細胞再プログラム化: ニューロン再プログラム化ツールボックスを拡張 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、20号目のネイチャーのハイライトより。

 

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細胞再プログラム化: ニューロン再プログラム化ツールボックスを拡張
Nature 557, 7705
2018年5月17日   

ニューロンの転写因子の特定の亜集団を一過的に発現させることにより、繊維芽細胞をニューロンの性質を持つ細胞へと再プログラム化できることが、数年前に明らかになった。しかし、この再プログラム化特性は、限定された転写因子セットによってのみ起こるのか、それとも他の転写因子を使って出力のより大きな多様性を生み出すことが可能なのかは、分かっていない。今回K Baldwinたちは、約600対の転写因子をスクリーニングし、ニューロン再プログラム化活性を持つ76対を特定した。彼らは、これらの誘導ニューロンを用いて、ニューロンのアイデンティティーの細胞自律的特性を明らかにした。著者たちは今回の結果が、将来の研究のために、特定の特徴を持った誘導ニューロンを作出する助けになると期待している。

Article p.375
News & Views p.316
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細胞再プログラム化について、ニューロンが生まれる経路は1つではないことがわかりました。
 
今回、76対の転写因子によって、マウスの結合組織細胞を、ニューロンに似たアイデンティティーを持つようにすることができました。この発見によって、ニューロンの発生のみならず細胞の再プログラム化についての知見も得られました。
 
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細胞再プログラム化:ニューロンのアイデンティティーを再プログラム化する多様なコード
Nature 557, 7705 |  Published: 2018年5月17日 | 

ニューロンのアイデンティティーを確立する転写プログラムは、発生中に順次現れるニューロンの細胞タイプに豊富な多様性を生み出すよう進化した。注目すべきは、特定の転写因子の一過的な発現によって、非神経細胞にニューロンの性質を付与できることである。再プログラム化因子と、ニューロンのアイデンティティーと多様性を生み出す転写ネットワークとの関係は、まだほとんど分かっていない。今回我々は、598対の転写因子をスクリーニングし、マウス繊維芽細胞を、ニューロン特性を持つ細胞へと分化させる76対の転写因子を特定した。これらの誘導ニューロン細胞(iN細胞)のトランスクリプトームと、内在性ニューロンのトランスクリプトームを比較することで、「中心」となる細胞自律的なニューロンシグネチャーが明らかになった。またiN細胞は多様性も示し、それぞれの転写因子対は、独特な転写パターンを持つiN細胞を生み出し、これらのパターンから薬理学的応答が予測できる。この研究は、それぞれに異なる転写因子入力「コード」を明確な転写出力に結び付けることにより、ニューロンのアイデンティティーと多様性の細胞自律的特性を詳細に説明し、さらに、望ましい遺伝子発現パターンや、関連する機能的性質を持つ誘導ニューロンの作製を促すための再プログラム化ツールボックスを拡張するものである。
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この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。
 
凄いですね。
 
昔は情報科学から試みてました。現在は生物学での分子レベルで試みることができます。いやぁ、凄いです。
 
生物学なのに、工学や情報処理っぽくなってますが、皆様、大丈夫でしょうか。わからないところがありましたら、コメントやメッセージでお気軽にお問い合わせください。
 
 
明日は、難しいかもしれない構造生物学からです。
 
 

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