進化学: 頭蓋プラコードと神経堤は共通の進化的起源を持つ | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、33号目のネイチャーのハイライトより。

 

----------------------------------------------------------
進化学: 頭蓋プラコードと神経堤は共通の進化的起源を持つ
Nature 560, 7717
2018年8月9日    

脊椎動物の特徴の1つは、神経堤と呼ばれる胚性組織の存在である。しかし、神経堤がある部位には頭蓋プラコードも存在しており、プラコードと神経堤のどちらが先に生じたのかを知ることは難しい。尾索動物(被嚢類)の胚性神経組織は両方の特性を持つことが知られており、M Levineたちは今回、尾索動物のカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)の幼生で神経板境界領域の発生を遺伝学的に解析し、神経板境界部全体が、拡張された原始的プラコードの特性を持つことを示している。彼らはプラコードが神経堤の進化に先行していたと結論し、ホヤの神経板の区画化に用いられる遺伝子ネットワークが、脊椎動物の頭蓋プラコードと神経堤を区別する基盤となっていると示唆している。

Letter p.223
----------------------------------------------------------
 
【カタユウレイボヤ (Ciona intestinalis)は組織の構造が単純で成長が早く [1] 、養殖が可能で安価に入手できるなど実験動物としての利点が多数あるため、生物学 において発生学の発生のモデル生物として用いられる。】
 
胚性神経組織についてもまとまってのものがないので・・・。
 
----------------------------------------------------------
進化学:脊椎動物の神経堤と頭蓋プラコードに共通する進化的起源
Nature 560, 7717 |  Published: 2018年8月9日 |

プラコードと神経堤は脊椎動物を決定付ける特徴であるが、大規模な研究が行われてきたにもかかわらず、これらの関連性についてはまだ不明である。今回我々は、細胞系譜追跡、遺伝子機能阻害、単一細胞RNA塩基配列解読解析を組み合わせて、脊椎動物の祖先型であるカタユウレイボヤ(Ciona intestinalis)における側板外胚葉の特性について調べた。ホヤにおける側板外胚葉のパターン形成と、脊椎動物の神経板外胚葉の区画化の間には顕著な類似点がある。どちらの系も、Six1/2、Pax3/7、Msxbの順次的な発現パターンを示し、これらは連動する調節性相互作用のネットワークに依存している。ホヤでは、この区画化ネットワークは、それぞれに異なるが関連性のあるタイプの感覚細胞を生み出し、これらは脊椎動物の頭蓋プラコードや神経堤から派生するものと類似性が見られる。単純な遺伝子機能阻害を行ったところ、ある1つの感覚細胞タイプから他のタイプへの転換が引き起こされた。そこで我々は、尾部の双極性ニューロンに着目した。これらのニューロンは側板外胚葉の尾部領域から生じ、脊椎動物の神経堤から派生する後根神経節の特性を持つためである。興味深いことに、尾部の双極性ニューロンは、ホヤのオタマジャクシ型幼生の側板の最前領域から生じる原始的プラコードの感覚細胞タイプである付着突起感覚細胞に容易に形質転換した。形質転換の証拠は、全胚の単一細胞RNA塩基配列解読解析を行って確認した。これらの知見は、側板外胚葉の区画化は、脊椎動物の出現より前に起こり、頭蓋プラコードと神経堤の両方の進化の共通起源であったことを示唆している。
----------------------------------------------------------
 
脊椎動物と尾索動物(被嚢類)の共通起源であったということは、非常に興味深いですね。
 
溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、生態学より、 全球の土壌マイクロバイオーム、を取り上げます。

※多忙につき、相変わらずブログでの対応が遅れていますことを、心からお詫び申し上げます。
 
 

ペタしてね