細胞生物学: Pelotaタンパク質がリボソームを救済する | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、16号目のネイチャーのハイライトより。

 

----------------------------------------------------------
細胞生物学: Pelotaタンパク質がリボソームを救済する
Nature 556, 7701
2018年4月19日 


哺乳類の表皮では幹細胞の運命の制御は翻訳調節によって行われているとする証拠が集まってきているが、細胞と遺伝子の特異性が確保される仕組みは分かっていなかった。Pelotaは、停止したリボソームの救済を助けるタンパク質として、ショウジョウバエ(Drosophila)で初めて見つかった。F WattとR Greenたちは今回、Pelotaが、Lrig1により標識される皮膚の幹細胞集団において機能することを示している。この細胞集団特異的にPelotaの機能を喪失させると、機能的な皮膚を構成する全ての細胞系譜の分化異常と異常増殖が引き起こされたが、他の皮膚幹細胞でPelotaの機能を喪失させても全くあるいはほとんど影響がなかった。Pelotaが存在しないと、短いリボソームフットプリントが蓄積することから、mRNAの3′末端を通過した翻訳や、翻訳の全体的な亢進が起こることが示された。mTORを標的として翻訳を阻害すると、in vivoでの表皮表現型が救済された。


Letter p.376
----------------------------------------------------------

 

一瞬、Pontaを思い出してしまいましたが、いあいあ、(これを書いている時は)酒を飲んでいませんよw 19時から飲み会なので、これが挙がる時には、どうなっているかはわかりませんが(笑)。ショウジョウバエはまだ使えそうですね。論文を見てみましょう。

 

----------------------------------------------------------
細胞生物学:進化的に保存されたリボソーム救済経路が表皮の恒常性を維持する

Nature 556, 7701 |  Published:  2018年4月19日  | 


リボソームと関連したmRNA品質管理機構が、タンパク質翻訳の忠実度を保証している。これらの機構は酵母において詳細に研究されているが、その哺乳類組織における役割については、幹細胞の運命が翻訳機構によって制御されるという証拠が得られている以外は、ほとんど明らかになっていない。この品質管理装置の進化的に保存された構成要素の1つであるDom34[高等真核生物ではPelota(Pelo)として知られる]は、停止したリボソームを救済する。今回我々は、Peloが哺乳類の表皮恒常性に必要であることを示す。Peloを、Lrig1を発現するマウス表皮幹細胞において条件的に欠失させると、これらの細胞の過剰増殖や異常分化が引き起こされた。対照的に、Peloを、Lgr5を発現する幹細胞で欠失させても全く影響はなく、Lgr6を発現する幹細胞で欠失させても軽度の表現型しか誘導しなかった。Peloの喪失は、特定の遺伝子の発現に対する影響というよりも、短いリボソームフットプリントの蓄積や翻訳の全体的な亢進を引き起こした。ラパマイシンによってmTOR(mechanistic target of rapamycin kinase)の活性を低下させ、翻訳を阻害すると、この表皮表現型が救済された。我々の研究から、リボソーム救済装置が哺乳類組織の恒常性に重要で、異なる幹細胞集団に特異的な影響を及ぼすことが明らかになった。

----------------------------------------------------------

 

ラパマイシン(Rapamycin)またはシロリムス(Sirolimus、国際一般名〔INN〕/JAN)は、微生物Streptomyces hygroscopicusによって生産されるマクロライド化合物の一つです。移植臓器拒絶の予防のため、リンパ脈管筋腫症の治療のために医学分野で使われている。ヒトにおいて免疫抑制機能を持ち、腎臓移植の拒絶の予防において特に有用です。インターロイキン-2(IL-2)の産生を低下させることによってT細胞およびB細胞の活性化を阻害しまする。冠動脈ステントのコーティング剤としても使われている。

 

ラパマイシンは1972年にSuren Sehgalらによって、イースター島の土壌から発見された放線菌Streptomyces hygroscopicusから初めて単離され、イースター島のポリネシア語名の「ラパ・ヌイ」のラパと、「菌類から生じた抗生物質」を意味する接尾語のマイシンとを組み合わせてラパマイシンと名付けられました。当初は抗真菌薬として開発されていました。しかしながら、mTOR阻害能によって強力な免疫抑制作用と抗増殖作用を示すことが発見され、この目的では使用されなくなりました。1999年9月にアメリカ食品医薬品局によって認可されました。商品名はラパリムス錠1 mg(ノーベルファーマ)。日本国外ではラパミューン(Rapamune)としてファイザー(以前はワイス)から販売されています。

 

で、このラパマイシンで、翻訳を阻害させると表皮表現型が救済された、という話です。リボソーム救済装置が哺乳類組織の恒常性に重要で、異なる幹細胞集団に特異的な影響を及ぼすことがわかったのは、有益ですね。

 

明日は、構造生物学を取り上げます。

 

PS:土曜日に引き続き、本日も親戚と飲み事であるからして、回るのが遅くなります。今頃、どうなっているかわかりません^^; ストッパーの主人は参加しないので、早く帰れるかが心配ですが、まぁ、努力します^^;

 

 

ペタしてね