てんかん症状緩和の仕組み解明 | Just One of Those Things

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ちょっと前の話になりますが、九州大学らがてんかん症状緩和の仕組み解明しました。


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<てんかん発作>仕組みを解明 重症化防止薬の開発期待
毎日新聞 3月10日(火)1時30分配信


 てんかんの発作で異常な神経細胞が生まれることを脳内の免疫担当細胞ミクログリアが抑制していることを九州大学(福岡市)などの研究班が解明した。てんかん発作の仕組みを解明し、重症化を防ぐ創薬につながる研究成果だという。論文は9日付の英オンライン科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。


 てんかんは神経が過剰に興奮し、けいれんや意識障害を起こす慢性的な神経疾患だ。発症時には脳内で炎症反応が起きることが知られ、炎症を抑える薬も開発されている。


 九大大学院医学研究院の中島欽一教授(神経科学)らは、ミクログリアが興奮した神経を認識しないように遺伝子操作したノックアウトマウスを作製。このマウスは通常のマウスと比べ、てんかん発作後に異常な神経細胞をより多く生み出すことを確かめた。


 一方、神経の興奮をミクログリアが認識すると、炎症を起こすたんぱく質が生み出されるが、このたんぱく質を発作を起こしたノックアウトマウスに与えると、与えない場合に比べて異常な神経細胞が生じる量が6割以下に抑えられた。


 このため(1)興奮した神経細胞をミクログリアが認識する(2)炎症を起こすたんぱく質を脳内に生み出す(3)このたんぱく質は炎症を起こすだけでなく異常な神経細胞が生まれることを抑制する--という仕組みが分かった。


 中島教授は「今までのてんかん薬は炎症が悪い反応だと考えてきた。だが、炎症も必要な反応だと認識を変えることで重症化を防ぐ薬が開発できる」と話している。【関東晋慈】

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もっと簡単に説明された報道も取り上げておきましょう。


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てんかん症状緩和の仕組み解明、九州大学
西日本新聞 3月10日(火)9時59分配信


 脳内の海馬に存在する免疫細胞が、てんかん発作後に起こる異常な神経細胞の発生を抑制し、症状を緩和する仕組みを、九州大大学院医学研究院の中島欽一教授(神経科学)らの研究グループが解明した。9日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズの電子版に論文が掲載された。てんかん症状の再発作を抑える新たな治療法開発につながる成果という。


 てんかんは、けいれんや意識障害を伴う慢性神経疾患で、世界の患者数は5千万人超に上る。約3割の患者は既存の薬剤治療では効果が薄く、発作を繰り返す難治性。


 同大学院4年松田泰斗さんを中心とした研究グループは遺伝子操作したマウスを使い、免疫細胞の中にある自然免疫受容体(TLR9)が、てんかん発作によって変性した神経細胞から放出される自己DNAと結合することを突き止めた。DNAと結合後に炎症反応が起きるが、免疫細胞から放出される「炎症性サイトカイン」というタンパク質が神経幹細胞に働きかけ、てんかんの症状を引き起こす神経細胞の興奮状態を抑えるという。中島教授は「これまで、再発作防止には炎症反応を抑えるのが大事と考えられていたが、実は正常な脳機能の維持に必要だと分かった」と話している。

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毎度、ネイチャーコミュニケーションズとはNatureの姉妹誌です。


注目論文にはネット上には翻訳がありますが、本文は英語となっており、その他の論文は英文のみとなっています。


詳細の論文を要約し簡単にしたものが最初の報道内容です。



今回の研究結果で、早く薬ができると良いですね^^


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