天文学: やはり彗星だったオウムアムア | Just One of Those Things

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前回に引き続き、29号目のネイチャーのハイライトより。

 

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天文学: やはり彗星だったオウムアムア
Nature 559, 7713
2018年7月12日 

昨年、オウムアムアと名付けられた天体が、太陽系を訪れて水星の軌道の内側を通過した後、あっという間に星間空間へと戻っていった。その表面は太陽系の彗星に類似していたが、その時点では、彗星活動を示す証拠は確認されていなかった。今回M Micheliたちは、地上からと宇宙での一連の観測結果を使って、この天体の軌道を解析している。彼らは、彗星活動は見られなかったものの、低レベルのジェットによって力が加わって、オウムアムアの軌道が、純粋に重力の効果から予測される軌道から変化していたことを見いだした。著者たちは、オウムアムアの軌道は、彗星のような脱ガスにより最もよく説明できると述べている。

Letter p.223
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以下は科学のニュースより。

小惑星「オウムアムア」実は彗星 ガス、ちり放出で加速

 

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【天体物理学】オウムアムアは葉巻形の彗星だった
Nature
2018年6月28日
Astrophysics: Sometimes a cigar-shaped ‘comet’ is just a comet

オウムアムアという葉巻型の天体は、2017年に発見され、太陽系外から飛来した天体であることが初めて確認されたが、この天体は結局のところ彗星だったとする研究が、今週発表される。この移動する天体を巡っては論争が持ち上がっており、発見当初は彗星に分類されたが、その後は小惑星とされ、最終的には「恒星間天体」という新たな区分に属する最初の天体とされていた。
 
オウムアムアは、2017年10月19日に米国ハワイ州のハレアカラ観測所が初めて発見した暗赤色の天体で、起源は分かっていない。この天体は、全長が約800メートルの極端な楕円形で、自転運動がふらついており、太陽系内に入ってからは太陽に拘束されない双曲線軌道上を移動していた。オウムアムアの表面は彗星の核に似ているが、彗星が昇華して形成される「コマ」(星雲状のガスや塵)は観測されず、恒星の近くを通過する際にガスの放出も観測されなかった。
 
今回、Marco Micheliたちの研究グループは、太陽系内を移動するオウムアムアの運動に関して、地上からと宇宙空間での観測の結果を検討した。その結果、オウムアムアの軌道弧が太陽や惑星、大型小惑星の重力だけでは説明できないことが明らかになり、オウムアムアを主に太陽から離れる方向に誘導する加速度の一部が重力以外の力によると推定された。このようなオウムアムアの運動は、彗星から放出されるガスによって推進される彗星の挙動と一致している。また、Micheliたちのモデルでは、この非重力運動を説明できる可能性のある他の要因(太陽の輻射圧、太陽風との磁気相互作用など)も否定されている。
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ネイチャーでは注目のハイライトとなりました。

 

次に本論文です。

 

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天文学:1I/2017 U1(オウムアムア)の軌道における非重力的な加速
Nature 559, 7713 |  Published: 2018年7月12日 | 

オウムアムア(1I/2017 U1)は、恒星間に起源があり、太陽に束縛されない双曲線軌道で太陽系に侵入したことが明らかになった最初の天体である。この天体が太陽系を訪れた間に収集されたさまざまな物理的な観測結果から、オウムアムアが極端に細長い形で、タンブリング運動の状態にあり、彗星活動の証拠は何も示していないにもかかわらず、その表面の物理的特性が彗星の核の特性に似ていることが明らかになった。全ての天体の運動は、主に重力によって決定されるが、彗星の軌道はその脱ガスによる非重力的な力の影響も受ける可能性がある。非重力的な加速度は重力的な加速度より少なくとも3~4桁小さいため、純粋に重力に駆動される軌道からのずれを検出するには、長い弧にわたって質の高い天体位置測定を行う必要がある。結果として、非重力的な効果は、小天体の種族の限られた一部でしか測定されていない。本論文では、オウムアムアの運動に、30σの有意性で非重力的な加速度を検出したことを報告する。我々は、地上望遠鏡や宇宙望遠鏡による広範囲な観測から得られた撮像データを解析した。この解析によって系統的バイアスが除外され、r−2あるいはr−1(r は太陽までの距離)に比例する、太陽を中心とする半径方向の加速度を示す非重力的な成分をモデルに含めれば、全ての天体位置測定データを説明できることが示された。太陽の輻射圧、抗力や摩擦力などの力、強い磁気を帯びた天体に対する太陽風との相互作用、そしてオウムアムアがいくつかの空間的に離れた天体から構成されていたり、光学画像から求められた中心と重心のずれが著しかったりする可能性に起因する幾何学的効果を除外した結果、オウムアムアの熱特性が彗星と類似しているとすれば、彗星のような脱ガスが物理的に妥当な説明であることが明らかになった。
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彗星 - Wikipedia

(完成していないので・・・)

彗星とはどのような天体か - 国立天文台(NAOJ)

基礎知識 - 7.彗星 - アストロアーツ

彗星 - ぐんま天文台

 

溜まりに溜まった恒例のネイチャー、次回は、物性物理学より、マヨラナフェルミオンによるホール効果の量子化、を取り上げます。

 

 

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