神経科学: ニューロンを作ってストレスと戦う | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、27号目のネイチャーのハイライトより。

 

----------------------------------------------------------

神経科学: ニューロンを作ってストレスと戦う
Nature 559, 7712
2018年7月5日

齧歯類において、成体海馬歯状回での神経新生は、ストレスや抗うつ剤への行動応答と関連付けられている。R Henたちは今回、気分調節に関連するとされる脳領域である腹側歯状回で、神経新生が、成熟した顆粒細胞の活動を抑制することを示している。神経新生を増加させると、慢性ストレスに対するレジリアンス(回復力)が付与され、攻撃を受けている最中や不安を生じさせる環境中を探索している際など、ストレスの多い状況下で選択的に活動が増すニューロンの活動が低下した。今回の結果は、神経新生を介した腹側歯状回の活動抑制が、対ストレス脆弱性の個体差を決める因子の1つである可能性を示唆している。

Letter p.98
----------------------------------------------------------
 
(簡単に知りたい方は上記をご覧ください)
神経細胞 - Wikipedia(ニューロン)
ネズミ目 - Wikipedia(齧歯類)(書きかけ中)
ニューロン新生 - 脳科学辞典(成体海馬歯状回)
(マウスの実験においての説明で出てきます。)
海馬 - 脳科学辞典(腹側歯状回)
 
----------------------------------------------------------
神経科学:海馬での神経新生は腹側歯状回の抑制によってストレスに対するレジリアンスを付与する
Nature 559, 7712 |  Published: 2018年7月5日 | 

成体海馬歯状回での神経新生は、環境からの影響により高度に調節されており、ストレスや抗うつ剤に対する行動応答と機能的に関連するとされている。しかし、成体で新生したニューロンが、歯状回の情報処理を調節して、ストレスに誘発される不安様行動を防ぐ仕組みは分かっていない。今回我々は、マウスを用いて、神経新生が、歯状回の亜領域で気分調節に関与する腹側歯状回(vDG)で成熟した顆粒細胞の活動を抑制して、慢性ストレスに対するレジリアンス(回復力)を付与することを明らかにする。vDGの成体新生ニューロンを化学遺伝学的方法で抑制すると、社会的敗北ストレスへの感受性が増す一方、神経新生の増加は慢性ストレスに対するレジリアンスを与えることが分かった。in vivoカルシウム画像化法を用いて、vDGの大規模細胞集団の神経活動を記録することによって、神経新生の増加が、攻撃を受けている最中や不安を生じさせる環境内を探索する際に活動するストレス応答細胞の活動低下につながることが示された。また、vDGの直接的抑制がストレスに対するレジリアンスを付与し、その一方でvDGの興奮がストレス感受性を高めることから、上述の歯状回活動への影響は、ストレスからのレジリアンスに必要かつ十分なものといえる。今回の結果は、vDGの活動が、ストレスやそれに関連する精神障害への脆弱性の個体差を決める重要な要因である可能性を示唆している。
----------------------------------------------------------
 
 
先に挙げた参考資料で十分だと思われるので、これまでとします。
 
見るところ、先々は個人別の精神医療ができる可能性が出てきましたね。
 
溜まりに溜まった恒例のネイチャー、次回は、発生生物学より、 皮下脂肪で脂肪生成を制御する細胞、を取り上げます。
 
 

ペタしてね