昨日に引き続き、17号目のネイチャーのハイライトより。
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地球科学: 余震が地球の下部地殻に及ぼす衝撃的効果
Nature 556, 7702
2018年4月26日
流体は、せん断帯や破砕帯を通して地球の地殻に浸透し、下部地殻のレオロジー進化に強い影響を及ぼす可能性があり、そうしたレオロジー進化自体が造山運動時のリソスフェア応答に影響を及ぼす。下部地殻の上にある地震発生帯で起こる通常の地震活動によって、応力パルスが生じて下部地殻の余震が駆動され、こうしたせん断帯が形成される。今回B Jamtveitたちは、このような余震の影響を受ける下部地殻の体積はかなり大きく、付随する下部地殻の変成変化や構造変化を駆動する流体はこうした地震に続いて到達すると提案している。彼らは、これが、地殻の地球ダイナミクスに「トップダウン」の影響をもたらすと結論している。
Letter p.487
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レオロジーとは、物質の変形と流動を研究する物理学の分野です。
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地球科学:地震によって生じる下部地殻の変化
Nature 556, 7702 | Published: 2018年4月26日 |
下部地殻の構造や変成の進化は、堆積盆地の沈降、山脈下の深い根の安定性、高地地域の拡張などの造山運動に関与するプレートテクトニクス過程に対するリソスフェアの応答に直接影響を及ぼしている。最近の研究では、造山運動以前の下部地殻の大半は乾燥しており、不透水的で力学的に強かったことが示されている。造山運動時には、局所的なせん断帯や破砕帯に沿った流体の浸透によって下部地殻の進化が制御される。ノルウェー西部のベルゲン弧では、下部地殻で起こる地震によって断層が生成されることでせん断帯が始まる。乾燥した下部地殻における地震性すべりには、短い時間スケールでしか維持できないレベルの応力か、局所的な弱化機構が必要である。しかし、地震発生帯における通常の地震活動は、下部地殻で余震を起こす応力パルスを生成する。本論文では、そうした余震の影響を受ける下部地殻の体積はかなり大きく、こうした地震に続いて、流体に駆動されて下部地殻の地震に伴う変成変化と構造変化が生じることを示す。今回の知見は、地殻の地球ダイナミクスに「トップダウン」の影響をもたらし、非常に異なる時間スケールで働く過程を結び付けるものである。
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応用力パルスについての良い参考HPがないですねぇ・・・。
苦し紛れのものですが(笑)
んー、こんなもんでしょうか(苦笑)。
地震学での解明だけは、なかなか難しいものとなっています。生きているうちに解明されることを祈ります。
明日は、気候変動生態学を取り上げます。