行政視察最終日 | 栗原もとき オフィシャルブログ Powered by Ameba
行政視察最終日の3日目は生活排水対策の先進自治体でもある富田林市へ。





従来、生活排水処理施設といえば下水道中心で、浄化槽は下水道が整備できるまでの仮の処理施設とされていました。しかし、浄化槽の性能が向上するにつれ、浄化槽が生活排水を処理する十分な施設で有る事が認められるようになったことから、公共サービスの早期提供を目指す富田林市は、生活排水処理の推進を図るため、平成16年に下水道一辺倒の施策を見直し、下水道事業と浄化槽事業を両輪にした生活排水対策を進めてきました。


下水道事業は、各家庭の生活排水を遠く離れた処理場まで運ぶ管を道路の下に埋め、工事の障害となる水道管を入れ替えたり道路舗装をやり直したりと多額の設備投資が必要になり、それに比べ家庭の希望に応じて整備でき、過剰な設備投を抑制し効率的な資金投資が行えるのが浄化水槽事業との事です。


下水道事業や浄化槽事業の設備資金は国からの支援と市債(借金)で賄い、その市債は30年間で返済。国の支援も元を辿れば国債(借金)です。それらの借金は将来の子供達に引き継がれ、人口減少問題が大きく社会問題となってきている中で、子供達の将来負担を少しでも減らすため、必要以上の投資を抑制し、効率性の高い浄化槽を併用することで、生活排水対策全体の財政リスクの低減を図っていく考えからも取組を行ってきたのが富田林市です。








取組としては、平成8年に富田林市地域が水質汚濁防止法による「生活排水対策重点地域」に指定されたことを受け、同年に浄化水槽設置費用補助制度(環境省/浄化設置設備事業)を導入。これは瀬戸内海の水質改善を目指す国が地域の自治体とともに、下水道の整備が当分の間見込めない地域の家庭から排出される生活排水による水質汚濁の改善を図るために、個人が設置し管理する浄化槽の設置費用を助成し、平成22年度に大阪府内の生活排水処理適正化を100%にするという目標を掲げた「大阪府生活排水処理実施計画」を策定。


※水質汚濁防止法とは
工場及び事業場から公共用水域に排出される水の排出及び地下に浸透する水の浸透を規制するとともに、生活排水対策の実施を推進すること等によって、公共用水域及び地下水の水質の汚濁(水質以外の水の状態が悪化することを含む)の防止を図り、もって国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに工場及び事業場から排出される汚水及び廃液に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的としている


浄化槽事業は民間企業の能力を十分に活用して、効率的かつ効果的に浄化槽を設置し、良好なサービスを提供できるように「民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律に基づくPFI事業として実施し、事業を行うために設立された民間企業(株式会社FJS)が各家庭へ1軒ずつ案内・相談・工事調整・各種手続き・浄化槽設置工事及び保守管理を実施。この訪問営業に関しては市と設立した会社では訪問営業のノウハウがなかったため家電量販店などの営業マンを採用し実績を上げてきた。


また、設置費用は市が負担し下水道の使用料と同額を徴収するシステムにしたことから市民の理解を経て導入の推進を図り、民間業者には保守管理の部分で利益がでる仕組みも構築。
上記で説明してきた富田林市の取組は全国的にみても先進的で、自治体、企業、海外から生活排水の対策に関して視察をする場合は、必ず富田林市が選ばれるという。


研修資料1~12




































野田市での主流は下水事業で約50%を網羅。これからも下水道事業を進めて行く中で、国は下水道事業廃止の考えを打ち出しています。今後ますます浄化槽事業の推進が求められてくるなかで、富田林市の担当者からは、この事業は利権が絡んでくるばこともあり、中々現状から新しい取り組みを行っていくのは難しい部分があるとの説明も。
課題としては「選定する業者」「職員の意識改革」「住民の理解」が揃って初めて進展進展して行くという。

では野田市で進めて行く場合に解決策として考えられるのは、下水道の未整備地区に対して、集落単位に下水道を整備する場合と浄化槽で整備する場合との、コスト比較を行う必要があり、具体的には、未整備の50%を下水道整備した場合のイニシャルコストと下水道の耐用年数分の維持管理費用を計算し、下水道事業の場合に必要な1年単位の平均コストを求める。

一方で、野田市の汚水処理人口普及率(下水道・集落排水・合併浄化槽・コミプラ)73.4%の残り26.4%を浄化槽で整備する場合の整備費用と耐用年数分の維持管理費用を計算し、浄化槽で整備した場合に必要な1年単位の平均コストを求め、それらを比較し、地区毎に今後整備すべき手法を決定して行くなどの考えもできます。一番いい方法を模索しながら先を見据えた策定をしてく必要がある事を勉強させて頂きました。


富田林市の紹介資料















今回の3日間の視察では大変貴重な経験をさせて頂いたと共に、野田市ではどう取り入れていけるか、この後が本当に大切だと考えます。野田市議会議員それぞれが、所属する委員会で様々な自治体へ視察に行っていますので、皆で協議し活かして行かなければいけません。


各自治体職員の皆様、事務局の皆様、ご対応ありがとうございました。