部分)は完全に形成されているが、明確な背甲(甲の「蓋」部分)を持たない。その後発見されたパッポケリス(Pappochelys)は、同じく三畳紀に生息していた生物だがオドントケリスよりもはるかに古く(2億4000万年前)、1枚の強固な腹甲の代わりに一対の頑丈な腹肋骨からなる「胸甲」を有するものの、やはり背甲は持たない。さらに、ユーノトサウルス(Eunotosaurus)と呼ばれる初期爬虫類の、南アフリカで発見された約2億6000万年前の頭蓋化石の研究からは、この種が、カメ類の祖先系統において初期に分岐したものである可能性が実証された。今回、非常に大型(2.5 m)で関節が完全につながった新たな標本が報告されている。この化石は、腹甲も背甲もないが、背側には極めて幅広く平らな肋骨が扇状に広がった構造を有する。この新種は、層序学的にオドントケリスよりもわずかに古く、オドントケリスの層準よりも7.5 m下位で発見されたが、興味深いことに、その頭蓋は上部側頭窓が閉じていて、無歯性の「くちばし」を覆う角鞘の確かな証拠があり、オドントケリスよりもはるかに現生カメ類に近い。

Letter p.476
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カメの祖先には甲羅がなかったことが判明! 爬虫類よりも恐竜に近い見た目に驚愕!(パッポケリス)

 

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古生物学:無歯性のくちばしを有する三畳紀のステム群カメ類

Nature 560, 7719 |  Published: 2018年8月23日 |

カメ類の初期進化は、今なお論争が続いている古脊椎動物学上の問題である。近年の複数の報告で、カメ類は双弓類であることが示唆されたが、双弓類内での位置付けについては議論の的になっており、カメ類に見られる共有派生形質の獲得順序については明らかになっていない。本論文で我々は、派生形質と原始形質とが入り交じった特徴を備えた、中国で発見された三畳紀のカメ類を記載する。このカメ類は、我々の知る限り、無歯性のくちばしおよび強固な恥骨坐骨板(puboischiadic plate)を有する既知で最古のステム群カメ類である。この新種の発見により、カメ類の複雑な初期進化の歴史が明らかになった。
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溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、微生物学より、 成体の腸が微生物相を獲得する仕組み、を取り上げます。
 

 

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