幹細胞: 分化転換による胆管系の構築 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、19号目のネイチャーのハイライトより。

 

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幹細胞: 分化転換による胆管系の構築
Nature 557, 7704
2018年5月10日  

分化転換とは、1つのタイプの成熟細胞を他のタイプの細胞に完全に形質転換させる現象で、一般的に、損傷によって喪失した細胞を置換する手段として、動物において観察される。今回H Willenbringたちは、マウスで、肝細胞の胆管細胞への分化転換が、アラジール症候群(ALGS)の患者で見られるような胆管系の欠損を補償することを示している。この補償現象はTGFβの投与により増強できることが示され、将来の治療のための有望な道が示唆された。

Letter p.247
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アラジール症候群は指定難病として指定されています。どのようなものなのかは、下記をご覧ください。
 
 
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幹細胞:TGFβを介する肝細胞の分化転換による胆管系のde novo形成
Nature 557, 7704 |  Published: 2018年5月10日 | 

分化転換は、細胞のアイデンティティーの完全かつ安定な変化であり、幹細胞による器官再生とは別の手段である。成体哺乳類における分化転換の知見は、完全に発達した足場やニッチが存在する状態において、既存構造から失われた細胞を補充する場合に限定される。今回我々は、ヒトのアラジール症候群(ALGS)の肝臓表現型を模倣した胆管系マウスモデルにおいて、マウス肝臓での肝細胞の分化転換が、発生中に形成されなかった胆管系構造を構築できることを示す。これらのマウスでは、肝細胞が成熟胆管細胞に転換し、効率的に胆汁を排出する胆管を形成して、胆汁うっ滞性肝損傷の回復後にも存続し、これは分化転換が起こったことを示唆している。これらの知見は、肝細胞の可塑性を再定義するものである。というのは、完全に発達した胆管系を持つマウスにおけるこれまでの研究からは、肝細胞の可塑性は細胞の損傷に対する適応としての不完全で一過性の胆管への分化、つまり化生に限定されると考えられていたからだ。肝細胞の分化転換によるde novoの胆管形成は、胆管の発生とは対照的に、NOTCHシグナル伝達に依存していなかった。この補償機構の駆動要因はTGFβシグナル伝達であることが突き止められ、この機構がALGS患者の一部で機能していることが分かった。さらに我々は、肝細胞からの胆管系の形成を増強するためにTGFβシグナル伝達が標的となり得ること、また、胆管を欠損する肝臓における分化転換誘導シグナルやリモデリング能を移植肝細胞で利用できることを示す。我々の結果は、哺乳類の分化転換による再生能を明らかにし、ALGSや他の胆汁うっ滞性肝疾患の治療の機会を示している。
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分化転換とは、分化した組織細胞が、何らかの刺激を受けて脱分化し、他の細胞種に変化する事を指します。

 

アラジール症候群だけでなく、他の胆汁うっ滞性肝疾患の治療が可能になるかもしれないというこで、治療ができるようになるよう祈っています。

 

次回は、微生物学より、男性にはちょっと怖いかもしれない?ものを取り上げます。

 

 

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