生態学: 全球の土壌マイクロバイオーム | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

前回に引き続き、33号目のネイチャーのハイライトより。

 

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生態学: 全球の土壌マイクロバイオーム
Nature 560, 7717
2018年8月9日    

土壌には微生物が非常に豊富に存在しており、これらの微生物は栄養塩類の循環および炭素貯蔵における土壌の機能に不可欠である。どの微生物がどこに存在し、生物的および非生物的な要因がそれらの分布および相対優占度にどのように影響しているのかを全球的にマッピングすることは、土壌の機能に関する我々の理解に有用な情報をもたらす。今回、世界各地の189地点から収集した表土サンプル(7560サブサンプル)について、メタゲノム解析、化学分析およびバイオマス分析を行った結果が報告されている。細菌と菌類の両方の群集に関するこの研究成果は、土壌生態学を理解しようとする今後の研究にとって貴重な資源となるだけではなく、土壌の微生物構成には地理よりも環境の方がより大きな役割を果たしていること、 細菌の遺伝的多様性は温帯環境で最も高いが菌類ではそうではないこと、そして抗生物質耐性遺伝子から推測されるように表土と海洋環境の両方において菌類と細菌が全球的なニッチ分化および強い対立関係を示すことも明らかにしている。

Letter p.233
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生態学:全球の表土のマイクロバイオームの構造と機能
Nature 560, 7717 |  Published: 2018年8月9日 |

土壌は地球上で最も多様な部類のマイクロバイオームを有しており、栄養塩類の循環と炭素貯蔵の両方において極めて重要である。土壌の機能を理解するには、土壌微生物の全球の分布パターンや機能的遺伝子のレパートリーと共に、細菌と菌類の両方の土壌群集の多様性と構造との間に見られる生物的および環境的な関連をモデル化する必要がある。今回我々は、全球の表土サンプル(189地点、7560サブサンプル)についてメタゲノミクスとメタバーコーディングを利用し、細菌の遺伝的多様性は温帯環境で最も高いが菌類では異なる傾向が見られること、また、微生物の遺伝子構成が地理的な距離よりも環境の要因によってより大きく変動することを明らかにする。菌類と細菌は全球的なニッチ分化を示し、こうした分化は降水および土壌pHに対する多様性応答の差異と関係していることが分かった。さらに、表土および海洋環境において、細菌と菌類との間に強い対立関係が存在することを示す証拠が、抗生物質耐性遺伝子から推測された。これは、微生物群集の形成において生物的相互作用が大きな役割を果たしていることを示唆している。今回の結果は、細菌と菌類の群集では、競争と環境フィルタリングの両方が、相対優占度、構成、コードされた遺伝子機能に影響することを示唆しており、これは、こうした微生物の全球の栄養塩類の循環への相対的寄与が空間的に異なっていることを意味している。
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やっていることが凄いです・・・。今回の論文は薬学だけでなく、多方に有益になる物かと思われます。
 
溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、免疫学: ミトコンドリアRNAの自己認識、を取り上げます。ミトコンドリアでの免疫システムを研究したものに当たります。

※多忙につき、相変わらずブログでの対応が遅れていますことを、心からお詫び申し上げます。

 

 

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