進化学: 脊椎動物のRNAウイルスの進化 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

昨日に引き続き、15号目のネイチャーのハイライトより。

 

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進化学: 脊椎動物のRNAウイルスの進化
Nature 556, 7700
2018年4月12日


RNAウイルスは、脊椎動物に重要な疾患を引き起こす多様なウイルスからなる1群であるが、研究は主に哺乳類や鳥類のRNAウイルスを中心に行われている。今回Y Zhangたちは、魚類、爬虫類、両生類のRNAウイルスについて調べ、約200の新しい脊椎動物特異的ウイルスを明らかにしている。興味深いことに、インフルエンザウイルス、アレナウイルス、フィロウイルス、ハンタウイルスを含む、哺乳類や鳥類に感染することが知られている全ての脊椎動物特異的ウイルスファミリーが、両生類、爬虫類あるいは魚類でも見られることが分かった。この研究により、RNAウイルスの多様性についての我々の理解が大きく広がり、著者たちは脊椎動物ウイルスの進化は、地質学的タイムスケールに及ぶ脊椎動物宿主の進化を反映していると結論している。


Article p.197
News & Views p.182
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RNAウイルスの進化のバックボーンが明らかになりました。

 

これまで、ウイルスの進化史はほとんど分かっていませんでした。今回、脊椎動物のRNAウイルスが大規模に発見され、ウイルスはしばしば宿主を変えますが、大半は数百万年にわたって宿主と共進化することが示されました。

 

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進化学:脊椎動物のRNAウイルスの進化史

Nature 556, 7700 |  Published:  2018年4月12日  |


脊椎動物のRNAウイルスの多様性や進化についての我々の理解は、哺乳類や鳥類の宿主で見つかり、顕在的な疾患に関連するRNAウイルスにおおむね限られている。今回我々は、大規模なメタトランスクリプトミクスの手法を用い、爬虫類、両生類、ハイギョ、条鰭類の魚、軟骨魚類の魚、無顎類の魚で214の脊椎動物関連ウイルスを発見したことを報告する。この新たに発見されたウイルスは、インフルエンザウイルス、アレナウイルス科(Arenaviridae)、フィロウイルス科(Filoviridae)などのヒト病原体を含む、脊椎動物への感染に関連するRNAウイルスの全ての科あるいは属に見られ、また、それらの宿主の系統発生史を大まかに反映した分岐順であった。我々は、脊椎動物のRNAウイルスのほとんどのグループについて長い進化史を確立し、さらに、進化のタイムスケールを年代が定められたオルソロガスな内在性ウイルスエレメントを用いて評価することで、これを裏付けた。また、脊椎動物に特異的な新しいRNAウイルスやゲノム構造を明らかにし、媒介動物により伝播するRNAウイルスの進化も再評価した。まとめると今回の研究は、脊椎動物の全進化史を網羅するウイルスと宿主のさまざまな関連を明らかにしている。

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この論文は、ネイチャーのニュースにも取り上げられました。

 

題名からして凄いですね(苦笑)

 

NHKに出ていたときは既にご高齢だったのでお亡くなりになっているとは思いますが、ウイルス学の権威は、「ウイルスは究極の寄生生命体です」と、ウイルスのその凄さを熱意を持って説明されていました。今から15年以上前の話です。録画したDVDも番組を本にしたものも持っています。

 

進化論では、ウイルス進化論もありましたが、今頃の進化論の議論はどうなってますでしょうか。勿論、ネイチャーでもたまにあがっては来るのですが、今はナショジオもディスカバリーチャンネルも見れない環境なので、とんとわかりません^^;

 

因みに、インフルエンザウイルスは空気感染することがわかりました。データは手元にありますが、時期になったら取り上げようかと思います。

 

さて、明日は構造生物学を取り上げます。

 

 

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