温暖化、沈む国救えるか | Just One of Those Things

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過去にNature誌で報道されていましたが、温暖化で沈む国が現実化してきているようです。


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(耕論)温暖化、沈む国救えるか アノテ・トンさん、ジョン・バーネットさん
2015年5月22日05時00分 朝日新聞デジタル


 南太平洋の14の島国の首脳らが集う「太平洋・島サミット」が、22日から福島県いわき市で開かれる。主要議題のひとつは気候変動。地球温暖化による海面上昇で現実になりつつある「沈みゆく国」を、救うことはできるのか。


 ■脱出でなく、尊厳ある移住を アノテ・トンさん(キリバス大統領)


 キリバスはサンゴ礁の上にある人口約11万の小国です。平らな島々からなり、標高の平均は2~3メートルほど。気候変動の影響はじわじわと確実に迫っていて、国が沈むのは時間の問題だと思います。


 今年3月には、(バヌアツを直撃した)大型サイクロン「パム」がキリバスをかすりました。本来は台風などが通らない地域にあるのに、これまでなかった所にまで海水が入り込みました。直撃していたら、もう国は存在していなかったでしょう。私たちへの非常に大きな警鐘です。何か大変な、間違ったことが起きているのです。


 私は大統領に就任してから、来たるべき日に備えて、さまざまな対策を打ち出してきました。昨年、フィジーのバヌアレブ島に約20平方キロの土地を買いました。「将来、キリバス国民が移住するために」と考えた時期もありましたが、今は「食糧安全保障のための耕作地に」と思っています。


 現時点では、国を挙げた集団移住は考えていません。望んでもいません。集団移住は政治的に簡単なことではありません。フィジー国民も、キリバス人が集団で移り住むのを望んでいないでしょう。フィジーの土地の購入は、キリバス国民が選択の幅を広げるためのものです。


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 <国民に職業訓練> ただ、国民が手に職をつけられるように職業訓練を促しており、「尊厳ある移住」は重要政策の一つです。国が沈んだから逃げるように引っ越すのではなく、威厳を持って移住を選択してほしい。オーストラリアやニュージーランドはキリバス人が必要だから受け入れるという状況にしたいのです。


 最近考えているのは、日本の高齢化問題です。日本には介護や高齢者の世話をする人材が必要です。キリバス人を看護師や介護士になるよう訓練し、日本に必要としてもらいたいと思います。日本はいま、フィリピンなどからしか採用していませんが、望ましいやり方で進めば、両国にとって利益がある戦略です。そのための交渉を日本政府と進めたいと希望しています。


 昨年11月、オバマ米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席が温室効果ガス削減の新たな目標で合意したのは、恐らく私の人生の中で最も幸せな瞬間のひとつでした。気候変動への対処を呼びかけ始めて10年以上になりますが、私はずっと「米国が積極参加すべきだ」と言い続けてきました。問題解決に不可欠な大国である米国で、議会が地球温暖化対策を否定した時は非常にがっかりしましたから。


 中国が大気汚染や温暖化の原因の一端を担っているのも明らかで、被害国の意見を聞くべきだと考えます。欧州の国々は、過去数十年間で自分たちが何をしたのかを認識し、責任を取ろうとリーダーシップを取っています。米国は遅れたものの、ようやく始めたところです。今回の中国の反応は必然であり、常識的なことです。


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 <先進国には責任> 「太平洋・島サミット」はとても有益です。この地域において、地球温暖化が議題のトップに挙げられることは疑いようがありません。最近、日本の援助で太陽光発電のプロジェクトが進められたのですが、過去のサミットで決まったものでした。


 温室効果ガスを排出し続ける、日本を含む先進国には、こう尋ねたい。まわりに国境があり、あなたがそれを越えて害を与えているのなら、対処する義務があるのではないですか。出るところへ出て責任、義務を果たし、正義がなされるべきではないですかと。


 国際社会は、今年末にパリで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)で、京都議定書にかわる新しい枠組みの合意を目指しています。これが、さらに将来に役立つ始まりになると信じたい。でも、パリで何が起き、何が決まろうとも、私たちの島々はいつか海に沈むのです。問題は、それがいつになるかということなのです。


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 Anote Tong 52年生まれ。父は太平洋戦争後に移民した中国系、母はキリバス人。中国名は湯安諾。03年大統領選で兄を破って初当選、台湾と国交樹立。現在3期目。

 


 ■時間との闘い、対策を尽くせ ジョン・バーネットさん(メルボルン大学教授)


 気候変動が南太平洋の海水温を上げているのは確実で、海面上昇と沿岸浸食、洪水が問題になっています。


 こうした現象は、先進国では深刻な問題になりません。たとえばシンガポールや香港には土地開拓や護岸工事などを行う資金力や技術、政策に関わる人材があります。けれども太平洋の島嶼(とうしょ)国は非常に孤立した小さな規模の経済で、技術や人材が限られています。先進国と比べ、気候変動でより傷つきやすい環境といえます。


 今後100年で海面は60~80センチ上昇するとされており、キリバスは「沈みつつある国」と言われますが、私たちにできることはたくさんあります。


 たとえばキリバスで観察すると、国中のトイレから汚水が環礁に流れ込んでいることがわかります。解決するには資金や技術が必要ですが、それほど高額ではなく、技術的にも十分可能です。固形や液体のごみにきちんと対応すれば、おそらくサンゴ礁への悪影響やストレスを減らせるでしょう。地元の環礁漁業は健康的になり、サンゴの白化現象は減り、海面上昇してもなんとか国はもつでしょう。


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 <共通労働市場を> 気候変動への対処法の一つは被害国の住民が移住し、適切な技術と仕事を得て母国へ送金することだという人もいます。でも、「私の国は沈んでいる。引っ越さなければ」と気候変動の影響を劇的に演出することで、自国への投資の可能性を止めているという否定的な側面があります。


 「尊厳ある移住」を掲げているキリバスは、豪州との間で看護師を300人くらい育成する「看護戦略」を行っています。訓練された看護師が海外で働き、母国へ送金する。看護師の需要は世界中にあるので、賢いやり方だと思います。労働力の流動性を利用して技術を身につけ、国内消費を支えるために送金させる。最も効果的な適応パターンの一つでしょう。


 キリバスがフィジーに土地を購入したのは、国際社会の注意を引くための政治的なスタンドプレーとも言えますが、長い目でみて保険をかけておこうという行為でもあります。国内的には、移住したくなかったら、フィジーに住みたくなかったらどうするのかという批判があります。これは政治がからむので、非常に難しい。もし、気候変動に適応するために豪州政府ができる援助は何かと聞かれたら、私は「共通の労働市場を作り出すこと」と答えるでしょう。


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 <自国に住む権利> 本来、人間は住みたいだけ自国に住むことができるべきです。でも、強制的移住が現実となった場合、移住先の国にすでに家族が住んでいれば心身的ダメージはずっと少なくてすむでしょう。島に住み続ける人はいるでしょうが、問題はいつまで、どれだけの人が住めるのかということです。20年後か、80年後か。自国に住み続けるためのあらゆる選択肢を使い尽くすまでにどれだけ適応できるのかが問われているのです。


 だからこそ、温室効果ガスの排出量をできるだけ減らすことが必要。時間との闘いです。人々が島に長く住み続けられるように、気候変動レベルを安定させられるよう努力することが目標であるべきです。将来、私たちは必ず気候変動への返答を求められます。それには、いつ、どうやって移住するのかを考えることも含まれます。


 国連気候変動枠組み条約の締約国会議(COP)のような国際会議は非常にソフトな方針を掲げていますが、国際法や国家主権はもっと厳しいものです。最善の解決法が太平洋島嶼国からの移民受け入れなのであれば、豪州も日本も良い解決法を持っていません。温室効果ガスの排出量を減らし、適応の手助けをし、あらゆる理由を探していかなければならない。これが、私が考える法的、哲学的な議論ですが、現実とうまくかみ合っていないのが現状です。


 (聞き手・郷富佐子)

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なかなか難しい問題です。


インドにインフラがまだ行き届いていない(古くからある効果ガスをたくさん出す旧式コンロ)のも問題ですが・・・。


日本国内においては、3.11震災後、火力発電に依存していたのは大きなマイナスです。


太陽発電にはインフラが必要ですし、電力を安定させるために火力発電をしておかなければならないので、太陽発電だからクリーンになるという話ではありません。


地熱発電でも水質などの影響を恐れ、インフラが整備できにくいということもありますし、水力発電でも大なり小なり環境に影響を及ぼすので調査が行われています。


風力発電についての影響についても大なり小なりあるようで、Nature誌で報道されていました。


原発については、実際に(自然災害の影響がないような)有効であるところは限られていると思います。


この時期には植物が二酸化炭素を吸収してくれますが、これにも限度があることがNature誌で過去に論文が報告されていました。


一番いいのが宇宙にソーラーを持っていくのがいいのですが、インフラにおいて膨大な費用が必要になるでしょう。


さて・・・、どうなりますでしょうか。


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