量子物理学: 強い状態を保つスピン–光子結合 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

前回に引き続き、33号目のネイチャーのハイライトより。 

 

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量子物理学: 強い状態を保つスピン–光子結合
Nature 560, 7717
2018年8月9日    

電子スピンはコヒーレンス時間が長いため量子計算に有望なリソースであるが、スピン–スピン相互作用は依然として難しい課題となっている。コヒーレントなスピン–光子相互作用が実現可能ならば、強いスピン–光子結合を実現することによって、マイクロ波光子を介してスピンを長距離エンタングルメントさせることができる可能性がある。今回A Landigたちは、ガリウムヒ素3重量子ドットにおける3電子スピンキュービット(共鳴交換キュービットと呼ばれる)とマイクロ波共振器の単一光子との間のコヒーレントな結合を実証している。この分野の他の取り組みとは異なり、今回の実装は、強磁性導線や微小磁石などの補助的手段に頼っていないので、スピンを用いた量子プロセッサーへの有益な代替手法を探るものである。

Article p.179
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非常に大まかですが、上記に関わる研究と考えて間違いないです。

 

電子のスピン

磁力の根本になる電子スピンとはなにか

量子力学のスピン - 量子論の不思議な世界

量子化学/スピン - Wikibooks

コヒーレンス - Wikipedia

コヒーレント状態 - Wikipedia

NIST、マイクロ波光子の周波数重ね合わせが制御可能な超伝導体回路 “optics table on a chip” を開発。新型量子コンピュータへ応用

東京大学工学部 | マイクロ波光子を吸収せず検出するこに成功~マイクロ波単一光子の量子非破壊測定を実現~:物理工学専攻 河野 信吾(D2)、先端科学技術研究センター 中村 泰信教授ら

量子もつれ - Wikipedia(エンタングルメント)

(注:量子テレポーテーションも上記に含みますが、話がややこしくなるのでそれか説明されているものはとりあげていません。)

量子情報科学:スピンキュービットによる回路量子電磁力学

(注:上記はネイチャーの論文ですが、やがて削除される記事と思われるため、最後に転載します。)

マイクロ波単一光子の高効率検出を実現 | 理化学研究所

微小磁石を用いて2スピン量子ビット演算素子の開発に成功 (電子スピンを使った量子もつれ制御に新展開)

 

なるほど・・・。

 

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量子物理学:共鳴交換キュービットを用いるコヒーレントなスピン–光子結合
Nature 560, 7717 |  Published: 2018年8月9日 | 

電子スピンは、コヒーレンス時間が長いため、量子計算に非常に有望である。スピンの長距離コヒーレント結合は、スピンキュービットを用いる量子情報処理に向けた極めて重要な段階である。離れたスピンキュービット間の相互作用を実現する方法の1つは、量子情報の担体として光子を用いることである。今回我々は、窒化ニオブチタン高インピーダンス共振器における単一マイクロ波光子と、3つの量子ドットからなるガリウムヒ素デバイスにおける3電子スピンキュービット(共鳴交換キュービットとも呼ばれる)との間の強い結合を実証する。我々は、強い結合の特徴である共振器共鳴の真空ラビモード分裂を観測した。具体的には、コヒーレント結合強度が約31 MHzでキュビットデコヒーレンスレートが約20 MHzであった。また、静電的にデコヒーレンスを調節することで、約23 MHzの結合強度で約10 MHzの最低デコヒーレンスレートが得られた。我々は、「ACシュタルク」効果を用いて、キュービットの可変電気双極子モーメントに対するキュービット–光子結合強度の依存性を直接測定した。今回の3電子スピンキュービットについての強いキュービット–光子結合の実証は、スピンキュービットのコヒーレント長距離結合の実現への重要な一歩である。
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ハイライトの内容が把握されれば十分です。
 
新しいことをやっているのでほぼ情報はありません(汗;)
 
あえて挙げるなら・・・
EIT - 東芝:トップページ(PDF)(真空ラビモード分裂)
 
以下は、やがて消えるであろうネイチャーの参考文献の転載です。
 
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量子情報科学:スピンキュービットによる回路量子電磁力学
Nature 490, 7420 |  Published: 2012年10月18日 |

量子ドット中に捕獲された電子スピンは、将来の量子プロセッサーの基本構成要素として提案されている。2量子ビット(2キュービット)操作は最隣接の交換結合を使って180ピコ秒と高速に実現できるものの、スピンを利用したスケーラブルな量子計算アーキテクチャーでは、ほぼ確実に長距離のキュービット相互作用を必要とするであろう。空間的に離れた超伝導キュービットが、「量子バス」として機能する超伝導マイクロ波共振器を介して相互作用できるようになり、2キュービットエンタングルメントと、簡単な量子アルゴリズムの実行が可能になる。今回我々は、ヒ化インジウムナノワイヤー二重量子ドットと超伝導共振器を結合させることで、cQEDアーキテクチャーとスピンキュービットを組み合せた。このアーキテクチャーでは、約30 MHzの電荷共振器結合レートが実現できる。このレートはヒ化ガリウム量子ドットで得られた結合レートと一致する。さらに、ヒ化インジウムのスピン軌道相互作用は強いため、局所ゲート電極でスピン回転を電気的に駆動でき、電荷共振器相互作用によって、その結果生じるスピン動力学を測定できる。今回の結果から、 cQEDアーキテクチャーが単一スピン物理の高感度プローブとしてどのようにして使用できるか示され、約1 MHzのスピン共振器結合レートが実現可能であることが実証された。これは、超伝導マイクロ波共振器を介して長距離のスピン結合が可能であることを示している。
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溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、寄生虫学より、 内臓リーシュマニア症の新しい治療選択肢、を取り上げます。

 

 

※我が家のライオンさんの喧嘩相手さんが昼間顔を出したので、現在、警戒態勢中です。これまでの経緯でブログ活動が遅れており、大変申し訳ございません。尚、この記事は、予約投稿したものです。
 

 

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