明王の形 | Just One of Those Things

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Let's call the whole thing off

明王 』から『明王の役割 』より。


こうした明王の役割をもっとも効果的に表すため、その形は見る者に畏怖の念を起こさせるような姿が求められることとなりました。


そして、古代インドにあっては、その具体的なイメージを、いずれも先行する在来のヒンドゥー教の神々に求めようとしました。



しかしながら、このようにして出来上がった明王の姿を見ると、条帛を左肩から懸け、腰には裙(裳)と腰布をまとい、装身具として胸には胸飾を、臂や腕、或いは、足首には釧(腕輪)をつけるなど、その姿の基本は菩薩と同じといえます。


これは、明王が衆生を救い、仏の教えに導こうとするという本誓(究極の目標)において、菩薩のそれとなんら変わりがないことを意味するためであったということができます。



ただ、明王の場合、素直に教えに従おうとしない救い難い衆生の教化をもっぱら担当し、その手段に憤怒相を表し、力で調伏することを用います。


このため扮装は菩薩のそれを基本にしながらも、その有様やその形相はおどろおどろしさを強調しています。


そして、形相は怒りに髪を逆立て、口を開き、牙をむき出して相手を睨み付けるとともに、手には様々な武器を取り、状況に応じて対応できるよう、多面・多目・多臂・多足に表されることが多くあります。


また背後には煩悩を焼き尽くすとともに、怒りの象徴でもある火焔を後背に用い、足下には夜叉や猛獣を踏まえるものもあります。