植物生物学: 乾いた葉からの水分損失を防ぐペプチド | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、15号目のネイチャーのハイライトより。

 

----------------------------------------------------------
植物生物学: 乾いた葉からの水分損失を防ぐペプチド
Nature 556, 7700
2018年4月12日


植物の根は水分不足を感知し、植物体の他の部分へその情報を伝えなければならない。このような脱水シグナルに応じて、植物ホルモンのアブシジン酸(ABA)が葉で蓄積し、蒸散による水分損失を防ぐために気孔開閉を制御する。今回、水分欠乏条件下において根から地上部へシグナルを伝達する分子を探して、高橋史憲(理化学研究所)たちはCLE25と呼ばれるペプチドを特定した。彼らは、この分子は脱水ストレスに応答して、根から維管束を介してシュートへと移動し、そこでBAM受容体と結合し、ABAの発現を調節して気孔を閉鎖させることを報告している。


Letter p.235
News & Views p.178
----------------------------------------------------------

 

いわば、植物に水不足を知らせるペプチドシグナルです。

 

植物は、土壌の水分を感知して水不足を未然に防ぐと考えられています。今回、水が少なくなると発現するペプチドが特定され、根底にある分子機構を解明する機会が得られました。

 

----------------------------------------------------------
植物生物学:長距離シグナル伝達において、低分子ペプチドはアブシジン酸を介して気孔を制御する

Nature 556, 7700 |  Published:  2018年4月12日  | 


哺乳類のペプチドホルモンは、細胞外の刺激を感受組織から適切な標的組織へと伝え、適切な成長を維持している。陸上植物では、根からシュートへのシグナル伝達は、蒸散による水分損失を防ぎ、水分欠乏条件に適応するために重要である。植物ホルモンであるアブシジン酸には、水分損失を防ぐために気孔開閉を調節する役割がある。しかし、葉におけるアブシジン酸蓄積を誘導できる移動性のシグナル伝達分子はいまだ明らかにはなっていない。今回我々は、シロイヌナズナ(Arabidopsis)ではCLAVATA3/EMBRYO-SURROUNDING REGION-RELATED 25(CLE25)ペプチドが維管束組織を介して水分欠乏シグナルを伝え、葉においてBARELY ANY MERISTEM(BAM)受容体と会合することでアブシジン酸の生合成に影響を与え、気孔による蒸散を制御していることを示す。CLE25遺伝子は維管束組織で発現しており、脱水ストレスに応答して根で発現が上昇する。根由来のCLE25ペプチドは根から葉へと移動し、葉でのアブシジン酸の蓄積を調節して気孔閉鎖を誘導することで、脱水ストレスに対する抵抗性を向上させる。BAM受容体は、CLE25ペプチドが葉で誘導する脱水ストレス応答に必要であり、CLE25–BAMモジュールは、脱水応答における長距離シグナル伝達のためのシグナル伝達分子の1つとして機能しているだろう。

----------------------------------------------------------

 

この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。

 

取り上げようがどうか迷いましたが、理研のこの分野にとっては、STAP細胞以来の取り上げ方だったので取り上げました。応用研究して、美容に使えないか?とふと思いましたが、無理そうです(笑)

 

では、次回は、幹細胞より、「心臓の成長を促す」を取り上げます。

 

 

ペタしてね