カロリー神話の落とし穴 肥満を避ける食事 | Just One of Those Things

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日経にピックアップされていたものですが、サイエンスの日本語版、日経サイエンスからのものです。

 

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カロリー神話の落とし穴 肥満を避ける食事 
2017/10/28 2:00 日経サイエンス

 

 肥満が健康に悪いとわかっていても、ついつい食べ過ぎ、運動不足もたたってメタボに──という人は多い。体重を減らすには、基本的には取り入れた分よりも多くのカロリーを消費すればよい。しかし、懸命に体を動かし高カロリーの食事を控えても、期待外れに終わることが多い。なぜだろう?

 

 近年、人体の代謝を厳密に調べ、効果的な減量法を探る研究が進んだ。その結果、肥満防止には運動よりも、どんな食品をどれだけ食べるかの方が重要であることがわかった。また、計算上は同じカロリー数でも実際に吸収されるエネルギーは食品によって異なるほか、得られる満腹感も違う。こうした要因がからみ合って、体重管理を複雑にしている。

 

■運動不足よりも食べ過ぎ?

 

 肥満は運動不足のせいとされることが多いが、実はそう単純ではない。米ニューヨーク市立大学の人類学者ハーマン・ポンツァー博士らはタンザニアの狩猟採集民ハッザ族を調べ、1日に必要とするカロリーが欧米人とほぼ同じであることを見いだした。活発に体を動かしている他の原住民を調べた研究でも同様の結果が出ている。必要としているカロリーに大差はないのに、先進国の人々は摂取カロリーが昔よりも増えているため肥満につながっているという図式だ。

 

 ならば、摂取カロリーを減らせばよいだろう。食品のカロリー計算は、たんぱく質と炭水化物については1gで約4kcal、脂肪1gは約9kcalが基本になっている。だが、口に入れるカロリー数を減らせば解決かというと、そうではない。実際の食物は純粋な炭水化物や脂肪などではなく、それらの組み合わせであり、調理の仕方によって消化・吸収も異なってくるからだ。

 

 食品がもたらす満腹感にも違いがある。たんぱく質や食物繊維が豊富な食事、つまり血糖値の急上昇を起こさない食事は一般に満腹感が強く、空腹を抑えやすい。血糖値を上げる度合いは「グリセミック指数(GI値)」という指標で示される。GI値の高い朝食を食べた場合は低GI値の朝食を摂ったときに比べ、満腹感が不足して、その後の数時間に摂取するカロリーが3割多くなったという報告例がある。

 

さらに、米タフツ大学のスーザン・ロバーツ博士らのチームは最近、適切な食物を選ぶことで減量中の空腹感を減らせることをつかんだ。133人の被験者を、たんぱく質と食物繊維が豊富でGI値の低い食事(魚、豆、リンゴ、野菜、グリルドチキンなど)を食べる実験群と、特に何もしない対照群に無作為に振り分けた。実験群の人たちは6カ月後に空腹感が以前よりも低下したと述べた。また実験群の人たちの体重は平均で8kg減ったが、対照群では0.9kg増えていた。

 

こうした研究を進めることで、一律の肥満対策ではなく、個人個人に合わせた減量プログラムを作れるようになるとロバーツ博士は述べている。

 

(詳細は25日発売の日経サイエンス12月号に掲載)

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詳細は、日経サイエンス12月号をご覧ください。

 

 

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