自己免疫: 自己免疫におけるインスリンペプチドの働き | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、32号目のネイチャーのハイライトより。

 

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自己免疫: 自己免疫におけるインスリンペプチドの働き
Nature 560, 7716
2018年8月2日    

E Unanueたちは今回、1型糖尿病での自己免疫に潜む誘導因子について調べ、プロセシングを受けたインスリンが自己抗原性ペプチドとなって分泌されて離れた流入リンパ節に持続的に流れ込み、CD4 T細胞がそれを認識して活性化されることを明らかにした。この知見は、膵島由来の自己抗原の末梢での自己認識が、それに先立つ炎症がない場合にも起こり得ることを示唆している。

Letter p.107
News & Views p.33
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これはご参考にですが
【免疫寛容が破綻し、免疫系が自己抗原と非自己抗原を識別できなくなると、自己の正常な細胞や組織を攻撃する自己免疫(Autoimmunity)が起こり、膠原病などの自己免疫疾患を誘発します。】

インスリンペプチドと一言で言っても色々あるわけですが・・・。

糖代謝・インスリン抵抗性 | 代謝・内分泌領域 | 臨床試験

これも参考ですが、

【糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病が存在しますが、トクホ・機能性食品のターゲットとなるのは2型糖尿病とその予備軍です。】

1型糖尿病とは、簡単に言えば遺伝性由来と環境由来の総合的な結果のものです。2型は生活習慣が原因となります。

1型糖尿病 - Wikipedia

【膵臓のβ細胞の破壊によるインスリンの欠乏を成因とする糖尿病である。】

というだけに、例えば肝臓がんの切除で、施術は成功しても、インスリンの欠乏を成因とする糖尿病になることもあり得ます。

1型糖尿病ってどんな病気? | 糖尿病情報センター

1型糖尿病とは。自己免疫によってインスリンが作れなくなる病気

1型糖尿病の自己免疫マーカー - だぶるくれーどる

CD4 - Wikipedia

 

詳細は医療関係者でないと観覧できないものが多々あり・・・。

 

CD4陽性キラーT細胞への分化機構を解明 | 理化学研究所

こんな研究もあることはあるのですが・・・。

CD4⁺ T細胞とCD8⁺ T細胞 ―腸内細菌学会

T細胞 | 生物分子科学科 | 東邦大学

 

うーん・・・。

 

自己免疫より、ペプチドの分泌が糖尿病の引き金になることがわかりました。


インスリンホルモンを産生する細胞に対する自己免疫攻撃は、1型糖尿病の原因になります。今回、マウスの研究によって、膵臓細胞による血流へのインスリンペプチド断片の放出が、この有害な過程の引き金となることが明らかになりました。
 

この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。

 

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自己免疫:膵島はインスリンペプチドのエキソサイトーシスを介してリンパ組織と情報交換する
Nature 560, 7716 |  Published: 2018年8月2日 |

組織特異的な自己免疫は、選択された抗原が主要組織適合遺伝子複合体の感受性対立遺伝子によって提示され、それがT細胞によって認識された際に起こる。しかし、一部の特定の自己抗原が応答を支配し、自己反応性を誘導するのに不可欠である理由は明らかになっていない。非肥満糖尿病マウスでは、インスリンの自然発生的な提示が自己免疫性1型糖尿病の発症に不可欠である。病原性CD4 T細胞の大部分は、抗原提示細胞によるインスリンペプチドの直接提示から生じたエピトープであるインスリンB鎖の12–20セグメント(B:12–20)を特異的に認識する。このようなT細胞は、インスリンを取り込み、プロセシングした後に1残基分ずれた異なるセグメントB:13–21を提示するようになった抗原提示細胞には応答しない。B:12–20を認識するCD4 T細胞は、胸腺での負の選択を免れて糖尿病を引き起こすのに対して、B:13–21を認識するT細胞は自己免疫にはマイナーな役割しか担っていない。B:12–20の提示が膵島で起こっていることは明らかだが、インスリン特異的胚中心はさまざまなリンパ組織で形成されていて、インスリンの提示は広範囲にわたって行われていると考えられる。今回我々はライブイメージング法を用い、CD4 T細胞によるインスリン認識の分布状態をさまざまなリンパ節にわたって記録した。さらに、マウスおよびヒト由来のβ細胞顆粒で、代謝作用で分解されたインスリンペプチド断片が見つかり、この中には病原性エピトープであることが明からなものが含まれていた。このような断片は、グルコースを投与すると循環中に放出され、CD4 T細胞によって認識されて活性化状態を引き起こし、その結果として転写再プログラム化が起こって、糖尿病誘発作用が増強される。従って、膵島のような組織は、異化産物を放出することで自己寛容を常時脅かしていることになる。これらの知見は、重要な自己抗原の作用に内在する自己認識経路を明らかにしたもので、リンパ節の全身的感作によって病原性転帰を急激に引き起こす抗原を標的として検討するための基盤を示している。
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エピトープ - Wikipedia

インスリン分泌における重要因子が変動する様子を可視化 -蛍光タンパク質センサーを用いたライブイメージング法で-京都大学

 

厄介なメカニズムになっていたようですね・・・。

 

今後標的剤が出てくるかもしれませんね。ノーベル賞を取った山中教授のNHKの「時論公論」の話だと、10年後・・・20年後かもしれませんが・・・。

 

溜まりに溜まった恒例のネイチャー。次回は、分子生物学より、 細胞のDNA修復における二本鎖切断の削り込み、を取り上げます。んー。次回は至って基礎科学で論文3本立てです。

 

※思ったより早く終わったので、本日ぎりぎりまでまわります。まわれなかった方は、大変申し訳ないです。

 

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