自在天の章 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

自在天のサンスクリットの種字は「マ」。


真言は「おん まけいしばらや そわか」。


梵名は「マヘーシュヴァラ」。


自在天は、虚空の第六天に座す爆風破壊の大魔王です。



自在天はもともとヒンドゥー教の三主神のひとりであるシヴァ神をさしています。


ヴェーダ神話においては「ルドラ」といい、暴風雷電をつかさどり、巨大な力を持つ破壊神でした。



インドでは「マヘーシュヴァラ」といいます。


わが国・日本では、摩醯首羅天(まけいしゅら)・、大自在天などと呼ばれています。


奈良時代には既に知られていたと考えられていますが、自在天が単独で信仰されている例は、日本ではほとんどみられていません。



インドにおいて、自在天は、はじめはヴィシュヌ神とともに梵天の下の地位に甘んじていましたが、それが同等の位になり、ついには最高位におかれるようになります。


その後、「三神一体説(さんじんいったいせつ)」が生じましたが、その中でも自在天が首位におかれ、世界創造の最高神として、「色究竟天(しきくぎょうてん)」という天に住むようになりました。



しかし、ヒンドゥー教では、ブラフマーが世界を創造し、ヴィシュヌがそれを維持し、シヴァ(自在天)が破壊するとされています。



自在天は、諸天のうちで最も容姿端麗、伎芸(ぎげい)第一といわれる伎芸天(ぎげいてん)の生みの親でもあります。


男の神である自在天が子供を生むことなどおかしいと思われるかもしれませんが、このような話が伝えられています。


自在天が天界で数多くの天女たちとさまざまな伎芸を披露して戯れ遊んでいたときに、自在天の髪の生え際から伎芸天が生まれたというのです。



インドにおけるシヴァ神としての像を除けば、仏教においては、像が造られ祀られたものは、ほとんどありません。


図像や曼荼羅の中に描かれているだけであります。


胎蔵界曼荼羅の中では、后のウマヒ(鳥摩妃)とともに、ともに右手を上げ、左手に三鈷戟(さんこげき)を持ち、牛の上にまたがっています。


その他各種のお経の中には、天冠を頂き、3つの目と8臂の腕を持つもの、3つの顔と4臂の腕を持つものなどが描かれています。



巨大な威力を持つとされている自在天があまり祀られなかった一因としては、密教においては、十二天のひとつである伊舎那天(いしゃなてん)が、自在天の憤った姿つまり忿怒神であるとされたことがあげられます。


十二天とは、上下、日月、四方、四維(しい)を守護する天衆のことで、梵天、地天、日天、月天、帝釈天、水天、焰摩(えんま)天、毘沙門天、火天、羅刹天、風天伊、舎那天をさします。


また、福神としての大黒天と同じとする説もあります。


そのため、自在天は、十二天や七福神からはずされてしまい、知名度が薄らぎ、祀られることが少なくなったと考えられています。