<ネパール大地震>地震の巣、懸念現実 | Just One of Those Things

Just One of Those Things

Let's call the whole thing off

ネパール大地震、「発生から72時間」迫る 」より。


生存率が大幅に低下するとされる72時間が過ぎました。


被害状況が明らかになっていない農村地域で救助活動が本格化すれば、犠牲者数はさらに増える恐れがあります。


依然多数の人ががれきに埋まっているとみられますが、救援・支援活動は進んでおらず、住民からは不満の声も出始めています。


---------------------------------------------------------
地震の巣、懸念現実 ネパールM7.8 ビルや家、れんが造り
2015年4月26日05時00分 朝日新聞デジタル


ネパールを中心に襲ったマグニチュード(M)7・8の地震。現場周辺は地下のプレート(岩板)がぶつかることで巨大山脈ヒマラヤがつくられた「地震の巣」で、以前から大地震の発生が懸念されていた。


 インド亜大陸が乗るプレートが、ユーラシア大陸の乗るプレートを南から押し上げることでできたのが、世界最高峰エベレストがあるヒマラヤ山脈だ。


 そのふもとのカトマンズでは1934年にM8・4の地震が発生。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると8万戸以上が倒壊し、8500人が死亡。2005年には、ヒマラヤにつらなるパキスタン側カシミールの山岳地帯を震源にM7・7の地震が発生。インドと合わせて8万6千人を超える死者が出た。


 ネパールでは今も、細い柱に赤れんがやブロックを組み合わせただけのビルや民家がほとんどで、耐震構造の建物は少ない。25日の地震でも被害の拡大が懸念される。


 地震への懸念はネパール国内だけでなく、国際社会でも共有されてきた。OCHAは13年に各国の専門家を集めた対策会議を開いた。日本も以前からネパールでの地震対策支援を続けてきた。


 カトマンズでは、国内の携帯電話が極端に通じにくくなっており、情報収集に支障をきたしている。地元通信社のラミチャネ・ソムナート記者は「国外からの通話は通じても国内でほとんど通じなくなり、メディアも情報を集められない状態だ」と述べた。


 (ニューデリー=貫洞欣寛)


 ■震源浅く激しい揺れ/震度4でも壁崩壊


 25日の地震について東京大地震研究所の加藤照之教授は「マグニチュードが7・8と大きく、しかも震源の深さが浅いので地面の揺れが激しい。耐震性が低い建物が多ければ、被害は広がる。倒れかかっている建物が、余震で完全に倒壊する可能性もある」と語る。


 片山恒雄・東京大名誉教授(地震工学)は「ブロックでつくった古い家は、強い揺れが来るとひとたまりもないだろう。耐震化が間に合っていないのが現状だ」と話した。


 1988年の地震後にネパール・カトマンズ近くでの現地調査に参加した山口大の村上ひとみ准教授(都市防災学)は「調査では震度4の地域でもれんが造りの建物の壁が崩れていた。そのころからカトマンズ盆地の人口は4倍ほどに増えた。耐震性を高めようとしているが、人口増に対応するために、地盤の弱い場所に建てていたり、耐震の検査が不十分だったりするのではないか」とみる。


 東畑(とうはた)郁生・地盤工学会長(地盤耐震工学)は「もともと地盤がもろく、地すべりが多い地域。この地震で、大規模な地すべりが起きているかもしれない。土砂で道路が寸断されると、食料などの物資の輸送や救援に時間がかかってしまう」と指摘した。


 ◆キーワード


 <ネパール連邦民主共和国> 首都カトマンズ。内陸国で、ヒマラヤ山脈の高山帯がある北部は中国に、南部はインドに接している。2013年の人口は約2800万人で、うち約8割がヒンドゥー教徒。国内総生産(GDP)は194億ドルで外貨獲得は観光業に頼る。外交は非同盟中立で、インド、中国の双方と関係を保っている。08年に王制が廃止された。



 ■南アジアで起きた主な地震(理科年表から)

 震源/規模/死者数

<1988年8月20日>ネパール・インド国境地域/M6.6/1450人

<1991年10月19日>インド北部/M7.0/2000人

<1993年9月29日>インド中部/M6.2/9748人

<2001年1月26日>インド・パキスタン国境地域/M8.0/2万23人

<2005年10月8日>パキスタン側カシミール/M7.7/8万6千人以上

---------------------------------------------------------


数百年前の寺院にも被害が出ています。


---------------------------------------------------------
レンガ造りで揺れに弱く ネパール首都、数百年前の寺院
2015/4/27 13:51 日本経済新聞


 【ムンバイ=共同】強い地震が起きたネパールの首都カトマンズ中心部には、数百年前に建てられた寺院など、伝統的建築物が集中する世界遺産のダルバール広場がある。木彫りの窓枠が美しい建築様式だが、レンガ造りで揺れに弱く、今回の大地震で多くの建築遺産に被害が出た。


 カトマンズは盆地で、古くから農業生産が盛ん。約100万人が住む人口集中地域で、中でも首都中心部は政治、商業の中心地として栄えてきた。狭い市域で快適な生活をするために、4階建て以上の建物がひしめくように並ぶ。建築方法は木材で骨格を組み、壁面を石材やレンガで積み上げる様式。独特な意匠を持つ伝統建築が並ぶ町歩きは、カトマンズ観光の醍醐味となっている。


 今回の地震ではその弱点が出た。近代技術を導入した建物は少なく、伝統建築の耐震性には疑問符が付く。老朽化した建築物も多く、被害拡大につながっているとみられる。


 カトマンズ中心部は狭い路地が多く、救出作業も困難を極める。倒壊した建物のがれきの下敷きになった市民が多数いるとみられ、時間が勝負の救助作業の大きな障害になりそうだ。

----------------------------------------------------------


27日時点では、死者3300人 エベレストで200人超不明になっていました。


----------------------------------------------------------
ネパール地震、死者3300人 エベレストで200人超不明
2015/4/27 11:45 (2015/4/27 13:42更新) 日本経済新聞


 【ニューデリー=黒沼勇史】25日にネパール中部でマグニチュード(M)7.8の地震が発生してから40時間を超えた27日朝、近隣諸国を合わせた死者数が3300人を超えた。世界最高峰エベレストでは依然200人超が行方不明で、犠牲者はさらに膨らむ可能性がある。


 ロイター通信は27日、ネパール警察の話として、死者数が3218人に達し、負傷者は6500人を超えたと報じた。インドで66人、中国で20人、バングラデシュで4人の死亡も確認されている。災害発生から72時間がたつと生存率が下がるとされ、28日正午ごろに72時間を迎えるネパールでは、各国の緊急支援隊と協力した捜索が進む。


 ネパールの地元メディア、カトマンズ・ポスト(電子版)は26日付で、エベレスト(標高8848メートル)周辺で217人が行方不明になっていると報じた。同国当局は32人を救出する一方、22人の遺体を収容した。エベレストでは登山していた50代の日本人男性が犠牲になったが、ベースキャンプにいたカメラマンら米国人3人の死亡も確認された。英国やオーストラリアなど各国政府は行方不明の自国民の安否確認を急いでいる。

----------------------------------------------------------


エベレスト、雪崩で2邦人死傷し、日本人男性も1人死亡しました。


ネパールに緊急援助隊が続々きていましたが、各国救助隊、空港で立ち往生する事態にも陥りました。


----------------------------------------------------------
ネパールに緊急援助隊が続々 日本からも70人規模で
2015/4/27 2:08 日本経済新聞


 【ニューデリー=黒沼勇史】25日に大地震が起き断続的に余震も続くネパールに、主要国や近隣国が相次いで緊急支援チームを送り込んでいる。現地では行方不明者の捜索が続くが、救援物資や捜索に必要な資機材が不足し、同国政府も支援を求めている。日本からも70人規模の国際緊急援助隊が26日にカトマンズに向けて出発した。


 最初に支援に動いたのは、自国内でも被災者を出し、ネパール国内に滞在する国民も多かった隣国インド。25日午後には救援物資や救助隊を乗せた空軍機を次々とネパールに飛ばした。救助作戦を「オペレーション友情」と名付けた。


 米政府は災害対策チームの派遣を決めたほか、100万ドル(約1億2千万円)の資金拠出を決定。英国も捜索や救助の専門家チームを25日夜にネパールに向けて出発させた。パキスタンも空軍機2機に支援物資を積み込みネパールに派遣した。


 中国政府は地震発生直後にネパール政府からの要請に応じ、国際救援隊の派遣を決めた。26日早朝に北京空港を出発した60人規模の救援隊は同日夕までに現地に到着した。ネパールに滞在していた中国人の中国国内への避難も支援する。26日中に1000人超の中国人を帰国させる見込みだ。


 一方、中国民政省はネパールでの地震により中国国内で被害が出ているチベット自治区への支援のため、ラサなどの被災者にテントや布団など災害救援物資の提供を始め、食料や水、薬などの物資も支給し始めた。

----------------------------------------------------------


このため、近づく発生後72時間、救助に人手不足で焦りが出てきました。


----------------------------------------------------------
<ネパール地震>近づく発生後72時間 救助に人手不足焦り
毎日新聞 4月27日(月)21時48分配信


 【カトマンズ金子淳、ダッカ平野光芳】ネパール中部で発生した巨大地震は28日正午(日本時間同日午後3時過ぎ)ごろ、生き埋めになった人の生存率が急激に下がるとされる発生後72時間を迎える。首都カトマンズでは救出活動が続くが、がれきの撤去は手作業が中心で、人数も不足。作業をぼうぜんと見守る被災者の姿が目についた。一方、国内唯一の国際空港、カトマンズの「トリブバン国際空港」は混雑のため遅延や欠航が相次ぎ、現地入りに手間取る救援隊も。支援を待つ人と救助にあたる人、双方に焦りが見えた。


 カトマンズ旧市街の観光名所ダルバール広場。無数の仏教寺院やヒンズー教の寺院が建ち並ぶにぎやかな一角は、がれきの山に一変。十数人の警察官が手でれんがなどを取りのけるのを、住民がぼうぜんと見守っていた。


 広場にあるネパール最古の建築物の一つで「カトマンズ」の名の由来ともなった「カスタマンダプ寺院」も崩落。警官数人ががれきを一つずつ取り除いていた。近くに住む学生、カラさん(18)は「地震で寺院はごう音とともに崩れ落ち、中にいた人が生き埋めになった。この地域だけで75人ぐらいが下敷きになった。みんな助からなかった」と話した。


 南西部スンダラ地区にある高さ約50メートルの塔「ダラハラ」は、地震で左右に大きく揺れ、住宅街に向け根元から折れた。「塔には200人はいたんじゃないか。子供たちもたくさんいた。きっとまだ誰か埋まっているはずだ」。近くの雑貨店主、サンジャイ・クマールさん(35)が悲しそうな目をした。


 一方、カトマンズの国際空港は着陸できないまま引き返す航空機が相次いでおり、日本政府の国際緊急援助隊など各国の支援隊の到着も大幅に遅れ、救援物資も不足している。


 空港の外では家族や支援関係者らを待つ人が殺到。赤十字関係者を待つラメーシュさん(47)は「すぐ救助にかからないといけないのに、もう4時間も遅れている」。


 救助犬を連れたフランスの非政府組織(NGO)は27日午後、16時間遅れで到着。メンバーの男性は「現場はまだ決まっていないが、とにかく早く救助活動に入りたい」と焦りの表情を浮かべた。また、インドの支援団体で働くアンジュ・グプタさんは「物資が空港に集中しても、地方へ運ぶ手段が難しい。物資が偏る可能性がある」と指摘した。


 地震国トルコを拠点とするNGO「オシア」の緊急援助隊14人は、マレーシア・クアラルンプール経由で26日夜にカトマンズ入りする予定だった。しかし、8時間遅れで離陸したうえ、カトマンズ上空を旋回して順番を待ったが燃料が足りなくなり、いったんバングラデシュのダッカへ。


 メンバーのハティージャ・アウジさんは「優先的に着陸できないか尋ねてみたが、どの飛行機も支援関係者が多く乗っていて難しいようだ。一刻も早くカトマンズで命を救いたい」と話し、天を仰いだ。

----------------------------------------------------------


27日には、各国救助隊、空港で立ち往生することに・・・。


----------------------------------------------------------
ネパール政府「完全に混乱」=各国救助隊、空港で立ち往生
時事通信 4月27日(月)20時48分配信


 【カトマンズ時事】「ネパール政府は完全に混乱状態に陥っている」―。フランスから16時間かけて27日、ネパールの首都カトマンズに到着した援助隊員十数人は「まだどこに向かってほしいのか連絡を受けていない」と空港で立ち往生していた。到着後、1時間以上も空港内で待ちぼうけになっていると途方に暮れていた。


 未曽有の被害は世界に伝えられている。27日には中国やドイツからも救助隊が到着した。各国の救助隊やNGOは続々とカトマンズ入りしている。


 しかし、いずれも作業開始に手間取っている。地震発生から2日以上、生き埋めになった被災者の生死の分岐点とされる72時間のタイムリミットが迫る中、住民も援助隊も焦りは募る一方だ。


 遅れの原因は、ネパールの政府機能がまひしていることにあるとみられている。それぞれの救助隊の活動場所の割り当てを決められていない。 

----------------------------------------------------------


この間の不手際があって、現在食料や医薬品等の物資が不足しています。


28日に日本の援助隊がやっと到着しましたが、状況はなかなか厳しいです。


----------------------------------------------------------
日本の国際緊急援助隊、ネパールに到着
朝日新聞デジタル 4月28日(火)15時51分配信


 ネパール地震の支援のため、日本の国際緊急援助隊・救助チーム約70人が28日昼、バンコクからの民間機で、カトマンズに到着した。

----------------------------------------------------------



死者1万人に上る可能性があるとの見方を首相が示しました。


----------------------------------------------------------
ネパール大地震、死者1万人に上る可能性=首相
ロイター 4月28日(火)16時59分配信


[カトマンズ 28日 ロイター] - ネパールのコイララ首相は28日、ロイターに対し、同国で起きた大地震による死者数は1万人に上る可能性があるとの見方を示した。


首相は「政府は救助と復旧に全力で取り組んでいる」と語り、救出活動の強化を指示するとともに、テントや医薬品の提供を諸外国に求めた。

----------------------------------------------------------


実際は支援が行き届いてないようです。


1万人以上になるかもしれませんね・・・。



経済的な懸念も出てきています。


----------------------------------------------------------
ネパール経済、地震で大打撃 観光への依存高く
サービス業、GDPの半分
2015/4/27 2:07 日本経済新聞


 【ニューデリー=黒沼勇史】ネパール中部で25日に発生した大地震は、観光産業に依存する同国経済に大きく響きそうだ。後背地の世界最高峰エベレスト(標高8848メートル)周辺を訪れる登山客や、仏塔など世界遺産を巡る観光客の多いネパールは、宿泊施設などサービス産業が国内総生産(GDP)の半分を占める。経済損失はGDPに相当する規模に膨らむ可能性もありそうだ。


 今回の地震の震源は首都カトマンズの北西約80キロメートルにあり、同国第2の都市ポカラからも近い。人口100万人の最大都市カトマンズとポカラの双方で甚大な被害が生じているほか、ネパール政府は全75地区のうち、中部や西部の30地区に被害が及んだとしている。


 カトマンズでは25日、19世紀に建造された高さ60メートルの「ダラハラ塔」が倒壊した。世界遺産の一つに数えられるダルバール広場でも史跡が損傷した。古都の面影を残すカトマンズ東部のバクタプルではれんが造りや木造の寺院が崩れた。


 登山客が多く訪れるヒマラヤでは雪崩が発生。ベースキャンプに戻る途中の登山客ら、20人前後がヒマラヤで死亡した。


 世界遺産やエベレストを見ようと訪れる観光客の多いネパールには、海外から年80万人前後の観光客が来る。外国人観光客は宿泊や買い物で、同国のGDPの3%相当額を消費する。だが玄関口のカトマンズで被害が大きく、当面は観光客の足が遠のく公算が大きい。


 地震の揺れの大きさと、人的・経済的損失の関係を分析する米地質調査所(USGS)は、今回の地震の経済損失は「ネパールのGDPを上回る可能性がある」と予想する。ネパールのGDPは約190億ドル。損失規模が10億~100億ドルとなる確率を34%、100億~1000億ドルになる確率を29%と予想する。


 米調査会社IHSのチーフエコノミスト、ラジーブ・ビズワズ氏は取材に対し「震源近くの被災状況から試算すると、経済損失はGDPの20%を超え、復興には少なくとも50億ドル必要だ」と指摘。国際的な復興支援が欠かせないとしている。

----------------------------------------------------------


50億ドルでも足らないでしょうね・・・。


ペタしてね