がん転移促進する特定遺伝子 | Just One of Those Things

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Nature誌の姉妹紙で論文が掲載されました。


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特定遺伝子、がん転移促進=抑制の新治療に期待―京大病院
時事通信 1月23日(金)20時15分配信


 特定の遺伝子が多く発現するとがんの転移が進むことを、京都大付属病院放射線治療科の原田浩特定准教授らの研究グループが発見した。発現を抑制すれば転移を減らすことができ、新たな治療薬の開発などが期待できるという。論文は23日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。


 研究グループは、低酸素状態でもがん細胞を生き延びさせる遺伝子「HIF1」と、各種たんぱく質を安定させる役割を持つ遺伝子「UCHL1」の関係に着目。人間の乳がんをマウスに注入して肺に転移させる実験で、UCHL1の発現量が多いほどHIF1が活性化し、転移が進むことを突き止めた。発現量を減らすと転移が抑制されることも確認した。


 一方、約250人の患者から手術で摘出した肺がんの細胞を調べたところ、UCHL1発現量が多い患者ほどHIF1が活性化していた。発現量の少ない患者は、手術後5年間の生存率が多い患者を約15%上回ったという。 

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がん進行に関するその他の研究は、あと2つあります。


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国がん、肺がんの悪性化に関る新メカニズムを解明
マイナビニュース 1月20日(火)17時22分配信


国立がん研究センターは1月20日、肺がんの悪性化に関る新たな分子メカニズムを解明したと発表した。

同成果は、同センター難治進行がん研究分野の江成政人 ユニット長らの研究グループによるもので、米国科学アカデミー紀要に掲載された。


同研究では新たに、肺がん細胞から分泌される因子によってがん周辺間質の主要な細胞である線維芽細胞のがん抑制因子p53の発現が抑制されることを発見。p53の発現が低下した線維芽細胞では、TSPAN12というタンパク質が増加し、線維芽細胞とがん細胞との細胞間接触依存的に肺がん細胞の浸潤能および増殖能を促進していることが判明した。


さらに、TSPAN12は分泌性因子であるCXCL6の発現を誘導し、これら線維芽細胞由来の分泌性因子も肺がん進展に協調的に働くことも明らかとなった。


今後、TSPAN12およびCXCL6はがん周辺の間質の有用な治療標的となり得ると考えられ、これらのタンパク質に対する抗体、ペプチド、低分子化合物などが、既存の抗がん剤との併用で治療効果をもたらすことが期待される。
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後1つは京大です。


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大腸がん悪性化の機構を解明-京大
2014年12月09日 AM06:00 QLifePro


京都大学は12月4日、Aes(Amino-terminal enhancer of split)の消失で促進されるNotchシグナルに依存する転写によって、大腸がんの浸潤・転移が促進される機構を解明することに成功したと発表した。


この研究成果は、同大国際高等教育院特定教授/医学研究科名誉教授である武藤誠氏、医学研究科の園下将大准教授らの研究グループによるもの。米国癌学会「Cancer Discovery」誌の電子版に11月28日付で掲載されている。


消化器がんは、がんの中でも最も死亡率が高い。特に肝臓や肺への転移が死因となっているため、その機序の解明及び予防•治療法の確立が急務となっている。
既存のAbl阻害薬を用いて浸潤・転移予防を目指すことも可能に


今回の研究は、2011年に同研究グループが発表した論文 (Sonoshita et al., Cancer Cell 19:125–37, 2011)を発展させたもの。大腸がん転移抑制タンパクAes (Amino-terminal enhancer of split) が減弱・消失することで起きるNotch シグナル伝達の活性化が、Trioというタンパクの特定のチロシン残基のリン酸化を引き起こし、下流のRhoタンパクの活性化による大腸がん細胞の浸潤・転移を促進することを解明したものだという。


この結果は大腸がんにおいて、Notchシグナル伝達の下流で起きるTrioを用いて患者の予後予測が可能であることを示すと同時に、既存のAbl阻害薬を用いて浸潤・転移の予防を目指す補助化学療法が可能になることを示唆すると、研究グループは報告している。


なお、この診断法に関する技術は既に京都大学が特許出願を行い、科学技術振興機構(JST)の支援で国際特許(PCT)出願が行われているという。更にJSTより事業化予算(START プログラム)が認可され、数年後を目途に開発研究が進行している。(横山香織)

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なお、がんの抑制については3つ・・・。


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がん細胞の死滅促す分子特定 鶴岡の慶応大先端研
山形新聞 1月14日(水)9時1分配信


 慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市)は13日、クマール・セルバラジュ特任准教授らの研究グループが、予測と実験の結果から、がん細胞の死滅を促す「標的分子」を特定したと発表した。この研究の応用で、将来的には悪性の物質だけを取り除く治療法など、より効果的ながん治療の確立が期待できるという。


 同グループはシステムバイオロジーと呼ばれる分野から、がんの治療方法にアプローチ。がん細胞を抑制させるため、物理法則を応用した独自のコンピューターシミュレーションの技術を駆使し、がん細胞の死滅を誘導する2種類の標的分子の存在を2011年に予測した。


 その後、線維肉腫細胞と大腸がん細胞、正常な線維芽細胞を用いて検証実験を実施。この標的分子に対する処置でがん細胞の生存率が著しく低下することが判明し、予測を裏付けた。


 セルバラジュ特任准教授は「がん治療の向上のため、これらの成果がすぐにでも次の段階に進められればいい」とコメントした。

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分子を特定することは先行きを明るくします。


ところで、皆さん、サルナシをご存知でしょうか?


発がん制御効果かがあるようです。


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サルナシに発がん抑制効果 新庄ブランド化で岡山大確認
山陽新聞岡山医療ガイド 1月23日(金)11時15分配信


 新庄村特産のサルナシの人気が高まっている。岡山大による動物実験で発がん抑制効果が認められ、注目度がアップ。加工・販売に取り組む「村サルナシ栽培研究会」(建部始正会長)は買い取り価格を引き上げ、それに伴い生産者は増えた。高い健康効果が確認された村の自生種を「新庄の幸(さち)」と命名し、ブランド化にも乗り出している。


 新庄村は健康への好影響をアピールする狙いで2010年、岡山大大学院医歯薬学総合研究科の有元佐賀恵准教授(遺伝毒性学)に成分研究を依頼。これまでに皮膚がん、肺がんの抑制をはじめ炎症の予防など多彩な健康効果がマウスやラットの実験で確認された。



 ■酢やジャム


 効果の一つで、遺伝子に悪影響を及ぼす作用を抑える抗遺伝毒性は、熱を加えると失われると報告された。このため栽培研究会は、熱処理しない加工品としてサルナシ酢を13年に開発。道の駅メルヘンの里新庄で売り出し、同年の製造分を完売した。


 道の駅では14年の生食用約150キロも完売し、ジャム、リキュールも一時は商品がなくなる人気ぶり。佐藤毅支配人は「メディアで健康効果が紹介され、注目度は飛躍的に高まっている。もち米・ヒメノモチに続く村の名産品になれる」と期待する。


 好調な売れ行きを受け、栽培研究会は買い取り価格を引き上げた。14年から生食用を1キロ当たり1100円(前年比500円増)、加工用も13年から200円程度上げて350~500円とした。



 ■付加価値に注目


 岡山大は、中心メンバーの芦川巌さん(72)が25年前に村内で採取して育てた自生種と、村外由来の2種の計3種を比較。抗遺伝毒性の効果は自生種が最も高いとの結果が出た。


 栽培研究会は付加価値に着目し、芦川さんの畑由来の種類を「新庄の幸」と命名。14年から他の種類と分けて集荷し、サルナシ酢の特別版約110リットルを仕込んだところ、県内外の17人から注文があり完売したという。



 ■生産量確保が課題


 課題は生産量の確保。08年には収量が約3トンあったが、天候不順や霜の影響を受けやすいため近年は年間200~500キロにとどまっている。価格上昇もあって14年は前年より2戸多い17戸が約1・1ヘクタールで栽培し、ノウハウの確立も進んで約700キロまで増えた。


 このうち新庄の幸は5戸が計10本を栽培するのみで、出荷量全体の約7%にすぎない。栽培研究会は同種に集約していく方針で、栽培法や収益性をまとめたちらしを作製。会員対象に苗木購入の補助制度も創設し、新たに4戸が育て始めた。


 芦川さんは「研究成果もあり、将来性は十分。安定した収入が得られるようブランド力を高めていきたい」と話している。



【サルナシ】
 マタタビ科でキウイの原種とされ、山岳地帯に自生する。果実は長さ2~3センチの緑色。ビタミンCが豊富で、滋養強壮効果などがあるという。新庄村は古くから自生地があり、転作作物として2002年から栽培を奨励。実は日持ちしないため、主にジャムやリキュールに加工、販売している。

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続いて、九州大学よりm既存薬でがんの転移を制御できるというものです。


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既存薬の肝炎治療薬でがんの転移を強力に抑制-九大
2015年01月07日 PM08:05 QLifePro


▼がんニッチ形成機構の一端を解明


九州大学は1月3日、同大生体防御医学研究所の中山敬一主幹教授らの研究チームが、がんニッチを制御する重要なたんぱく質である「Fbxw7」を発見し、既存薬であるプロパゲルマニウム(CCL2阻害剤)によって、がん転移を強力に抑制することに成功したと発表した。


がん細胞の周囲には、「がんニッチ」と呼ばれる細胞群が存在し、がん細胞の生存や増殖、転移をサポートしていることが知られている。なかでも血液由来の「線維芽細胞」や「単球細胞」は、がんニッチの構成因子として重要とされ、がん治療においては、がん細胞だけでなく、このがんニッチも同時に消滅させる必要があるとされていた。しかし、どのようなメカニズムでこのがんニッチが形成されるかについては、未解明な部分が多かったという。


▼肝炎治療薬のプロパゲルマニウムで転移を抑制


がんで多く変異が見つかっているFbxw7は、体質的に分子量が高い人と低い人がいるという。同研究チームはこのFbxw7に着目し、乳がん患者の血液細胞を調べたところ、Fbxw7の発現量が低い人はがんが再発しやすくなることを発見した。また、ヒトと同じように、Fbxw7を人工的に欠損させたマウスで調べると、がんの転移が起こりやすくなることを見出したという。


さらに、Fbxw7が低い状態では、がん周囲にいる線維芽細胞から「CCL2」と呼ばれるたんぱく質が過剰に分泌され、それががん細胞の周りに単球細胞を異常に呼び寄せて、がんニッチを作り上げていることが判明した。


研究グループは、このCCL2の働きを抑制することで、がんニッチを消滅させることが期待できると考え、マウスにCCL2阻害剤であるプロパゲルマニウムを投与。その結果単球細胞の集積がみられなくなり、転移先でのがん細胞の増殖が抑えられたという。


プロパゲルマニウムは、既に肝炎治療薬としてヒトに使用されおり、研究チームは今後、同剤が実際にがん患者に対して転移抑制効果を持つかどうか治験を進めていく予定だという。(遠藤るりこ)

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詳しい情報はこちら・・・。


九州大学 プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_01_03.pdf


個人的には、抗がん剤の副作用を何とか抑えられないかと考えています。


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