化学合成: ロボットが機械学習で新しい化学反応を発見 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、30号目のネイチャーのハイライトより。

 

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化学合成: ロボットが機械学習で新しい化学反応を発見
Nature 559, 7714
2018年7月19日  

化学反応の発見と最適化は、化学研究者にとっても医薬品業界にとっても同じように時間のかかるプロセスである。こうした発見プロセスにはセレンディピティーが伴うことが多いので、新しい反応性や新化合物を発見する方法はなおさら一貫性がなくなる。今回L Croninたちは、ロボットと機械学習を組み合わせて反応性を探索・評価する方法を報告している。このロボットは、機械学習アルゴリズムの指示で動作し、リアルタイム分析用の分光システム(核磁気共鳴法と赤外分光法)に接続されている。今回のシステムは、反応結果を評価するペースを速めるとともに、所与のデータセットの約10%に基づいて反応性を予測し、新反応を発見できる。

Letter p.377
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セレンディピティは、失敗してもそこから見落としせずに学び取ることができれば成功に結びつくという、一種のサクセスストーリーとして、また科学的な大発見をより身近なものとして説明するためのエピソードの一つとして語られることが多いです。

 

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化学合成:機械学習で有機合成ロボットを制御して新しい反応性を探索する
Nature 559, 7714 |  Published: 2018年7月19日 | 

化学反応の発見は、元来予測不可能で時間のかかるプロセスである。魅力的な代替方法は反応性を予測することだが、コンピューターを使った反応設計などの関連手法はまだ緒に就いたばかりである。高度な量子化学的手法に基づく反応予測は、単純な分子に関するものであっても、複雑である。機械学習は、データ解析には有効であるが、化学への応用はまだ発展途上である。我々は、化学者の直観に基づく戦略に着想を得て、機械学習アルゴリズムに制御された反応系が、特に専門家による訓練を受けた場合に、迅速に化学反応空間を探索できる可能性があると提唱する。本論文では、手作業で行うよりも迅速に化学反応と分析を行うことができ、少数の実験を実施した後に可能性のある試薬の組み合わせの反応性を予測して、化学反応空間を効果的に探索できる有機合成ロボットについて報告する。反応は、化学的入力の2進コード化によって可能になった意思決定機械学習を用いることによって、核磁気共鳴法と赤外分光法でリアルタイムで評価できる。この機械学習システムは、データセットの10%強の結果を検討した後、約1000通りの組み合わせの反応の反応性を、80%を超える正確度で予測できた。また、この手法を用いて、公開データセットの反応性も計算することができた。さらに、化学者が今回のロボットのリアルタイムデータを用いてこうした予測を手作業で調べたところ、4つの反応が発見された。
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今回は特に参考文献を引き出す必要はないですね。先々は、さらに高度化され、ロボットが研究を・・・なんてことが可能になることは今では当たり前のように考える時代となってきました。んー。でも監視は必要かも・・・(苦笑)

 

さて、溜まりに溜まったネーチャー、実は、1つ頁を飛び越えていました。昨日取り上げることができなかったことと、参考文献をつける必要もないので、もう1ついきます。次は、医学研究より、IL-23が前立腺がんを増悪させる、を取り上げます。

 

 

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